第23話 10人


「で?このバテてる奴らが盗賊か」

「…そうだ」

「全員生きてるな!」

「あぁ、奴隷商が1人殺されたな」

「まぁしょうがないだろうな、ギルドカードを見せてくれ」

「…」

「ランクAかよ、こいつらもよりによってだな」

「はあ、な、ランクA…」

 盗賊もランクに驚いてるようだ。


 盗賊達の引き渡しが終わると木札を渡される。

「明後日以降にしてくれ、賞金首かもしれないからちゃんと調べとく、あとギルドにもちゃんと報告よろしくな!」

「…分かった」

(これでようやく一息つけるな)

「ご、ご主人様!私達を捨てないでください!」

「な、何でもしますから!」

「お、俺も!」

「…あぁ、忘れてたな。すまんルビー」

「もう!また増えてるじゃない!はぁ、奴隷契約書!」

 渡すと奴隷契約をする。

 グリーンの髪でショートカットがミイ、茶髪のロングヘアで少しキツめな顔のスィ、獣人のダウン。

「これからよろしくお願いします」

「私達冒険者でした、よろしくお願いします」

「俺も!頑張ります!」

 3人は元冒険者らしいが借金奴隷なんだそうだ。騙された上に法外な金で借金の形に奴隷にされたらしい。

「これで10人よ?どうするの?」

「…連れて行くしかないだろ」

「はぁ、まぁ、そうよね」

(ルビーは呆れているが、これはもうどうしようもない)

 

 宿を決めて服と防具と武器を買う。

 ミイは双剣士、スィは魔法使いで水魔法が得意らしい、ダウンは双拳士、ナックルと丈夫なブーツを買ってやる。

「ありがとうございます!」

「私もお役に立ちます!」

「俺も!」

「…馬車の護衛だな。よろしく頼む」

「「「はい」」」


 ダウンは俺と同じ部屋だ。

 ミイとスィはボン婆たちと一緒。

「…ご主人様はやめてくれ、ケントでいい」

「「「はい、ケント様」」」

 もうここら辺は諦めた。


「ケント様?ベッドが二つですが?」

「…ふぅ、お前のだ、普通に寝ろ」

「い、いいんですか?」

「…飯も一緒に食う、酒は飲むか?」

「は、はい!ありがとうございます」

 一眠りしたら晩飯だ。

「ケント様」

「…ん?」

「私はどこか適当にぶらついてるんで」

「…あぁ、夜伽はいらない。他の奴隷も夜伽はしていないからな」

「え?えぇ?男の夢じゃないですか?そ、それとも」

「…はぁ、変な勘ぐりはやめろ!俺は奴隷でも普通に接する」

「す、すいません」

「と言うわけでミイもスィも夜伽はいいからな」

「「は、はい…で、でも男だと溜まるんじゃないかと」

「…余計な心配はいい、体は大事にしろ」

「…はい」

「で「いくよ」…失礼します」

 2人は帰って行く。

「…変わってるか?」

「あ、あの、すごく」

「そうか、だが俺だからな」

(何が悲しくてあんな若い子が32のおっさんの夜伽をしなきゃならんのだ)

 俺はもう一度寝ると今度はネアとノアに挟まれて寝ていた。

「と、止めたのですが」

「これは別にいい。こいつらはまだ幼いからな」

「そうですか」

 困惑してるダウン。

「晩飯の時間だろ?ほら、2人とも起きてご飯だ」

「はぁい」

「うにゅ…」

 と2人は出て行くとみんなを呼びに行ったようだ。

「行くぞ」

「は、はい」

 下に降りていると、ダダダダと降りてくるボン婆とルビー。

「飯!食べるぞ!」

「酒!飲むぞ!」

(ハハッ、2人とも元気だな)

 テーブルをニ席占領しての大宴会だな。

 他3人は席に座って泣きながら飯を食い酒を飲んでいる。

「俺、ケント様に拾われてよかったです」

 と言いながら酒を交わす。

 リシェルは怒りながらミイとスィに私が一番奴隷だと言っている。

 なぜ怒るのかはよくわからないが何かあるのだろう。

 

(ここは飯も美味いし長閑でいいところだな。

 王都もそれなりに近いのでここでもいいな)

「って顔してるけど?」

「…あぁ、そう思ってな」

「ここはまだ王都から少ししか離れてないじゃない!まだ旅を続けるわよ?」

「なぜだ?」

「何かあったら呼びにくるからに決まってるじゃない!」

(あぁ、有り得る話だな)

 ルビーの言う通りまだ旅は始まったばかりだ。

 

 飯を食い終わり全員部屋に戻る。

「ケント様、俺は今幸せですよ」

「…そうか?」

「まぁ、奴隷になった時はこの世の終わりだと思いましたし、それに近いものがありましたけどね」

「…そうか」

「俺、一生懸命働きます!」

「分かった。寝ろ」

「はい!おやすみなさいです」


 次の日もまだ盗賊のことがあるので待機だ。だがギルドに行かなければいけないのでダウンと一緒に冒険者ギルドに行く。

「盗賊を捕まえた。処理を頼む」

「は、はい!ギルドカードを」

 ギルドカードを渡すと。

「え、は、はい!今すぐに」

 やはりAランクはそれなりに効果はあるのだろうな。

「やっぱケント様はランクAなんですね」

 小声でダウンが喋ってくる。

「…あぁ、王都であがったからな」

「すげぇ、俺らはDランクでした」

「…そうか、奴隷はギルドに登録は?」

「出来ませんね」

「それも無理なのか」

「はい」


「処理が終わりました!そ、それでギルド長が会いたいと申しているのですがよろしいですか?」

「…あぁ」

「それではこちらに!」

 俺たち2人はギルドの2階に通された。

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