第42話 オリハルコン


「アッヒャヒャ!酒が飲めるのが一番じゃ」

「飲みすぎるなよ?」

「わかってるわい」

 ここは帝国に入ってから4番目の街、相変わらず工場はあるしドワーフが多いが、この街はオリハルコンが取れるそうでオリハルコンの街とまで言われている。

 さすがにそんな街だからかオリハルコンを求めている冒険者が多い。

「とりあえず武器屋を巡りましょうか?」

「…だな」

 と行く場所行く場所、オリハルコンはないと言われ諦めかけたら露天でオリハルコンが見つかった。黒く汚れているが片手剣で、これは見た目わからないな。

「これはいくらだ?」

「お、それはいいものだぜ?」

「そうか、なら高いんだろうな」

「い、いや勉強して金貨2枚でどうだ?」

「んー、買った」

「よし!」

 と、金貨2枚でオリハルコンソードが手に入った。

 オリハルコンとはこの世で一番硬い金属らしいがどうなんだろうな。

 武器屋によってコレをメンテナンスして欲しいと頼むがやってくれない。

「…何故だ?」

「そりゃ、本当のオリハルコンを持ってこられても研げねえからだ。あそこならもしかして」

「そこはどこだ?」


 と聞いて来たのは古びた工場だった。

「すまんが店主はいるか?」

「おう!なんだ?」

「コレをメンテナンスして欲しい」

「こ、コレはどこで?」

「露店だ、俺は鑑定できるんでね」

「そうか、なんとかして見せよう」

「…頼む」

「金貨50枚だが大丈夫か?」

「あぁ、前金で払おうか?」

「いやいい、これを研げるのは俺しかいねぇからな」

 渡して数日くれればいいらしいのでそれまでこの街にいるか。


 買い物に行ったみんなもオリハルコンを探したらしいがなかったらしい?何故オリハルコンの街とも言われているらしいのにこんなにないんだ?


 夕食を食べているとオリハルコンが取れなくなっていってるらしいと風の噂で入って来た。

 まぁ、枯渇することもあるだろうしな。


 翌日はよく晴れていて気持ちのいい朝だったが。

「Sランク冒険者殿はおられるか?」

 無視していると。

「Sランク冒険者殿で間違いないですか?」

「…なに?」

「おお。ここにおられたとは!」

 わざとらしい。

「…あ?」

「い、いや。至急お願いしたいことがあってですな」

「…やだ」

「そ、そんなこと言わずにお願いいたします」

「…ハァ。内容は?」

「それはここでは」

(めんどくさいなぁ)

「別に受けなくてもいいんだろ?」

「い、いや、それは本当に困りますので是非」

「…はぁ」

 その男について行く。

 ギルドの応接室に連れて行かれ、ソファーに座ると、

「私がギルド長のソンだ」

 とさっきの男が名乗る。

「…で?」

「わかった、率直に言うと鉱山に住み着いているオリハルコンサーペントを討伐して欲しい」

「はぁ、回りくどいことしやがって」

「それは悪いと思うがあそこで大声で喋ってもまずいだろ?」

「まあな、で報酬は?」

「金貨1000枚だ」

「少ないな」

「な、これでも高額なのだぞ?」

(高額?これっぽっちで命を賭けろと?)

「…受けない」

「なぜだ?」

「慈善事業じゃないんだ。そんなもんで命を賭けれるか?」

「分かった!他の冒険者に頼む」

「あぁそうしてくれ」

「守銭奴め…」

「…口の聞き方に気をつけろ」

 俺の剣が首元にピタッと止まると、

「わ、悪かった」

「ふん、分かればいい」

 俺はギルドの応接室を出る。

“バン”と音がするが、知ったことか。


 宿に戻りあったことをみんなに話すと、

「オリハルコンサーペントってくらいっすから相当硬いモンスターじゃないんすか?」

「金貨1000枚でもちょっとね」

「…あいつは冒険者をなめてる」

「そうね、受けなくて正解だわ」

 その後風の噂でAランク冒険者が失敗したと聞こえて来た。

(やはり厄介なモンスターだ)

 夕飯を食いながら飲んでいるとまたギルド長がおとずれる。

「…なんのようだ?」

「Aランク冒険者が2人も死んだ」

「…そうか」

「そうかじゃないんだよ!何故助けてくれない!」

「言ったはずだ!慈善事業じゃない!冒険者は命を賭ける!お前も命をかけて見ろ!」

「そ、それは」

「賭けれないならお前は冒険者と対等じゃない!恥を知れ」

「…くそっ!」あ

 ギルド長は出て行った。

「…また死人が出るな」

「最初から限界でくればいいのに」

「アヒャヒャ、そんなもんじゃよ、管理職なんてもんはな」

「…それでも、かけるべき時があるはずだ」

「そりゃそうさね」

(あいつは見誤った)

「人間だ、誰しも過ちがある」

「人の命がかかってる、命をかけさせるんだからそれ相応の覚悟がいる」

 また夕食に戻り楽しく食べる。


 次の日はオリハルコンソードがどうなったのかを見に行く。

「…出来たか?」

「あぁ、無事に出来たよ」

 親父さんは怪我をしているのでヒールをかける。

「どうした?」

「いや、どこからかぎつけたのかオリハルコンソードを渡せと来た奴がいてな。なんとか守ったぜ」

「…どう言う奴だ?」

 と聞いてみると後ろから男が3人、

「今日も来てやったぞ!オリハルコンソードを渡せ!」

「…親父さん、受け取ったからな」

「あぁ、ありがとよ」

「…こちらこそありがとう」

「なになに?お前が頼んだの?いやぁ、悪いね俺のために!ランクAの俺が使ってやるからさ」

「俺はランクSだ、それとお前は俺が潰す」

「な、ランクSがこんな街にいるわけないつっーの!ふざけてないで俺に渡させ!」

「サンダーショック」

「アバババババ」

「な!魔法使い?!」

「お前らはクソだ!俺が上手く殺してやるよ」

「ふ、ふざけるなよ!誰がお前なんかに」

「ほう…これはいい剣だな!」

「グアァァアァ!」

 右手を斬り捨てた。

「や、ヤベェって!分かったから大人しく帰るから!」

「お前は親父さんに暴力を振るわなかったのか?」

「ふ、振るってない!だから」

 親父さんは頷くのでこれでやめてやろう。

「…分かったこれ以上ここにも俺の前にも顔出すんじゃねえ」

「わ、わかった!すまねぇ」

 と出て行った。

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