第75話 シーサーペント


「エヘヘ」

「えーと、ネアちゃんだったかな?」

「うん!エヘヘ」

「うん?そのバッグ可愛いね」

「うん!」

 と言ってさっていく、

「どうしたんだ?」

「バッグを自慢したいんだろ」

「あぁ、そう言う年頃か」

「…そうだな」


「話は変わるが水竜はシーサーペントという細長い竜だ、水辺に今出て来ているそうで被害が出ている」

「守神的な立ち位置じゃないのか?」

「そういう側面もあったらしいが、今回はなぜ怒っているのかわからないし、暴れ回ってるらしいからな」

「…それは討伐対象になるな」

「海洋国家とは長年友好関係を続けているからどうしてもいかなければいけないのだ」

「…そうか、こちらもそれなりに対処しよう」

「何言ってんだ?ケントがいれば俺は安泰だと思っているぞ?」

「…買い被りすぎだ」

「地龍を倒しといてよくいうな」

「…まぁな」

 

 翌る日はまた先頭をいくアシュレイの馬車についていく。もう海洋国家ということで道が橋のようになっている。浮島を繋いでいるかのような橋だな。

 騎士が近寄って来ると、この辺りで見かけたらしいので注意してくれとのことだった。


 ゆっくりと馬車を動かしながら走る。


 辺境伯領につくと、これまた悲惨な光景だった。

 怪我人は多いし、屋根が吹き飛ばされていたりと爪痕が深く残っている。

「エリアヒール」

「おい、大丈夫なのか?」

「…何がだ?」

「魔力切れとかの心配は?」

「…それよりも目の前の怪我人だろ?」

「そうか」


 怪我人はなんとかなったようで良かったが、いつ来るかがわからないのは怖いところだな。

 とりあえず5日はここに滞在予定なので俺はアシュレイとともに辺境伯が作ったという防波堤向かうことにする。

 みんなはそれまで待機なのだが、

「俺もいくっす!」

「ダウンはネアノアを守ってくれるか?」

「くっ!それはずるいっすよ」

「…頼むな!」

「私が一緒に行くから大丈夫!」

「リルル?」

「言ったでしょ?私は泳ぎが得意なのよ?連れて行って損はないわ」

「ふぅ、じゃあついて来てもいいが危ない時は逃げるんだぞ?」

「了解です!」

「では私達も!」

「みんなを守ることはできないかもしれないからここにいて欲しい」

「そんな…」

 と言って全員は連れて行かない、足場も悪いところだから水に強いリルルはいいが…本当はリルルにも残ってもらいたいのだがな。


 そして防波堤で待つこと三日たった。

 さすがにずっと気を張っているわけには行かないので、やはりだらけて来るのは仕方ない。

「て、敵襲!!」

「なに!総員魔法の準備だ!!」

 アシュレイが一番早く動く!

 遠くで水柱が立っている。

 どんどん近づいて来るようだ!

 ここだ!

「ブラックホール」

『グオオォォォ』

 その全体を見せたシーサーペントは巨大な体躯を持つ龍のような姿をしていて右の鰭がなくなっていた。

「「「ファイヤーボール」」」

「「「アイススピア」」」

 など第三師団も魔法を放つがいまいち効いてないようだ。

“コオオォォォォォ”

 とブレスの体制になっているのが分かったのでシーサーペント向かってサンダーボルトを放つと、暴れ出しブレスを食い止めたが、

「ウガハッ!!!」

 俺は尻尾で薙ぎ払われ水中に投げ出されてしまった。


「ゴポッ」

 水中では圧倒的に不利だ。すぐに陸地に向かおうともがくがシーサーペントがそれを逃すはずもなく。

『グオオォォォ』

「ゴポッゴポッ」

 飲み込まれた!


「大丈夫です!目を開けてください」

 と思ったら声がして目を開ける。

「ゴポッ」

 リルルが背中を持って凄いスピードで泳いでいた。

 海上に出ると、

「プハッ!すまん助かった」

「また来ます!潜りますよ!」

 水中に潜るとシーサーペントがブレスを放って来るがそれを避けるリルル。

 俺も負けてられないな!

(断絶)

 くそっ!狙いが定まらないから尻尾が切れただけか!

 海がシーサーペントの血で濁って来る。


 シーサーペントは痛みで暴れているが、

 ここだ!

(断絶)

 首を狙って放った魔法がシーサーペントの命を奪った。

 海上に浮上すると、

「プハッ!リルル!水竜のところに!」

「はい!」

 リルルに支えてもらいながら収納していくと巨大な龍の背中あたりにぶっとい銛が刺さっていた。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」

「大丈夫ですか?」

「…助かったよ、リルル」

「はい!」

「ケント!」

「アシュレイ!すぐに確認してくれ!銛をシーサーペントに刺した奴がいるはずだ!」

「な!それが原因か!その銛だけ出すことは可能か?」

「…ああ、今出す」


 浜辺に出した銛は全長10メートル太さ1メートルほどの太く長い銛だった。

「わかった、すぐに調べさせよう」


 水を大量に飲んで、尻尾の一撃を喰らった俺はそこで意識を手放した。

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