第41話 笑い
ようやく完成した馬車を取りに行く。
「よう、出来上がってるぜ!」
「へぇ、少し違うわね!」
「後ろだからな、多少は乗り心地も良くなってるはずだ」
「さすがケント!んじゃ私達はこっちに乗るわね!」
金貨50枚も出したんだから乗り心地も最高だろうな。
「わぉ!フカフカだ!」
「ほんとだ!」
「いいですねぇ!」
で馬を繋いで2号の完成だ。
ついでに1号も少し変えてもらったんだがな。
2台連なって門を潜ろうとすると、止められる。
「…なんだ?」
「あ、あの!ランクSのケント様に捕縛命令が出てまして!」
「はぁ、またあのバカ」
(まだ懲りてない様だな)
「おいお前」
「は、はい!」
「ちょっと待ってろ!」
「わ、わかりました!」
「ケント様?」
「…すぐ帰る」
走っていけばすぐに着く、館の門番に止められたが一緒に来いと連れて行く。
「ブラックホール」
館のドアを消し去るとついて来ていた門番が逃げ出した。
(まぁいいか)
確かこっちだったよな?
ミスリルソードに魔力を纏わせると扉を切り刻む。
「どわぁ!な、お、お前は牢屋行きのはずだ!行け!牢屋に!」
「けつだけじゃ足りなかったか?」
「ふ、ふざけるな!お前のせいでまだ座れないんだぞ!」
“キン”
「わ、ワシの机…わ、ワシのアダマンタイトの机が!!」
「で?誰を牢屋に入れるって?」
「し、知らん!もういい!ワシの目の前から消えろ!」
「なら来い!」
襟首を掴んで門まで走る。
“ドカッ”
「ピギャアァァァァァァ!!」
(しまった、尻から下ろしてしまったな)
「あがが!」
「…さっきの言葉を言え」
「め、目の前からき、消えてくれ」
「…」
「…は、はい。どうぞお通りください」
俺は馬車に乗り込むと馬車は門を通過する。2台とも通過した後には泡を吹いて倒れる領主と大笑いする町民、大笑いする俺の仲間たちがいた。
「ひぃー、思い出しただけでダメです。涙で前が」
「…そろそろ笑いをおさえてくれよ」
「ピギャアァァァァァァ」
「「「ブッハハハハハ」」」
ノアが真似するから後ろもつられて笑っている。
「…ノア、真似するんじゃない」
「はい」
ノアはダメなことはしない子だ。
大人がダメだ、笑い転げている。
前の御者は俺がしているからいいが、後ろの御者はミイとスィがいるが2人とも馬に任せて笑い転げている。
馬が頭良くてよかったよ。
ようやく落ち着いたらしく、ボン婆は死にそうになっているし、後ろも笑い疲れたのだろう、静かになっている。
(あぁ、領主が嫌いになりそうだ)
次の街までは3日の予定だが少し遅れているので飛ばしていく。それなりにスピードに乗った所で惰性で馬を少しずつゆっくりにしていく。
途中休憩を挟むと笑い疲れた人間はこんなになるものなんだなと思った。
(一言も喋らなくなるのだな)
ネアとノアは元気だから馬を見ている。
「…お前ら笑い過ぎだぞ?」
「…」
「…」
(なぜだれも返事をしないんだ?)
「ノア」
「ふぁーい」
「…もう一度やってみてくれるか?」
「や、やめ」
「ピギャアァァァァァァ」
「「「「あははははははははははは」」」」
「だめ!とまっはははは」
「卑怯ですフッフはははははははは」
「おな、お腹があははは」
「とりあえず笑いたいだけ笑えば治るだろ?」
「だ、だめえっへっへぇあーだめっ!あははは」
「も、もう笑いたくふ、笑いたくありませぇへ。ふふふ、あははは」
(ダメだな、これは今日は旅にならないな)
ようやく昼頃になって笑いが止むとみんな死んだ様に倒れている、また何かトリガーが引かれるとダメなんだろうな。
「ノア、もうだめだからな」
「プッ」
「…はぁ」
「もう平気よ…疲れた」
「…笑い過ぎだ」
「しょうがないでしょ?あんなにした張本人がしれっとしてるのもまた笑えてくるんだもの」
「はぁ…死ぬかと思ったっす」
「笑い死ぬことはないだろ」
「もう私一生分笑ったかもね」
と次々と復活してくるがいまだにボン婆だけは動けないでいる。
ようやく夕食になると酒を飲みに来たが思い出し笑いが激しいのかなかなか飲めないでいる。
「…いい加減疲れただろ?」
「お前はワシを殺す気か…」
「…はぁ、酒でも飲めば忘れるよ」
「そうじゃの…ふぅ、、、」
口元まで酒を持って行くが飲めないでいる。
そして夜は深まり眠りについた。
「…ようやく寝たか」
「今日のは強烈でしたからね」
(明日からちゃんと旅できるのだろうか…)
「…俺は疲れたから寝るぞ?」
「はい、俺も疲れましたから交代で寝ますね」
翌日はようやく治ったらしく怒っていた。
「後少ししか酒が飲めんのに1日損したわ」
「…そうか」
「ケントがいかんのじゃ!あんなやつ斬ってしまえば良かったのに!」
「…」
「これだから」
「ノア」
「いかん!辞めるんじゃ!ワシが悪かった!」
「…分かればいい」
「ぴ?」
「ダメだ。ノアやめなさい」
「はーい」
(こっちの世界では笑いが少ないのかな?)
少し笑いながら馬車を走らせるリシェル。
みんな、笑い過ぎだがたまにはいいのかもな。
(さて、次の街まで2日半くらいかな?ほんとにあいつのせいでロスしたな)
そして三つ目の街に到着したのは2日半かかり昼過ぎだった。馬車が2台も来るのが珍しいのだろう、門兵にギルドカードを見せる。
すぐに通されて宿に入るとようやくいつもの買い物し隊が出動していった。俺たちは疲れてネアとノアと3人でゆっくり寝ることができた。
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