第91話 セイクリッド王


 セイクリッドにも冬が来る。

「うー寒い寒い」

 と暖炉があるこの小屋に集まってくる。

 ここはまだ建設途中の城の前にある小屋だ。

 ガンツ達は鼻を赤くしながら今日も元気に作業に行った。冷えてきたら火酒を飲むらしい。まぁ、あったまるだろうが外仕事はきついよな。

 でも外観はだいぶ仕上がってるからか内装をやってるのかな??

 と思ったら帰ってきて、

「馬車を冬用にしたぞい、いっちょ走らせてみてもらえんか?」

「…行くか」

「うっす」


「だー!寒い!」

「…そうだな」

「よし!これじゃ」

 外観からわわからないが中は断熱されていて少しあったかいな。

 だが前はどうだ?と思ったら結構ガードされているな。視界が狭いのはしょうがないが、セイクリッドを走る分には問題ないだろう。

「…少し走らせてくるよ」

「うっす」

 と前に男2人乗って発信しようとしたら後ろに子供達が乗ってきた。ネアノアも一緒だ。

「あったかーい」

「いいね」

「秘密基地」

 と子供はやはり寒くても元気だな。

「じゃあ出発」

 走ってみると風をシャットダウンして走るのがとてもいいぞ!まだ冬本番じゃないから今のうちに食料を確保しに行くのもいいかもな!

 ある程度走って戻ると、

「…いいと思う!」

「そうじゃろ!で?城の方はもう行ったのか?」

「は?できたのか?」

「あとは内装を頑張れば終わりじゃ!」

「…異世界すげーなあ」

「なんじゃ?」

「いや、見に行こうとおもう」

「おう!見てきてくれ!ケイトなんかも彫刻で入ってやってるからな!」

「へぇ、行こうかダウン」

「うっす」


 改めてみるとデカいな!

 白亜の城だ。

「これが俺の城か」

「凄いっすね」

「とりあえず中に入ってみよう」

「子供達はまぁ、秘密基地らしきものができて楽しんでるからいいな」

「っすね」


 中に入ると暖かいな。

「うおっ!あったけぇ」

「…だな」

 登って行くと部屋がたくさんあるがここら辺の内装がまだなんだろう。

 一番上まで上がると遠くに黒い魔王城が見えている。

 凄い高さだな。

「タマヒュンってなりますね」

「…あぁ、高いな」

 だがここからだとよく見えるな。少し盛り土してあるからか遠くまでよく見える。

 ここが死の大地だったのが不思議なくらいだ。

 ここが俺がこれから住む場所になるのか。


 ウエンツがいたので少し案内をお願いすると、

「ここが王の寝室です」

(え?もうベッドがつけられてるってことは?)

「…これもう住めるの?」

「住めますよ」

「でっかいベッドっすね!」

「でここが書斎です」

(凄いな。ここで書き物するのか)

「でここが王の間ですね。座ってみてくださいよ!」

「あ、あぁ」

 座ってみると椅子もふかふかだ。

「で、俺がこうっすね」

 と目の前で跪く。

「お、おぉ」

「なんというか…すごい王様感だな」

「いや、王様ですから」


「いや、うん、そうだな」

(これは相当なプレッシャーだな)

「…スローライフとは程遠いんじゃないか」

「まぁ、でもまだ街もできてませんし、まだまだっすよ」

「何言ってんの!もう王様なの!ダウンも分かってるでしょ」

 ルビーとリシェルが現れる。

「…まぁな」

「そう、でんと構えてないと馬鹿にされるわよ?」

「そうだな」

「まぁその辺のフォローはするから」

「そうです!頼ってください」

「あとリシェルの奴隷を解きなさいね」

「えー、いやです!」

「だめ!ケントの嫁になるなら解呪しなさい」

「んー…そうですね」

「…分かった」

 リシェルとの奴隷契約を解呪する。

「よし!これで対等になったわね」

「はい!」

「んじゃ。ルビーさんが第一王妃でリシェルさんが第二王妃?」

「…まぁ、そうなるな」

「「やったぁー」」

 と嬉しそうな2人だな。

「よっしゃ!今日はお祝いですね」

「まぁ…そうするか」

「みんなに言ってきますねー」

 と、走っていくダウン。

「2人とも部屋は決まってるのか?」

「はい!私たちの部屋はもう決まってます」

「ケントが全然来ないから勝手に決めたわよ?」

「…それはすまない」


 それからは早くてクオンやセイランが料理するために色々運んできて、ダウンがみんなに言って回ってるからボン婆が酒を持ってきて、セイクリッドの全員が王城に集まった。

「…このセイクリッドの王になった。これもみんなのおかげだ。これからどんどん発展して行くが、みんなでスローライフ、楽しく生きていこうではないか!」

「「「「「ウオオオオォォォォ」」」」」

「そして第一王妃にルビー、第二王妃にリシェルがなったことを皆に伝える」

「「「「「ウオオオオォォォォ」」」」」

「私がルビー第一王妃よ!みんなも知ってる通り私は思ったことは口に出すから!覚悟してね!」

「「「「「ウオオオオォォォォ」」」」」

「私が第二王妃のリシェルです。王が一番ですのでそのことだけは忘れないで」

「「「「「ウオオオオォォォォ」」」」」

「では、乾杯」

「「「「「カンパーイ」」」」」

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