第83話 ひっさしぶりの盗賊退治


 ようやく海洋国家を出ることになった。

ようやく魔王国だな。

「ランクS!っはい!お通りください!」

「いやぁ、帰ってきたねぇ!」

 とイサムは懐かしいようだ。

 流石に三台の馬車を襲う奴なんていないようで盗賊はでてこない。

(あれだけ襲われてたのにな)

 次の街までは2日かかるので野営だ。魔改造した三台目の馬車がキッチンカーになっていた。

 クオンとセイランが中に入って調理をしているのでみんな取りに行って出来立てを食べている。

 

 夜番を交代して寝ていると、どこかから逃げてきたのか女が1人やってきたらしい。ガンツが起こしに来て、なんだとみんなが起き出した。

「た、助けてください!」

「どうしたんだ?」

「私だけ逃がしてくれたのです!」

「どこだ?」

「こっちです」

 話が微妙に通じない女を追っていくとシルバーファングに襲われている馬車があった。

(1人で戦っている?)

「アイスランス」

 シルバーファングを射抜いて行くと倒れる戦士。ヒールで治してやる。

「かたじけない…」

 気を失ったようだな。

 奴隷商は噛み殺されている。馬車の後ろに女がいるので見てみると大勢の女が入っていた。

(これはしまったぞ)

 ルビーやリシェルがやってきたので俺は知らないとばかりに奴隷商の持ってるマジックバッグから奴隷契約書を見てみると、全員が借金奴隷?!

 もう一度見直すが間違いないみたいだ。

 そーっと振り返るとルビーが手を出していた。

「…俺はもう」

「仕方ないでしょ?」

「…はい」

 俺は言われるままに奴隷契約を行う。

「…はぁ」

「全員が魔人だけどなぜこんなことに?」

「私達の村が…村長が」

「村長が…盗賊で」

 話が途切れ途切れで要領がつかめないので戦士を起こすと、

「…は、ここは!」

「シルバーファングに襲われていたまでは分かるか?」

「は、はい」

「よし、話ができるな?なぜこんな大量の奴隷を?」

「わ、私は護衛を頼まれただけのランクDの冒険者です」

「嘘をつくな…お前盗賊だろ?」

「…く。くそ!」

「バカが」

 と首を斬る。

 鎌かけるとすぐにわかる。

 せっかく治したのに損したな。

「はぁ、やっとちゃんと喋るようになったわよ」

「…それで?」

「やっぱり盗賊らしいわ。村長が取って代わったらしくて売られたそうよ?」

「はぁ、馬は無事だからさっさとその村に行こう」


 朝焼けに照らされながら4台の馬車で村に向かう、少し離れた場所にあるようでわかりづらい場所に村はあった。


 村にはもう盗賊しかいないようなので村ごと落とす。

「ッシ!」

 リシェル達が火矢を撃ち込むと慌てて出てくる盗賊を1人づつ捕まえて行く。

「さてどこ行くんだ?お前が親分なんだろ?」

「わ、わしは村長だ!な、なぜこんなこと」

 腕を斬り落とし刃を首に突き立てる。

「さてお前は誰だ?」

「と、盗賊です」

「はい、正解」

 マジックバッグを奪ってあとはダウンが縛ると、盗賊は全部で二十人もいた。

 4台プラス盗賊達で街まで走ると、

「…盗賊だ」

「ら、ランクS!は、はい今すぐに!」

 盗賊は牢に入れられて賞金首がいないかを確かめられるため、明日になるのは知っている。

「…明日またくる」

「は、はい!それまでに調べます」

ということでまた増えた奴隷の服を調達しに買い物し体が街を練り歩く。

 俺たちは宿を貸切にして一泊することしかできない。

 そして次の日にはガンツ達が4台目の馬車を改造していたので乗り心地も良くなった馬車で魔女王の下に向かう。


 こちらからの方が早いようで城下町に着くと、宿を貸切にして魔女王にイサムと一緒に会いに行く。


「お久しぶりです、女王様」

「よく来たのぉ、で?何か用事か?」

「…死の大地に腰を据えることにした」

「は?あの死の大地にか?あっはっはっはっ!それは面白いのぉ!」

「…いいのか?国ができるのだぞ?」

「いいもなにも、あの土地では何もできぬ、悪いことは言わぬ、魔王国でゆっくり過ごせ」

「古代魔法でもか?」

「なぬ」

「俺は古代魔法が使える」

「そ、それは真か?」

「…あぁ」

「…分かった好きにせよ」

「ありがとう」

「国が出来たら見に行くとしよう」

「あぁ、ぜひ来てくれ」


 と魔女王と別れて宿に戻ると、女だらけだな。

 大人から子供までいるので部屋をわけだが窮屈なのか下にいる。

「何か頼んだか?」

「い、いいえ」

「はぁ、好きなものを注文しろ」

「は、はい」

 好きなものを食べさせると少し気が楽になったのか眠りに戻って行く。

 女将にすまんなと銀貨を渡しておく。


「いやぁ、買った買った」

「さぁ、みなさん着替えですので並んでください」

 と配給のように次々と捌いて行く。

 こんなに大勢の女性達だ、本当にどうするかな。

 ダウンと2人で門兵のところに向かう。

「あ、賞金首が五人もいました」

 盗賊の報奨金が金貨200枚、賞金首が1人金貨50枚で250枚、で、ギルドに行くと1人金貨10枚で200枚の金貨をもらった。

 まぁ、金のある時期だからありがたいけどな。

 でもまずはボン婆に聞いて死の大地を甦らせるところからだな。

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