第49話 パール


 朝起きるとパールが横に引っ付いて寝ていた?

「ん…なんで?」

「あ、ご主人様!おはようのチュー「こら!」あ!」

 急いで入って来たのはリシェルだ。

「あんたは!ダメだって言ったでしょ!こっち来なさい」

「イデデデデデ!耳千切れちゃうって!」

「…はぁ、びっくりした」

「ははは!ケント様も!ビックリするんですね」

「…そりゃするだろ」

「まぁ、俺は知ってましたけど知らんぷりしてました」

「はぁ、心臓に悪い」

「そうですか?パールも美人じゃないですか!」

「だから余計にだよ」

「はぁ、ケント様はもっと自信持っていいと思いますよ?」

「…」

「わかった、わかりましたよ!」

「…ならいい、風呂に行くぞ」

「はい!行きましょう!」

 ダウンの風呂好きにも困ったもんだ。

「ここの風呂はサウナがついてるそうですよ?」

「…そうか」

「整うってどうなんですかねぇー」

 と言ってルンルンで向かう。


 ひとっ風呂浴びて朝飯だ。

 パールも朝飯に食いついている。

 リシェルがホッとした顔で俺の方を見ると目が合って笑う。

 本当にいい女だからこそどうにかしてあげたいな。


 買い物し隊が出動する。パールとトパーズの服も買わなければならないし武器防具もだな。

 ボン婆はいつも通りシンと2人で行動しているし、マリンとウリンは金を稼ぐと言って大道芸をし始めた。


 都はにぎわっているので楽しいな。

 デカい大聖堂があり、その真ん中にはでかい木が一本生えているな。

「あ、あそこには近寄るなってリシェルさんからいわれてますので!」

「…なぜ?」

「さぁ?でもリシェルさんが言ってんだから近寄らないほうがいいっすよ」

「…そうだな」

 ネアとノアを抱いて遠ざかりまた喫茶店に入る。コーヒーを飲むと落ち着くな。

「このパスタうめぇっす!」

 ダウンはパスタを食べコーラを飲んでいる。ネアとノアはケーキセットだ。


 十分時間を潰したので宿に戻ると、扉を開けた瞬間にパールが飛んできたので受け止める。

「…大丈夫か?」

「あ、ご主人様」

 と抱きしめてくるが、誰だ?と思うと目の前にエルフの男がいた。

「そこのゲスな女の主人か?そいつを買い取ろう」

「…あ?」

「聞こえなかったのか?その女を買い取ろうと言っているのだ」

「ご主人様…」

 と微かに震えている。

「…お前に売るものはないな」

「なっ!お前は俺が誰だか知っているのか?」

「知らんし、知る価値もないな」

「な!?くっ!お前の顔は覚えたぞ!」

 と、扉をくぐり去って行く。


「あ、ありがとうございます」

「…あれは誰だ?」

「私が殺したのはあいつの息子です。あいつはこの都では有名な貴族で、息子もやりたい放題でした」

「へぇ、貴族ね」

 と後ろ姿を見るとあまり好かれていない様だな。

「よくやったと褒めてやりたいがくっつき過ぎだ!っとにもう!」

「イデデデデデ、もう耳はやめてくださいよー」

「さっさと離れる!で。あの貴族ですけど大丈夫ですか?」

「…まぁ、なんとかなるだろう」

「流石ご主人さま!」

「貴女はもう」

「いや、俺が売られた喧嘩だからパールは関係ない」

「ご主人様…」

「パール?ちょっとこっちで話し合いましょう」

「い、いやぁぁぁぁぁぁ!」


「まぁ、しょうがないのぉ。あひゃひゃ」

「ボン婆はいい酒でも見つかったのか?」

「よくぞ聞いてくれたのぉ!これが」 

 とボン婆は一本の酒を取り出して喋り出す。しょうがないので席について夕食を頼み晩飯にする。

 パールもなんとか戻ってきて、俺の横に座ろうとするのを止められ、リシェルが座ると、その隣に座って黙々と飯を食い出す。


 酒を飲み飯を食っているとさっきの男がまた現れた!

「さぁ、これでそいつを買おう!」

 金貨袋には大量の金貨だ、が必要ないな。

「…売るものはないと言っているが?」

「は!たかが小娘1匹の値段だ、それで足りるだろう!」

 パールにら手を伸ばすので手を斬り落とすと、

「ぎゃあぁぁあ!」

「触るな下衆が!」

「アァァァァ!!」

「ったく、ヒール」

 手を引っ付けて回復魔法を唱える。

「アァァ…はぁ、はぁ、はぁ、」

「…勝手に触るなよ?」

「お、お前はどうかしてるのか!人の腕を斬っても動じないなんて!」

「それ以上にひとは斬ったからな」

「…こ、こちらも後に引けないこともある」

「…お前の息子が犯そうとして返り討ちにあったんだろ?」

「違う!その女がたぶらかして殺したのだ!」

「…あ?神に誓えるのか?」

「な、何故神に誓わなきゃならない?」

「神はいる、それに誓いを立てろ!そして俺と決闘でもするか」

「な!お前は神に誓うのか!?」

「当たり前だろ?パールが言うことが間違ってると思ってないからな」

「お、おまえは神を冒涜している!」

「…お前は何様だ?とりあえず表に出ようか?」

「あんたの負けよ?この人はランクSの冒険者、勝てると思ってるの?」

「は?な、なに!く、そ!また来る!」

 と言って男は去っていき。パールは目がハートになってるな?

「ご、ご主人様!」

「だ、だめ!ほんとにダメです!」

 リシェルとパールの攻防を見ながら飯を食い、ダウンとネアノアと一緒に上に上がる。

「アヒャヒャ!いいぞ!もっとやれぇ!」

 ボン婆が酒に酔って盛り上がってるな。

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