第65話 怪しい村


 機械国家に行くまでに3つの街と村を経由していかなければいけない。最後は西の辺境伯領だ。

 東のイデオンのようではなければ良いのだがな。

「ようやく領主と別れられたね」

「…そうだな」

「よっしゃ!出発じゃ!」

 次の街まで3日かかる。

 まぁ、馬の足並みを合わせながらゆっくりとした旅だ。まぁ、

 夕食は久遠の手料理だ。

「うまうま」

「美味いってよクオン!」

「そりゃ良かった」

「…本当に美味いな」

「あははありがとう」

 どんどん料理が上手くなっていくクオン。


 飯が終わるとグラムとクオン、イサムは対戦している。

「まだまだっすね」

「いくぞ!」

「よしこいっす」

 グラムも短剣術をあげたいのだろうしクオンとイサムもやはりそうなのだろう。

 セイランは裁縫をしている。

 メリッサやリルルも一緒になってしている。

 やはり女と男は違うようだな。

 そして夜番はグラムとミイ、スィとトパーズなんかで交代しながらやってくれている。

 これだけいれば襲われても返り討ちにできるが用心は大事だからな。


 朝が来て朝飯をしっかり取ってから出発だ。 

「もう、今日にはつきそうですね」

「そうだな」

「ようやく休める」

「そうっすね!ベッドが恋しいっす」

 とみんな口々に言うので早めに村に入る。


 兵士が変だったがとりあえずは今日一日だから大丈夫だろう。


 宿に泊まり馬車を改められてから、宿に入れ風呂に浸かる。ぬるいな。あまり良い宿ではないのか?


 その割には高かったがな。

 夕飯を食べに下に集まると夕食を頼む。なぜか夕食がもたついているようで出てくるまでに時間がかかったが、味は…正直不味かったな。


「なんか変じゃないっすか?」

「…まぁな」

「この村の人が全員変だよ?」

「分かってる」

 全員が睨め付けるように俺たちをみていたからな。


「夜になるまえにちょっと配置を変えとくか」

「「「はい」」」

「うん。私達もそう思ってたから」

 さて気のせいだと良いのだが。

 夜遅くなるとやはり来たか!

「ボン婆!」

「ライト」

「うわっ!」

「殺すなよ!」

「うっす!」

「わかってる!」

 捕まえたのは盗賊達だ。

 ここは盗賊の村になっていた。

「村の人たちは?」

「けっ!ほとんど殺したよ!」

「ほとんどってことはまだ生きてるな!」

「どこにいるのよ!」

「村長の屋敷さ!」

 やけに喋るな!

「…何があるんだ!」

「あんたらじゃ親分に勝てないからな」

「へぇ、そう?」

「それじゃあ私達はここを守っとくよ!」

 パールが言うので任せることにした。


 村長の屋敷は一番でかい屋敷だな。

「おらっ!」

 とダウンが扉を蹴破り中に入っていく。

 走って中に入るとワニ、蛇、ライオンのメスか?の獣人がいたので、まずは話からと思ったが、

「ウガァァァァ」

「おらっ!」

 噛みついてくるワニの顎にアッパーを繰り出すダウン。天井に突き刺さりぶらんと垂れている。

「シャー」

「じゃあ俺が」

 とクオンが行く、なんとか戦いになってるな。

 残りは女盗賊だ。

「何でこんなことを?」

「ここは元わたしの村さ!だから奪ってやっただけだ!」

「身体強化!アクセル」

「な?!」

 首に剣を突きつけて、

「…お前の負けだ」

「くっ!ウガァァァァ」

「チッ!」

 と斬るしかなかった。

「うあ…」

 殺すわけには行かない!

 


 村人全員を捕縛して村の中央に集めると20人以上になった。

 そして捕まっていた人々を開放すると、

「この野郎!育てた恩を忘れやがって!」

「そうよ!あんたなんか忌み子なんだから村から出て行ってせいせいしてたってのに!」

「何で帰って来てるのよ!」

 と罵声と石が投げられる。

「あんたら!」

「…待て」

「テメェらが売ったのはアタイだけじゃないだろ!」

「な!」

「こいつらの顔見て何かわかんないのか!」

「し、知らぬぞ!ワシは知らない!」

「う、うるさいわね!あんたはもう終わりなのよ!」

 何か違う、間違っているな。


「話は聞いたがお前ら子供達を売っていたな?」

「な、何の話だい?!知らないやつには関係ないだろ」

「そうか、こいつらも捕縛しろ!」

「ガッテン!」

「キャアァァァ」

「な、何すんのよ!」

「うるせえ」

「ゴブッ!」

「…」

 静かに縛られる村民共を傍に添えて、

「おい、お前たちは奴隷か?」

「そうさ!奴隷だよ!こいつらに売られたんだ!」

「嘘だ!こいつなんか売った覚えはない!」

「はぁ、黙ってろ?」

「う、ぐっ!」

「なぜこんなことを?」

「私らは全員この街で生まれたのさ。で、ある日突然売られるんだ。行商人が来てな」

「そりゃひでえ」

「しかもこんなに沢山?」

 女盗賊はまだ話続ける。

「味をしめたのさ!子供を売れば金になるってね」

 放って置けないな。

「おい、本当か?」

 首に剣をつけて話をさせる。

「で、できごころだったんだ!な、なぁみんな」

「わ、わたしは止めたのに村長が!」

「わ、ワシのせいにするな!ワシは知らんぞ」

 と情けなくなすりつけあっている。

「で?行商人は?」

「殺してやったさ!惨たらしく泣き喚く様は面白かったぜ!」

 どっちもどっちだが、責任はこの村にあるな。

「はぁ、リシェル?どっちが近い?」

「王都ですかね?」

「ダウンいけるか?」

「うっす!」

 ギルドカードを預けてダウンに馬で王都まで行ってもらう。

「ま、待て!ワシ達はどうなる?!」

「それは裁かれて当然のことだ。俺の知るところではない」

「そ、そんな!私達はただ売っただけよ!」


「それがこんなことになってるのが分からねえのか!!」

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