第36話 花の都
宿で夕食をみんなで食べる。
アンバーとレアルは最初は動かなかったが他の奴隷に言われてちゃんと同じものを食べている。
すると親方達が来て隣のテーブル席を陣取るとトランプを渡してくる、
「…出来たんだな」
「あぁ、これの使い方も教えてくれ!」
「…コイツはいろんな遊び方ができる。全部覚えろよ?」
「おい!メモしとけよ」
まずはポーカー、ブラックジャック、神経衰弱、ババ抜きと教えて行くと、
「ちょっと待て!幾つ遊び方があるんだ?」
「…俺の知ってるだけであと大富豪、スピードなんかだな」
「また今度教えてくれ!で?全員でできるのは…全部だな、ババ抜きしようか!」
「だな、一番ルールが簡単だ」
と店のみんなでババ抜きだ。
女将と親方の一騎討ちになり親方が負けていた。
「「「ウオオォォォォ!!」」」
と大盛り上がりだ!
「もう一度!もう一度やるぞ!」
今度はルビーと子分の勝負で子分が負けていた。
「ぬうううううう!!」
「あははは、これ面白いわね!」
とここでも好評だ。
女将と旦那も出て来てやっていたのでみんな飯も食わずに遊んでいたことになる。
「…女将、これを料理してくれ、みんなで食おう」
「あんたこれは!」
「…オークキングとジェネラルの肉だ」
「「「フオォォォォ!!」」」
「あいよ!あんた、よろしくね」
「あぁ、任せとけ!」
と料理してもらうと、料理は申し分なく美味いが肉の方も柔らかくそれでいて甘い油がジュワッと溢れ出てくる。美味すぎるな。
「ウメェ!!」
「美味しい」
「ウマウマ」
みんなにも好評だった。
朝起きるとやはりネアとノアに囲まれて寝ている。そろそろ暑くなってくるから子供の体温で寝汗をかきそうだな。
「…2人とも起きなさい」
「んにゅ」
「ねむねむ」
2人の頭を撫でて、生活魔法のウォーターで顔を洗い、拭いてやる。
「ぷはっ!」
「んんー」
2人ともいい子だ。2人とも大人になったら美人さんだな。
そして下に降りるので2人にお願いしてみんなを起こして来てもらう。
「はーい」
「ふぁい!」
みんなをどうやって起こしてるのか見ているとネアはちゃんとゆすって起こしているが、ノアはダイブして起こしている。
まぁ、ボン婆はもう起きてるから心配はないがな。
「もう、ノアったら起こし方考えてよね?」
「ふぁい!」
「返事だけはいいんだから」
「エヘヘ」
朝飯を食いながら今日はどうするかを話しているが、今日できてくるはずだが?どうなんだろうか?
「おう!おはようさん!」
「あ、親方!ちょうど話してたんだけどできたのかい?」
親方は肩に背負った荷物を置くと親指を立てて、
「おう!最高の品だぜ?」
と見せてくる。
皮の処理なんかはやはり魔法でやってしまうらしく俺のいた世界より格段に速いな。
と出来た皮の胸当てを付けてフィットさせると思ったより軽いし動きやすいな。
「どうだ?動きやすさもバッチリだろ?」
「…あぁ、これはいいな!」
「あ!それじゃあ俺に黒狼の胸当てくださいっス!」
「あぁ、いいぞ」
「へへっ!」
俺のお古を使うなんて、別に無理しなくてもいいが捨てるのは勿体無いしな。
「フィット」
「…似合うな」
「そうですか?へへっ」
ダウンも顔を綻ばせている。
後の防具はルビー、リシェル、シン、ミイ、スィが付けている。いちいち染めてあるのでとてもカラフルだな。
金貨10枚を渡すと、最初はいらねえと言っていたが、チェス代だというと渋々もらってくれた。
さてそろそろ旅を進めるかと旅支度を始めるとみんな一気に顔が引き締まる。アンバーとレアルは初めての旅だから緊張している様だが、まぁ、それはそれでいい緊張感だろう。
次の日、出発の朝には親方や女将さんなんかが門まで見送りに来てくれた。
「もう言っちまうのか!これ!」
「…チェスとトランプか、ありがとう」
「こっちの方がありがとうだ!達者でな!」
「…あぁ、親方も」
あちらではルビーやリシェルと話をしてる女将がバイバイと口にしていた。
「さぁ、出発だよ!!」
ボン婆の掛け声で馬は走り出す。
「元気でな!また来いよ!!」
と言って別れた。
そろそろ暑くなってくるから何か考えないとな。空は今日もブルーで輝いて見える。
次の街まで3日かかった、それまでに襲って来たのは大型のファングブルとグラスウルフの群れなんかだが、ダウンやミイが倒して、俺は収納するだけだった。馬車の乗り心地も快適で中ではトランプで遊んでいたな。
3日目に到着した街に入ると花が綺麗に植えられていた。花の都ルーチェという街らしい。
香水の様に香る花々が綺麗だが手入れが大変そうだな。小さなブンブンビーに似た蜂が飛んでいる。
宿に入ると早速、買い物し隊が出動だ。
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