第88話 人材確保
「ヘイホー」
「「「「「「ヘイホー」」」」」」
「ハイホー」
「「「「「「ハイホー」」」」」」
変な掛け声と共にハイスピードで城が出来上がってきている。ほんと不思議だな、現代でもこんなに早く建物が立つことはなかったぞ。
しかも朝早くから夕方迄頑張っている。
「ケント様!」
「…凄いな、鹿か」
「もう動物達はここに餌があるって分かってきているみたいですね」
ダウンが取ってきた鹿は今日の昼にでも出てくるだろう。
とダウンについていってるのは妖狐のウィンだっけ?ダウンにも春がきたかな?
「ケント様?」
「どうした?」
「またアヤの様子が」
「あぁ、アヤも大変だなぁ」
とアヤのところに行きマナドレインをしてやるとすぐに元気になる。
「動けるうちに俺のとこにこいよ?」
「はい!ありがとうございます」
と言って引っ付こうとするのをガードするリシェル。
「んじゃ俺は外にいるから」
「ああーん」
「めっ!ですよ!」
とリシェルの声が響く。
「おはよっす!」
「おう、釣りか?」
「そうっす、イサムと行ってきたけど大量ですよ」
と見せてくるのは木製のバケツに入ったニジマスかな?
「凄いじゃないか!」
「これで一杯飲みたいっすね」
「そうだな!今日の晩が楽しみだ」
「あっ!いたいた!ケント!これ着てみてよ」
ん?セイランが持っているのはジャケットか?
「うん!似合ってるね!王様になるんだしスーツくらいいるでしょ?」
「…王様でスーツか、まぁ、悪くはないかな?」
「えー?フリフリのやつでも着る?」
「…スーツでよろしく!」
「はーい!」
ガンツたちが作ったのは平屋の長屋みたいな感じで後から分解して家にできるように簡素にしているそうだ。それでも雨風凌げて快適なら言うことない。
いまじゃ、百人近くになっている俺たちは、そこに仮住まいしている。
女性が多いので何かと気を付けているが、女性の方が逞しいな。
そろそろまた人材や材料を調達に行かなければいけないのだが、大工達は今がちょうどいいみたいだし、あとはどんな人材がいるだろうか?
衣食住は足りてるから材料だけでも十分な気がするのだがな。
「ケント!なーに考えてるの?」
「…人材はまだいいかなぁって」
「え?何言ってるの?馬番に農家、後は行商人を捕まえなきゃ、私達でもいいけどそのうち困るわよ?」
「あぁ、行商人はいるな!馬番に農家は今のままじゃダメなのか?」
「やっぱりその道のプロがいないと私達じゃダメよ」
「そうか、それじゃあまた行くか」
「そうね!誰を連れてくかだけどダウンにリシェルにボン婆も行きたいって言ってたわね」
「それでいいんじゃないか?」
「まぁ。馬車2台で行けばいいしね」
善は急げというわけではないが、みんなを呼んで行こうかとすると、
「私も行く!」
「ウィンか、遊びじゃないぞ?」
「はい!」
「よし、なら乗りなさい」
「はい!」
ネアノアが泣きながら手を振っている。ボン婆もいなくなるのでお姉ちゃん役のリルルやメリッサに頑張ってもらおう。
10日前後で死の大地じゃなくて俺たちの領地を出て3日ほどで城下町だ。まずはいるものを買いに行く。資材関係だな。
この前来た時にまた買いにくるからもっと多く仕入れてくれと頼んでおいたので、今回は量が多いな。石材、木材、鉄やその他諸々買って収納して行く。ルビー達は布やボタンなどを買い付けに行って合流した。
最後は奴隷商だ。
「いらっしゃいませ」
と通されると、
「西区の奴隷商は潰れてしまいましたね」
「そうなの?良かったわね」
「あはは、そうですね」
「それで今日は行商人ができる人材と農業ができる人材ね」
「行商人は当てがありますが農業ですか?」
「そう、どんな人でもいいわよ?」
「それではお待ち下さい」
ずらりと並んだ若い男からおっさんまで、まぁ、若い女もいるな。
「行商人ですが、私がお勧めするのはこの子ですね」
「どうして?」
「計算読み書きが得意で、何より肝がすわってますね」
「そう、じゃあその子と、従者は誰がいいの?」
「弟がいますので、できれば弟も」
「じゃあ決まりね」
行商人はエン、従者はダラーというらしい人族なのでいろんな土地に行けるだろう!
「あと農業に携わっていた人はいる?」
何人か手は上がるがどれも農業をしていたような手をしていないな。
「んー、他の奴隷も見せてくれない?」
「犯罪奴隷もですか?」
「そうね、じゃあ私たちを案内してくれるかしら?」
「…危ないです、と言いたいところですがランクS様がいらっしゃるのでいいでしょう」
(んー、それはどういうことかな?)
俺たちは奴隷商に従って地下に降りて行く。
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