第69話 情報
「さて出発じゃー!!」
「はい!」
あと一つ街を通れば機械国家だ。
「ありあとやしたー!」
と、いらん見送りがついたがまぁ良いだろ。
次の街まで馬車は走る。今度は2日で到着する。辺境伯の街だ。
(今度こそ何も起きませんように)
辺境伯領に着く、まあ普通に通してもらい宿を取ると部屋に風呂がついていたので風呂に浸かる。
「チャプチャプ」
「キャア」
とネアノアが入って来たがまぁいいか。
体を洗ってやり髪も洗う。
「ゴシゴシ」
と俺の背中を洗ってくれ、風呂に一緒に浸かる。
「ふぃー」
「「ふぃー」」
と何でも真似する2人をダウンに拭いてもらい、風呂から上がるとお湯にクリーンをかけておく。どーせダウンが後で入るのだからな。収納からジュースを出して氷魔法で冷やして渡すと、
「ぷはっ!」
「ちめたーい」
とこれまた可愛い反応だな。
俺はエールを飲んで、
「くっは!」
「「「あはははは」」」
3人で笑っていると、
「あっ!やっぱりって一緒に入ったんですか?」
「あぁ、まだ小さいしな」
「ネアノアに先越された」
「…」
何を言ってるんだパールは?
「あ、それより兵士が来てるよ」
「…はぁ」
下に降りて行くと兵士がいた。
「ランクSの冒険者とは貴殿のことか?」
「…あぁ」
「では我々と一緒に来てもらおうか?」
「なぜ?」
「辺境伯様がお呼びだからだ」
「…はぁ」
「ついてきたまえ」
「…」
ついていき馬車まで案内され乗ると、辺境伯の館まで連れて行かれる。
これまた立派なお屋敷だ。
「入りたまえ」
「…失礼します」
「ふ、挨拶はできるようだな」
「…なにか?」
「いや、ワシの辺境伯領では勝手は許さん」
「…はあ?」
「もう何人も捕まっておるようだが、貴族の腐敗が表に出たことは礼を言うが、それで調子に乗ってもらっては困ると言うことだ」
「…はぁ、別に調子には乗ってない」
「分かった。だが後何日入るつもりだ?」
「二、三日だろうな」
「ではそれまで問題を起こすなよ」
「それは約束できないな」
「なぜ?」
「俺は俺のために動いてる。俺の仲間に傷つけることがあれば動く」
「分かった、それはいい」
「それだけか?」
「あぁ、それだけだ」
「では帰る」
「あぁ、お前の仲間の双子の親だが、もう死んでいる」
「…なぜ知っている」
「我が調べさせた」
「どいつがが殺した?」
「もう死んでおる」
「…そうか、貴重な情報ありがとう」
「いや、いい」
俺は外に出てまた馬車に乗り宿に戻る。
宿に戻るとルビー達があつまってくる。
「なに!大丈夫なの?」
「ああ。大丈夫だ」
「それなら良かったけど」
「それと、これは秘密だがネアノアの親は死んでいる」
「それは…情報としてね」
「そうだ」
「わかった」
小声での話は終わった。
「よし!飯でも食おう」
「「「おおー!」」」
「ダウンは知り合いには会えたのか?」
「あはは、どこにいるかはわからないんで、まぁ。会えたらって感じですね」
「そうか、すまんな」
「何言ってんすか!これまでの行動に俺は胸を張ってますよ」
「…おう」
次の日はネアノアやメリッサ、ダウンにクオン、イサムと街歩きをしていると。
「ネア、ノア…良かった」
と歩いてくる女がいた。
「ダウン!」
「うっす!」
「な、なによ!私の子供を返してよー」
「…どっちがネアでノアだ?わからないだろ?」
「私の子供なのよ」
「知ってるか?親はもう死んでいる…こんなこと言わせるんじゃねぇ!」
「ひっ!」
「まてよ!お前は兵士に突き出してやるから」
「ま、待ってよ!まだ何もやってないでしょ?」
「お前は重罪だ!さっさとこっちに来い」
「いや!な、なんで!」
「悪いがお前はランクSの逆鱗に触れたんだ。殺されないうちに来い!」
「ひっ!」
女は連れて行かれる。
「俺らが親だ」
ネアノアを抱きしめる。
「へへっ」
「ぎゅー!」
宿に帰るとルビーがキレていた。
「今日だけで何人きたと思う?ふざけんじゃないわよ!昨日聞いてなかったらほんとかと思うやつまでいたわ!」
「こっちも1人きたな」
「どいつもこいつもなんなのよ!どんな気持ちで…」
涙を流しているので抱きしめてやる。
「わ、私たちでそだてるのよ!」
「…ああ!」
「全員兵士に引き渡してやったわ!」
「そうだな」
「絶対許さないんだから!!」
次の日は朝から宿にくる女がいた。
「殺されたいのか?」
「わ私はあの子達の親よ」
「死んでんだよ!」
「え?そ、そんな」
「殺す」
「待った!待った!うぉ!危ねぇ!」
「ダウン」
「こいつらも連れていきますから!」
「あぁ」
もう俺にとって獣人国に良い思い出はないな。
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