第70話 機械国家


「さっさと機械国家とやらにいきましょう!」

「…そうだな」

 俺たちは前倒しで出発することにした。

 と門には領主がいた。

「もう行くのか?」

「あぁ、ここは最悪の街だった」

「悪い奴はどこにでもいるもんだ!」

 と首を斬ったのは昨日の女だった。

「そこまですることか?」

「あぁ、悪い奴らは俺の領地にはいらん!」

 善悪も偏りすぎると毒だな。

「そうか」

「ではな」

 と言って別れた。


 一日で国境まで着いた。

「それでは良い旅を」

「…あぁ」

 と門を潜り反対側へ出ると、

「ほい、ギルドカード見せてね」

「…」

「ランクS!凄いねお兄さん!」

「…まぁな」

「それじゃあ通ってよし!」

「そうだ!ここに人間がいるって聞いたんだけど?」

「ん?カオル様のことか?なら国王に会いに行くと良い!」

「わかったわ!ありがとう!」

「いえいえ!良い旅を!」


(旅をしていていろんな門番を見て来たがあんなあっけらかんとしているのは初めてだな)

 昼も過ぎているので急いで村へといき何とか宿が取れた。

 へぇ、流石機械国家と言われるだけあるな。シャワーは蛇口をひねると出てくるな。


 蒸気の力で色々動かしているみたいだな。

着てる服装もスチームパンクのような服装だ。機械の動く音がしていて、一定のリズムを奏ででいる。

「すっごい可愛い服屋を見つけたの!」

「…そうか、まぁ明日見にいけば良いさ」

「うん!あぁ、これで村なんだから街はどんなんだろう!」

「そうですね!国土が小さいんで一日二日で辿り着きますよ」

「…ホビット族なんだろ?サイズはあるのか?」

「あ、そうね。まぁそのときは小さい子達のを買うわよ!」

「そうか」

 夕食どきに女将に聞くとやはりホビット用の服しか置いてないっぽいな。他のサイズは街に行かないとないようだ。

「くぅー、しかしネアノアやメリッサに買えるから良いとしよう!」

「では街までの辛抱だな」

 本当にスチームパンクの世界に飛び込んできたような村だな。

 次の日は買い物し隊にネアノアやメリッサも取られてしまったので男4人でぶらりと回る。

 “ガションシューガシャン”

 と聞き慣れない音を聞きながら武器屋に立ち寄るとスチームブレードなど独自の武器がある。

「おぉ!これかっこいいですね!」

「でも素材がな」

「それでもですよ、こう変身ヒーローの武器みたいじゃないですか?」

(言われてみれば一癖ありそうな武器ばかりだ)

「うおー、ソードアックスなんてあるし!」

「なんだそれは?」

「ロマン武器ですよ、変形してアックスにもソードにもなるんです」

「へぇ、上手いこと考えて作ってるんだな」

(だがすごく壊れやすそうだ)


 宿に帰るとスチームパンクに身を包んだ3人がいた。

「あはは、可愛いね?」

「そう?」

「…可愛いよ」

「えへへ」

 と帽子をかぶって顔を隠してしまうネアにどうだと言わんばかりに格好つけるノア。

「メリッサも可愛いぞ」

「…はい!えへへ」

「くぅー!私達もヘア飾りやブローチなんかを変えたのに!」

「ハハッ!ネアノアメリッサの完勝だな」

「間違いないわね」

「それは認める」

「ボン婆はジャラジャラつけすぎじゃないか?」

「これが良いんじゃよ」

 と、頭のゴーグルをつけて見せる。

(まぁ、似合わないわけじゃないな)

 

 次の日は都を目指して途中は寄らずに行くことにした。

 道も舗装されてるし馬車も走りやすくなっている。

「走りやすいですね」

 とゴーグルをつけたリシェルが横に座っている。ゴーグルも凝った作りをしていて可愛いな。

 都に行ったら馬車の改造でもしてもらおう。

 野営をしていると上記で動くバイクに乗ったヤンチャ坊主達が通って行った。

 やはりどこの世界にもヤンキーはいるもんだな。それにしてもあれも一台欲しいような気がしているのは気のせいか?

「おお!あれかっこいいですね!」

「バイクの原型って感じですよ」

「フオォォォォ!!」

 と男3人は盛り上がっていた。

(まぁ一台くらいなら載せても良いがな)


 都にはそれなりに野営しなければいけないが毎日通るバイクや、蒸気の上がっている村を見て楽しく過ごせたし、盗賊に出会わないのが一番ありがたいな!


 大きな橋を渡ると大きな街が見えて来た。あそこが都であっているだろう。

「見えましたね!」

「あぁ、ようやくだな」

 はやる気持ちを抑えながら馬車は進み、ようやく辿り着く。

「ギルドカードを」

「ら、ランクS、どどうぞお入りください!」

「ありがとう」

 と言って、一番大きな宿に泊まることにする。

「おお!大浴場がついてるっすよ!」

 風呂好きのダウンが食いついているので、まだ夕食まで時間がある。行ってみるか。

「ぬおぉぉぉぉ!あづいぃぃぃ」

「…な、慣れだな」

 ビリビリ来るくらいまで熱くしなくても良いと思うが他の客はゆったりと浸かっている。

 ようやく慣れたがこれは熱いな。

(のぼせる前に上がろう)

「くうぅ!これはたまらないなぁ!」

「…まぁ、人それぞれだな」

 ダウンはこの刺激がたまらなくなったみたいで水風呂と交互にはいっていた。

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