第78話 提案
「おかえりー」
「おちゃえりー」
「ただいまネア、ノア」
可愛い2人が帰りを待っていてくれたようだ。2人を抱き上げるとほっぺにチューっとされる。
「あー、私もー」
とパールはリシェルが抑えている。
「クオン変わったことは?」
「特にないよ?まぁ、買い物で色々買ったけどね」
「ん?」
「水着とか?あとビーサンなんかも売ってたし」
「そうか、金は足りてるか?」
「あはは、十分だよ」
「…ボン婆は?」
「金かい?余裕はあるよ?」
「そうか、なら良かった」
「あたしがそんなに使うと思ってんのかい!」
「あはは、酒代だからな」
「んっとに」
と拗ねるボン婆。
「また明日から城に行かないといけないからな」
「「「「ええー」」」」
「悪いな」
「いいけどさ、戻って来てよ?」
とパールが言う。
「あぁ、戻って来るさ」
と頭を撫でる。
「にへへ」
「あー!ズルい!」
とみんなに責められるパール。
「…カオルは慣れたかい?」
「うん、慣れたわよ?なに?心配してくれたの?」
「まぁな」
「うふふ、楽しい仲間よね」
と笑うカオルはやはり大人だな。
「…ボン婆、これを渡しとくよ」
「これまた魔導書の山だね」
「マジックバッグに入ってた、適性のある人に覚えさせてくれよ」
「あいよ!任せときな」
と自分のマジックバッグに入れていく。
夕食をみんなで取る。
ガヤガヤとうるさいがこれがまたいいんだ。アシュレイなんかも入って全員で食べるし飲む。
「アシュレイの武器はなんだ?」
「俺の武器は両手剣だ」
「ならこれやるよ」
「これは?」
「ミスリルソード、俺は片手剣だからな」
「ミスリル?そんなのもらえないぞ」
「俺は俺のを持ってる。それはマジックバッグに入っていたものだ。少しメンテの必要があるだろうがな」
「た、確かに黒ずんでいるし刃が潰れてるな」
「だろ?だからちゃんとメンテしてくれよ、俺はそこまではしないからな」
「あぁ、ありがたくもらっとくよ。って、貰いっぱなしは性に合わん!これをやる!」
「なんだこれ?」
「要らんと思うが我が家の紋章だ。少しは顔が効くから何かあれば出してくれ」
「ん、貰うよありがとう」
「大体規格外なんだから少しは自重しろよ?」
「分かったよ」
「なら良かった」
と2人で酒を酌み交わしてると、
「ケント様、俺は心配です!このままケント様がどんどん遠くにいってしまう気がして!」
「…ダウン?飲み過ぎだ」
「あはは、俺はいつでも近くにいますからね!」
「…あぁ、頼りにしてるぞ」
「はい!」
とダウンは近くで飲んでいる。
「クオン?ねぇ!ねえ!」
「なんだよウリン!」
「チュー」
「うわっ!ダメだってみんな見てるから!た、助けて」
クオンはほっぺにチューされている。それを見ていたシンが、
「騒ぐな、ブチュー」
と唇にチューをする。
「あー!シン!ズルいぞ!」
とまぁ、クオンもモテモテだな。
さて、ネアノアが眠そうにしてるから抱き上げるとダウンが前を歩き、
「じゃあみんなおやすみ」
「「「「おやすみなさい」」」」
と帰って来る。
心地いい場所だな。
海洋国家から魔王国に入り、その奥に行くと死の大地だ。そこに緑が生えるかどうかだが、古代魔法の魔導書を読んだ俺が思うに生き返らせられると言うことがわかった。
生命魔法はまぁ少し時間と手間がかかるが、なんとかしてみせるとして家をどうするかなんだよな。
「起きてる?」
「ん?ルビーか」
「外に行こう」
「…あぁ」
俺たちは宿の屋上に登って空を見上げる。
「長いこと旅して来たね!」
「そうだな、もうほとんど回ったか?」
「この大陸は回ったんじゃないかな?」
「そうだな、別の大陸の話は聞いたことなかったな」
「私は小さな頃聞いたことあるよ」
「まぁ、俺のいた国も小さな島国だったからな」
「そうなの?」
「そうだよ、それでも全部は行ったことはないからな」
「果てしないね」
「そうだな」
「でも連れ出してくれて良かった、いっぱい色んなものが見れた」
「そうだな」
「俺は死の大地を蘇らせるよ」
「えぇ!聞いてないよ」
「あはは、さっき思ったことだからな」
「もう、ビックリすることばかりだよ」
「これからもついて来てくれるか?」
「当たり前よ」
とどちらからでもなくキスをした。
翌朝俺はみんなに相談した。
「俺は死の大地を蘇らせるつもりだ。それで一緒に行ってくれる人はいるか?」
流石にこれは一生かけての大冒険だ。
「私は当然」
「私も当然です」
ルビーとリシェルが言うと、
「俺はどこまでも一緒っすよ!」
とダウンが言う。
「私達だって!」
「当たり前すぎて」
「ねぇ?」
「あははは」
アンバー、レアル、パール、トパーズ。
「あたしゃ行くに決まってるさ!」
「お酒いっぱい買って行かないとね」
ボン婆にシン。
「死の大地だって?」
「凄いねー、どんなとこかな?」
マリンとウリン、
「俺たちは付いてくぜ?」
「当たり前ですね」
「ここで放り出されても」
「私なんか入ったばかりよ?」
クオン、イサム、セイラン、カオル
「わ、私も行きますよ!」
「わたしだって!」
「ニャー」
「いっちょ!」
リルル、メリッサ、ネアノア、
「聞かれなくてもついていきますし」
「そうですよ」
ミイ、スィ。
「…ありがとう」
心からそう思った。
いい仲間たちだ。
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