第73話 久しぶりの人国


 ホビット族の都を出て次は村だ。

 とりあえず寄っていくがやはり全てが小さめなので中々宿も泊まれないな。

 さぁ、早めに次に進むかと村を通り越して見えてくるのは国境だ、人国に入ってすぐに海洋国家に入る。

「それでは良い旅を!」

「はい!」

 と人国に入って辺境伯領で一泊する。

 ひさしぶりに普通のベッドで寝るのも良いな。

 と少し寝てしまったが起きると夕方になっていた。

「初めて人国に来たわ」

 カオルが言い、明日は休みにすることにした。

 やはりみんなで買い物に行くつもりらしいので俺たちとネアノアはゆっくりこの辺境伯を見て回るつもりだ。


 朝からみんなはやる気まんまんで出て行った。昼頃までまったりとし、それから俺らは行動を始める。色々回るとやはり海が近いのがあり魚なども売っている。

「焼き魚なんかいいですね」

 と言い買っていくと、ネアノアも大好きな魚が食べれると嬉しそうだ。


「ケント殿!」

「…?アシュレイ?」

「お久しぶりです」

「久しぶりだな。なぜこんなところに?」

「まぁ、立ち話もなんなので」

「…そうだな」

 と喫茶店に入る。

「仲間達だ」

「俺は柴田久遠シバタクオンだ」

「僕は神楽坂勇カグラザカイサムです」

「で、獣人のダウンだ」

「うっす」

「ネアノアはしってるよな?」

「あぁ、相変わらず可愛い子達だな。わたしは第三師団の団長のアシュレイだ」

「しかし久しぶりだな」

「そうだな、積もる話もあるが、まずは現状把握といこうか?」

「どうした?」

「いま海洋国家は海竜シーサーペントに荒らされている」

「まじか?」

「そして隣国のこちらにも応援要請がきてな」

「それでアシュレイか、もちろん俺も助けてやる」

「ほ、本当か!?地龍とはまたわけが違うぞ?」

「やってやれないことはないだろ?」

「ありがとう!では、明後日出立だ」

「わかった」

「それで今までどうしていたんだ?」

「それは…」


 俺は今までのことを思い出しながら話す。アシュレイはそれを聴きながら驚いたり笑ったりしている。

「で、今ここに着いたばかりだな」

「そうか、それより結構おしゃべりが上手くなったな」

「そうか?」

「あぁ、前はそうだ、とかまぁなばかりだったじゃないか」

「…まあな」

「ほらな」

「仲間のおかげだ」

「そう言えるってのはいいことだ!」

「で?アシュレイはこんなところで油を売ってていいのか?」

「いいんだよ!戦力増強できたんだからな!」

「ハハッ」

「あははは」

 それからアシュレイは師団に帰っていき明後日に合流することになった。



「いいの?勝手に決めて?」

 クオンが言うが、

「アシュレイは古い友達だ、ルビーも分かってくれるさ」

「ならいいけどね」


「え?アシュレイに会ったの?」

「そうだ、で、海竜討伐を一緒にやることになった」

「そう、アシュレイね。って勝手に請け負っちゃって!もう」

「すまんな」

「まぁ、アシュレイが行くなら行くしかないわね」

「そうだ」

「第三師団を潰すわけにいかないしね」

「そうですね」

「まぁ、私たちも魔法で援護するわよ」

「アヒャヒャ、わしの魔法が火を吹くぜー

「ボン婆はネアノアやメリッサを守っといてよね?」

「アヒャヒャ、わかったのじゃ」


 まぁ、なんとかなるだろう。


 次の日は買い物し隊が出発して行った。もちろんカオルも一緒だ。人族の街だからって張り切って行ってしまった。


「まぁそりゃそうだよな」

「カオルはホビットのとこで不自由はなかっただろうけど服の趣味はな」

「僕は好きですけどねスチームパンク」

「…人それぞれだ」

「まぁ好きな服とか買ってくるさ」

「俺たちもいきません?」

(そうだったな、とりあえずこのスチームパンクな服はかっこいいが浮いてるからな)

 と言うわけで出て来たが、ネアノアはスチームパンクの格好が似合ってるしいいか。


 とりあえず無難な格好を俺は選んで買っているが、クオンやイサムも自分好みの服があったみたいでよかった。ダウンもなんだかんだでライダースのジャケットが欲しいみたいだったので買ってやる。

「あ、ありがとうございます」

「…欲しいのがあったら言え」

「は、はい!」

 まぁ、金はあるから問題はないが、クオンは服が好きなんだな。

 そして露店を回っていると、

「これはいくらだ」

「それはまあまあ値段しますよ?」

「ケント様、あまり無駄使いは」

「そ、そこまで高いわけじゃないよ!き、金貨一枚でどうだい?」

「なぜそんなに高い?それは開くのか?」

「くっ、開かない、銀貨一枚でどうだ?」

「よし買った」

「ふう…」

「なんでそんな開かないバッグ買うんですか?」

 “解呪”

「よし、中身は?」

 金貨や他にもマジックバッグが入っているな。

「ほら、これはクオンにだ」

 ベルトループ付きのバッグだ。

「へ、これってもしかして?」

「マジックバッグだ」

「やった!欲しかったんだ!」

「僕には?」

「悪いが一個はカオルにだな」

「あー、それじゃしょうがないね」

 露店をめぐると色々とあるな。

 持ち主がいなくなって封印されてるバッグは結構あったので買っていく。

 なぜ封印されているかは俺にもわからないが、解呪できるから買って損はない。

 これでイサムにも渡せるな。

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