第64話 一休み


 次の日は王城に行かなければいけない。

 領主が迎えに来たので馬車に乗り込む。

「緊張して…ないな」

「まぁ、王様に会うのが初めてじゃないからな」

「まぁ。お前なら城のもの全て破壊しそうだけどな」

「しない」

「わかってるよ!するなよ絶対!」

「しないって」

 武器を預けて王より手前で止まり膝をつく。

「おもてをあげよ」

「は!」

「…」

 白くてでかいライオンだったが

 人化をする。

「我がこの獣王国の王、グラインである」

「…ケントです」

「ほう、今のを見せたのに少しも動揺しないのは」

「…してますよ、ただ感情が追いつかないだけで」

 グラインは笑う。

「カッハッハッハ、ランクSなのに素直だな」

「…別に」


「して今回の件、誠に申し訳なかったな」

「…いや、あれは分からないだろう」

「イデオン辺境伯領はクアラドルに統括してもらう!いいな?」

「はっ!」

「して、褒美は何がいい?」

「んじゃ金貨で」

「地位や名誉は?」

「必要ない」

「カッハッハッハ!そうか、クアラドルから聞いていたが旅人だったな」

「はい」

「では金貨10万枚を与えよう」

「ありがとうございます」

「なに、それだけ今回のことは根深い、芋蔓式に今貴族が捕まっておる」

「…へぇ」

 ちゃんと分かってるな。絶対に辺境伯だけじゃないだろうからな。

「我の目の青い内は勝手は許さん!まだ王都にはおるのであろう?」

「多分…見知らぬ人間の噂は聞いてませんか?」

「見知らぬ人間?」

「素性のわからない人間ですが」

「お主と一緒か?」

「…そういうことです」

「ふむ、魔王国に1人、あと機械国家に1人聞いたな」

「魔王国はもう言って来ましたので、機械国家ですか?」

「そうじゃ、ホビットのいる国じゃな」

「ありがとうございます」

「なに、これくらいならお安い御用じゃ」

 と言って金貨10万枚をもらい王城を後にする。


「次は機械国家か?」

「そうですね。地図ももらったしな」

 簡易的な地図だがどの国がどれくらいの国土なのかがわかるな。

 そして獣王国の隣が機械国家らしい。国土としては小さな国だ。

「この空いてる場所ってのは何なんですか?」

「そこは死の大地だ。作物は育たないし、植物がないから魔物どももいない大地になる。開拓しようと息巻くものもいたがやはりダメだったようだな」

「…そうか」

(そんな場所でスローライフは出来ないな)


 王城から出るとみんなのところに戻る。

 みんなが心配していたのであったことを話してみる。

「じゃあ次は機械国家ね」

「そうだな」

「アヒャヒャヒャ、ケントは古代魔法を覚える気はないかい?」

「…なぜ?」

「もしかしたら死の大地が生き返るかもしれないからじゃ」

「…それは良いかもしれないが」

「では、機械国家の後は魔王国に行ってみようか」

「…分かった」

「すぐにでも出発出来るけど?」

 とルビーが言うが今回弾丸で王都まできたしな。

「いや、二、三日は休みにしよう」

 みんなが嬉しそうに騒ぎ出す。久しぶりの休みらしい休みだからな。

「後1人が心配だが、その前に少しリフレッシュしないとな」

「オッケー!んじゃ買い物し隊集合!!」

「…ふっ」

 いつも通りだな、みんなゆっくりしてくれ。

「みんなで行かない?」

 とパールが言う。

「たまにはそうね」

「…わかった」

 しょうがない。

「やったー!」

「そうじゃのう」

 ボン婆達も一緒だから21人全員で街を散策する。

「アヒャヒャヒャ、これは良いのう」

「派手だね!でも作ってあげるよ」

「良いねぇ、よろしく頼むよ」

 とセイランに生地を渡していたり、


「どうですか?これなんて?」

「…」

「黒と紫どっちが好みです?」

「…」

「じゃーどっちも買おっと」

 と下着を買うのに付き合わされたり。


「おっ!人が多いね」

「やっとくか!」

「おっし!みなさーん!チュウモーク!!」

 マリンとウリンが大道芸を始めたり。


「これこれ」

「…へぇ、綺麗なもんだ。選びなさい」

「やったー」

「やったー」

「メリッサも選びな」

「私も?」

「あぁ、仲間だろ?」

「はい!」

「あー!私も欲しい!」

「リルルも選べ」

「はーい!」

 と髪飾りを選んでみたりと結構楽しい。


「これうめっ!」

「あ、まじだ!」

「醤油使ってるね」

 男3人は買い食いオンリーだな。


 2日間も買い物で費やした。

 王都はかなり広いからまぁ、楽しかったな。


 さて1日は本当にまったりして過ごした。

 みんな寝てゴロゴロしてるか、なにかセイランみたいに作っていたり、各自部屋でやることやって夕食に集まり飯を食いながら明日のことを話す。

「明日から機械国家に向かう」

「「「はい!」」」

「まぁ、そのための準備もできてるな?」

「「「はい!」」」

「…よし、んじゃ明日からまた旅だから頑張ろう!乾杯」

「「「「カンパーイ」」」」


 つぎは機械国家、どんなところかはわからないが日本人を探してやらないとな!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る