第48話 スリーインザブラック
「それパッジェロ!それパッジェロ!」
『五月蝿いぞ?もう少し厳粛にできないのか?』
(ここはまた女神の作り出した空間だ)
目の前のダーツはいつものダーツだな。
「俺から行こう」
“トス”“トス”“トス”
とインブルと呼ばれる真ん中でも黒い色の中に全てが刺さる。
『な!スリーインザブラックだと!これは出来すぎだろ!』
「…俺の実力だ」
『女神よ…分かっててこの勝負仕掛けたな?』
「あったりー!こいつがヘマするとこ見てみたかったのもあるけどね、でも三つともインブルに入れるなんて神でも分かんないわよ!」
『分かった、では解呪の力をくれてやろう!だが!犯罪奴隷や借金奴隷は別だ!あくまでも非合法な契約のみとする!』
「…分かった。感謝する」
『よい。私も乗ったのだからな』
「女神よ。感謝する」
「いいってことよ!」
と言って目の前が白くなるとあぐらで目の前にはテスカトリポカの像があった。
俺は一礼をしてその場を去る。
そして馬車に戻る。
「違法奴隷のみんなは並んでくれ」
10人中8人が並ぶ、とりあえず解呪をしていく。
「ディスペル」
1人ずつ奴隷から解放して行く。
解放されたみんなは嬉しそうでよかった。
「リシェルは」
「嫌です!私は一番奴隷ですから!離れませんからね!」
「分かった。じゃあネアとノアだな」
「はい!」
「はぁい!」
2人も解呪していく。
「…あとは」
(ダウン、ミイ、スィは借金奴隷だったな、アンバーとレアルだな)
だが2人とも借金奴隷であった。
2人とも親の借金のカタとして売られた様だ。
(残り2人は?)
「あんた達はなんで奴隷に?」
「わ、わたしは借金の肩代わりで」
「私は犯罪奴隷さ」
「何をしたの?」
「は?犯されそうになったんで殺してやったら犯罪奴隷落ちだよ!どうでもいいだろ?」
と自分のことを諦めてしまっている。
「…ルビー」
「分かってるわよ、出して」
8枚の奴隷契約書は燃えてしまってカスになっていたが2枚の奴隷契約書はあったのでそれを煤を払いながら渡すと、早速奴隷契約に入る。
「な!わかってんの!?私は」
「うるさいなぁ、あんたのせいじゃないでしょ?」
「…」
「あんたが犯罪犯す様なことしたら売り飛ばすけどね」
「…分かった」
2人の奴隷契約は終わり、濃い金色の髪を後ろで括って目が大きくクリッとしているのがトパーズ、犯罪奴隷で金髪ベリーショートなのがパールだ。2人ともエルフである。
これで奴隷はリシェル、ダウン、ミイ、スィ、アンバー、レアル、トパーズ、パールの8人になった。この8人はもう奴隷解除出来ない。
(いや、リシェルは違うから7人だな)
ネアとノアの解除ができたのは嬉しいことだな。
「あんた達は行く当てあるんでしょ?都までしか連れて行かないわよ?」
「はい!」
「…これを」
「やめなさい!金貨なんか渡すのは!それじゃなくても違法奴隷の解放なんてしてあげたんだからね」
「そうですよ!もう十分です」
8人は頷くと後ろの馬車に乗り込む。
「私達は?」
「トパーズとパールは前の馬車に乗りなさい!後ろがキツくてしょうがないから!」
「「はい」」
そして都まで馬車で向かい8人を下ろす。
途中で違法奴隷商は捨てて来た。
8人には内緒で金貨を4枚渡した。バレてると思うが。
(さすがに文無しじゃ可哀想だしな)
都の前で別れたので馬車が先に門に入って行く。ギルドカードを見せると驚かれたが別に問題はない。
普通に入れたので宿を探す。聖教国というだけあって白い建物ばかりだな。
宿に着くと部屋割りだ、俺とダウンは固定だ。あとマリンとウリンも2人部屋だ。
ここは4人部屋までしかないので、ボン婆、シン、ネアノア、セイラン、が同室。
ルビー、リシェル、ミイ、アンバー、が同室。
スィ、トパーズ、パール、レアルが同室ということになった。
まぁ、金はあるから問題はないのだが、相性の問題だな。まぁ、これまで一緒に旅して来たのはわかるが、パールとスィが衝突した。
「は?私は夜伽に行くんだ!」
「だからダメなのよ!リシェルさんだって言ってないんだから!」
「何故だ!男なら溜まるだろ!」
「うちの方針だ!嫌なら出て行け!」
「分かった!私が言って確かめる!」
「…で、きたわけだ?」
「そう!私の体じゃ満足できないかもだけど、一生懸命やるからさ!」
「はぁ、俺は仲間だと思ってるし、できれば傷物にしたくない」
「私は自分から来たんだよ!抱いてくれって!」
とここでリシェルが額に青筋を立てて入って来た。
「ちょっとおいたが過ぎるわね!」
「な、イダダダダダダ!」
「こっちにおいで」
と言うことでミイとパールが交代したそうだ。
よかった、断り方を考えとかないとな。
「そろそろ夜伽を考えてもいいんじゃないですか?」
「ダウン?俺は傷物にしたくないんだ。俺みたいなおっさんにみんな優しいだけだからな」
「…そんなことないっすって!自己評価が低すぎですよ」
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