第31話 馬車
「んじゃ帝国に行くの?」
ルビーが顰めっ面をしている。
「そうしようかなとおもったんだが」
「んー、あんまり帝国にいい印象がないんだけど」
「そうなのか?」
「いってみにゃわからんこともあるでな」
ボン婆は言う。
「俺たちは帝国に行った事はありますけど別に変わらないですよ?」
「…だろうな」
「国が変われば人も変わるさ、噂では帝国にはドワーフが多いと聞くが?」
《まぁそうだな)
「あぁ、言われれば多かったかもしれませんね」
「…俺この国の名前も知らないが」
「え?この国はラズマン王国で、ついでに言うとドワルゴン帝国ですね」
「…ラズマン王国にドワルゴン帝国ね」
(気にした事なかったな)
「まぁ行ってみてもいいんじゃないっすか?」
「そうだな」
「まぁここから動くなら帝国方面ね」
「じゃな、じゃあ今日は飲むぞーー」
「…いつでも飲んでるじゃないか」
「あひゃひゃ、いいんじゃよ」
「まぁボン婆だからな」
酒をうまそうに飲むボン婆。シンやリシェルなんかも楽しそうだな。
「…ルビーは嫌なのか?」
「そ、そんなわけじゃないけど…いや、少し嫌なのかも。私が罠であんな姿になったのは帝国のダンジョンだったからね」
「…そうか」
「あはは、言ってちょいスッキリしたかも!別に今更関係ないしね」
ルビーはそれから目を瞑って頬を叩くと「よし」と言いご飯を食べながら、
「あむ、わたひは大丈夫だから、ごくん、行こう!」
「…あぁ、無理するなよ?」
「あはは!それだけ聞ければいいや!」
と言いガツガツとご飯を食べている。
次の日には買い物に出かける。
必要なものを買うためにみんなでウロウロと食べ物や新しい武器なんかを見て回る。
「おっ!これは買いじゃないっすか?」
「…ん?それはただのガラクタだ」
「マジっすか!」
「おいおい!そう言わずに買ってくれよ!」
「…俺は鑑定持ちだぞ?」
「けっ!なら売れねぇよ!どっかいってくれ」
「危ないっすね!」
とダウンが言い、露店を後にする。
しばらく旅を続けるので馬車の買い替えも検討する。
馬車にも種類があり今の馬車は扉のついている箱型の馬車だ。二頭立ての馬車なので出来れば四頭立ての馬車にしようと思う。
馬車やと話をし、改造をしてもらう。
後方に2人護衛が乗れる様にしてもらい、中は6人以上、そして御者は2人と言う結構でかい馬車だ。まぁ、後ろを折りたためる様にしてもらうので街中も走行は可能になる。
馬を二頭また買い足してこれで馬への負担も軽減できるだろう。
「お馬シャーン!」
「うまうま」
と2人は喜んで馬の背に乗っている。
器用に乗れるもんだな。
また出発は遅れるが馬車はどうにかしないとと思っていたのでいいだろう。
宿に戻り大浴場へとダウンと向かう。
「…ふぅ」
「どうしたんですか?最近ので疲れたんじゃないですか?」
「…そうかもな」
湯船に浸かりながらこれまでのことを思い返すとやはりイベントが多すぎる様な気がするな。
「そう言う時は何も考えずにぼーっとする時間も必要ですよ」
「そうはいかないだろ?別の国に出発前だし」
「あはは、大丈夫っすよ!いくらでも時間はあるじゃないっすか?急ぐ必要のない旅ですし」
「まぁ…そうだな」
「でしょ?えへへ、すこしは気が紛れれば良かったっすけど」
「あぁ、ありがとう」
翌日はみんなに言って適当に過ごしてもらっている。
相変わらずネアとノアは朝から俺のところでゴロゴロしてるし、ミイとスィとリシェルがさっき来たな、何しに来たんだ?結局はみんなとこうしてゴロゴロしたいだけなんだがな。
「しけたツラしてなんだい!」
「…ボン婆」
「さぁ、飲んでいろんな事を忘れてしまえ!」
「ぼ、ボン婆!あんた何してんのさ!さっさと部屋に戻るよ!」
とシンに連れられて出て行った。
「ハハッ!ボン婆にまで心配されるとはな」
「心配?」
「ぱいぱい」
「…ノア、それは違う意味だ」
「ブッ!」
ダウンが吹き出して笑っている。
「あははは、最近は色々あったっすね」
「…そうだな」
「どこかいいとこないんすかね?」
「…だな、みんなで暮らせれば一番いいんだがな」
「でもそれを見つける旅ですもんね!」
「…そうだな、いいところがあればいいな!」
「ですね!」
そして次の日の昼には馬車は完成し、取りに行くとみんなは思い思いに馬車を見ている。
「これ結構したんじゃない?」
「…まぁ、それなりだ」
「まぁ、馬車に金かけるのもいいね」
とルビーはフカフカの座席に腰を下ろして言う。
「御者するときもいいですね!日差しも遮られて!」
とリシェルも満足そうだ。
「後ろもだいぶ頑丈ですね!」
「…そうしてもらったからな」
親方が来て挨拶をすると、
「こんな立派な馬車は初めて作ったわい」
「ありがとう、よく出来ている」
「あたぼうよ!大事にしてくれよ!」
「あぁ、大事にするよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます