第71話 カオル
「ふぅ」
熱かったなぁ、でも今はそれ以上に冷たいものが飲みたい!収納からエールを取り出し氷魔法でキンキンにしたらそれを飲む。
「…っは!美味い」
「はぁ、はぁ、ケント様」
「ほれ」
キンキンに冷えたエールをダウンに渡すと、
「ングングングングッ!ッパハァァァ!!」
天国にでも行ったような顔をしている。
「う、美味い!これは最高ですね!」
「…だな」
と服を着て部屋に戻るとイサムやクオンに熱いと言っておく。
そして夕食になるとダダダダダダダダダッと2人が競うように降りてくる。ルビーとボン婆はなぜそこで競うのか?
「ケントーはよこんかい!」
「そうよ!ご飯よ!ご飯!」
「…今行く」
そしてみんな集まると酒盛りが始まる。
「うめぇ!やっぱ人の作った料理の方が美味く感じる」
「そうか?クオンの料理も負けてないぞ?」
「気分の問題っすよ!作って喜んでもらえるのは嬉しいけど、作ってもらうのも嬉しいんです」
「…そうか」
「あっ!またダウンが!」
「テメェダウンそれこっちにも寄越せ!」
「また頼めよ!これは俺が」
楽しい夕食がひと段落した頃に、
「さてどうやってここの一番上の人に会うかだな!」
とクオンが言う。
「まぁな」
「そんなの行ってみなきゃわかんないでしょ?」
「そうですね、ランクSのギルドカードもありますし」
「んじゃ。明日男組で行ってみるよ」
「おっし!行きましょう!」
「ラスト1人に会いに!」
「「「おおー!」」」
(さて最後はどんな人かな?)
次の日は買い物し隊にネアノアメリッサが加わってゾロゾロと出て行ったのでこっちも行動に出ることにする。
宿屋の女将に聞くと、機械国家は君主制らしいので国王がいるとのことだった?
なら一番でかい建物だな!
「あ、あそこだね」
「おぉ!それなりにでかい!」
街の中心にでかい建物があった、やはり門番がいるので兵士に会えないか聞いてみる。
「は?国王に会いたいだと?何の用だ?」
「ここに人間がいると聞いて来ました」
「ん?カオル殿のことか?」
「多分そうですね!同郷のものが来ていると言って貰えばわかるかと」
「同郷とな!わ、わかった!聞いてくるのでしばし待たれよ」
本当に少し待つと!
「わぁお!ほんとに日本人じゃない?」
「あなたがカオルさん?」
「そう、
「だから少し整った顔立ちなんですね」
「そうね、貴方達だけ?」
「もう1人セイランって女の子がいます」
「そう!会ってみたいわ!」
「…カオルはもう帰れないのは知っているのか?」
「え?!やっぱり帰る方法は」
「ないな。俺らはもう一度死んでいるからな」
「そう、夢じゃなかったのね」
「俺たちは旅をしながらスローライフをできる場所を探していてな、そのついでに5人の被害者を探していたんだ」
「そうそう、俺たち結局、神様に色々貰ったけど、平和なとこで暮らしたいじゃん?」
「…そうね。わたしもそう思うわ」
となぜか残念そうだが、
「もしかして帰れると思ってたのか?」
「もしかしたらね?そのために努力してたけど」
「そうか、だがこれは神に一度聞いたからな」
「そうなの?神にもう一度会えたのね?」
「あぁ、ダンジョンを攻略した時と、神に祈りを捧げた時の2回な」
薫は金髪をかきあげると。
「それじゃしょうがないわね」
と諦めたようだ。
クォーターと言っていたが外人でも通用しそうなスタイルで髪も金髪ロングのストレートで綺麗な子だ。
「さてどうする?俺たちはいまからまたスローライフを求めて旅に出るが?」
「もち、一緒に行くわよ!話が合う人がいなくて散々だったのよ!」
「話が合わない?なんのことだ?」
「ま、待つんだもんね!我の婚約者をどうするつもりなのね!」
「…こう言うことよ」
「…そうか、大変だなあ」
「ちょっと人ごとじゃないわよ?彼ここの王なの!ほんとにしつこいしどうしようか困ってたのよ!」
「王様からの求婚なんてすごいじゃないか?」
「…性格悪いわね」
「…まあな、で?そこの王様は婚約者だと言っているが?」
「勝手に話が進められただけよ!」
「な!私は心から愛しているのだぞ?カオル!ここにいてくれ」
「なんか良い人そうだから斬る事も出来ないな」
「な!?なんて野蛮なこと言ってるのよ!」
「クオンにイサム、なんか方法はないか?」
「まぁ、勝負するとか?」
「好きな男と出会えたとかなんとか言えば?」
「はぁ、勝負かな?」
「その前に話し合いだな」
「王よ!話し合いの場を設けたいのだが?」
「…わ、わかった!こちらで用意しよう」
俺たちは王が用意した部屋に案内される。
飲み物は勝手に出して飲んでいる。
「な、飲み物が?」
「あぁ、これは俺の収納から出したものだ」
「収納持ちか!くうぅ!羨ましい!」
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