第34話 集落


「買い物じゃー」

(どんだけ買い物すんだ?まぁいいけどな、買い物くらいしか楽しみがないのもあれだよな)

 テレビや娯楽がないのでしょうがないっちゃしょうがない。この世界はもっと娯楽があればいいのに。

 トランプに似た様なものはあるからトランプにサイコロ、あとは簡単なオセロや将棋なんかもいい。

(こっちの帝国は手先の器用なドワーフが揃ってるみたいだから親方にでも任せてみるか)

「ケント様、これは?」

「ん?あぁ、生活魔法の魔導書だな、買っておくか」

「はい!」

 ボン婆に3人を見てもらったらダウンは水、ミイは火と風、スィは水と土の素質があったから3人とも今は魔法の練習をしているのだ。そして生活魔法は誰でも使えるが魔導書からしか覚えられないらしいからこれは取り合いになるな。

 生活魔法を覚えているのは俺とシンとボン婆だけだから次はルビーかな?

「お、それも買いだ」

「こ、これですか?」

 スィが持っている黒い本だ。

「親父いくらだ?」

「銀貨20枚」

「ほら」


「ケント様これは?」

「それも生活魔法の魔導書だ」

「こ、これがですか」

 真っ黒に汚れていてわからないけど、鑑定したらそうだからな。


 ルビーとスィに生活魔法を覚えてもらいこれでクリーンなんかもみんなで手分けして使えるだろう。

「えへへ」

「…どうした?」

「え、やっと火魔法以外を覚えたからね」

 ルビーは嬉しそうにしている。

 スィもやはり嬉しそうだな。

「私が魔法を使えるなんて」

「生活魔法は魔導書があればな」

「はい!」


 親方のところへ行ってみる。昨日工場は聞いている。

「おう、ケントじゃねーか?どうした?」

「ちょっと話があってな」

「じゃあ、ここじゃなんだからこっちだ」

 と工場の応接室に通される。

 そしてトランプ、チェスをとりあえず教えると、

「ちょっと時間がかかるかもしれないが面白そうなこと考えるな!試しに俺が作ってみるよ!」

「…あぁ、たのむな!」

 とりあえずこれで少しでも暇ってのが解消できればいいかな?


 冒険者ギルドに向かう。

 なぜかというと初めてちゃんとした依頼を受けてモンスターを討伐しようと思うからだ。

 これまで盗賊やギガントワームなどでランクを上げたからキチンと何がいるのかを知ってから行くのも悪くないかなと考えてみた。

(どんなモンスターがいるのか、ワイバーンなんてのがあれだけ美味かったしな)

 やはり森にはファングボアやファングウルフなんてのもよくいる様なので狩りにはいいな。

「久しぶりのモンスターハントっす」

「コカトリスなんてどうですか?」

「石化しちゃうじゃん!こっちのバジリスクが」

「それも石化させてくるっつーの!」

 とダウン、ミイ、スィは楽しそうだ。

 じゃあとりあえず森に行ってみよう。


 森に着くとボン婆は深呼吸してリラックスしてるみたいだ。

 シンやルビーも索敵を開始した。

「来るわ!」

「お、ファングボア!俺がやります」

 と走ってくる大きなイノシシの眉間にパンチを繰り出して倒すダウン。

「やりましたよ!」

「…凄いな」

 と収納に入れると、

「この調子でいくと凄い量の獲物が取れますね」

「あ、ブンブンビーだ!」

「し、静かに!追いかけるわよ!」

 と追いかけると、人よりでかい蜂の巣が。

「ワシの出番じゃ!サンダーショック」

 蜂はバタバタと落ちて来て痺れているのでみんなでトドメを刺す。

 何回かやると出てこなくなったので蜂の巣を収納する。

「蜂の巣でかいのが取れて良かったね」

「…これは売れないな」

 頷く女どもの顔が真剣だからだ。

 ブンブンビーは甲殻が売れるしハリも売れる様なので全部収納だなぁ。


 そしてまた森を探索する、ミイとスィは野草をとったりしている。

「…何を取っているんだ?」

「えーと、これが薬草、上薬草、毒消し草なんかですね!」

「ほぅ、凄いな」

「え、そ、それほどでもないです」

 と嬉しそうに笑う。


 今度はレッドベアが出て来たのでサンダーショックで俺が倒す。

「ウヒョー!これは高く売れるぞ!毛皮にも傷がついてないからな!」

 とボン婆は楽しそうだ。

 収納に入れる。


 ある程度時間が経ったなと思って引き返そうと思った時に悲鳴が聞こえた様な気がしたので全員で走るとオークの集落があった。

「サンダーブレード」

 俺は雷を纏わせたミスリルソードで触るだけで感電して行くオーク。

 ダウンも拳士というだけあって殴り倒しているし、ミイやスィもよく倒している。リシェルは弓で射抜いているしルビーは?

 と思ったらだいぶ奥の方で戦っているので先に進んでルビーの加勢をする!

「…ルビー出過ぎだ」

「だって助かる命があるからね!」

「そうだな」

 とここでオークどもが怯んだので剣を振り回して感電させると、

『ブモオォォォォ!!』

「と、親玉か?」

「オークキング?!」


 雄叫びをあげて出て来たのはゴツくてデカいオークが現れた。一丁前にマントなんかをつけている。


「オラァ!」

『ブモオォォ!』

 俺のミスリルソードに対抗しているあの斧は相当硬い様だな!だが、

「サンダーショック!」

『ブモオォォォォ!』

 悲鳴の様な甲高い声で鳴くが、身体からプスプスと煙を出してもなんとか立っている。

「コイツしぶといな!」

「オークキングだから注意して!」

 ルビーの言葉通り胆力が違うみたいだ。

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