第22話 旅へ
(王都になんだかんだで一ヶ月はいるな。
金の心配はないのだが、本当にここに腰を据えるのだったら家が必要だな)
「あぁ、わしは美味い酒が飲めればそれでいい」
「私も鍛錬する場所があれば」
とボン婆とシンは言う。
「ケントと一緒!」
「私もー」
「私もケント様と一緒ならそれで十分です」
とネア、ノア、リシェルは俺次第か。
「私はもっと旅をしてみたいわ!」
「…そうか、では旅に出ようか?」
「よし、そうと決まれば買い物じゃ!」
「私は新しい剣が欲しい!」
「…やったので足りるか?」
「あぁ!さすがにデカい買い物だから一応聞いとこうと思ってな!」
「…それならいいぞ」
「よっしゃ!そうと決まれば動こう!」
とルビーが言う。
俺たちは外に出て必要なものを買っていく。
「こ、これは必要じゃー」
「ボン婆!何個目だよ!流石に辞めときなさい!」
「いやじゃいやじゃ!のう!ケント?」
「…はぁ、買っとけ」
「ほらの!」
「はぁ、甘いですよ?」
「まぁ、いいじゃないか、酒はあれば飲むんだからな」
と言って酒を買い。
「いいんでしょうか?」
「…似合うぞ」
「ほ、本当ですか?やったぁ」
「私はどう?」
「いいんじゃないかな?似合ってると思うぞ」
「よしっ!」
とリシェルとルビーのご機嫌をとる。
「ケントー」
「あはは、買いなさい。お金を渡すから買ってきなさい」
「はーい」
とネアやノアに買い物をさせる。
「なんと!王都を離れるのか?」
「あぁ、まだ行ってないところに行ってみようと思ってな」
「そうか、寂しくなるのぉ」
とキン爺に別れの挨拶をすると次の日はライルとアシュレイがきてキン爺も後からやってくると4人で飲み明かす。
「お主のおかげで皆がやる気になっていてな!」
「そうだぞ!ケント殿も入ってくれたらいいのに」
「あはは、俺は旅人だからな」
「そうだな、無理強いはダメだ」
と他愛無い話をして飲み明かす。
「生きている限りどこかで会うだろうからちゃんと覚えておいてくれよ!」
「…あぁ、忘れないよ」
「また会おう」
「そうじゃ!またな」
「あぁ、またな」
(大通りを3人して並んで歩くと絵になるな)
そうして旅支度は済み、次は反対の道に行く。進んでいくと王都はなんだか小さく見えるな。
(あれだけ大きく感じたのに…それだけ王都を知ったからかもしれないな)
「なーにしんみりしてるのよ!」
「そうですよ?私がいますから!」
「あんたがいてもしょうがないでしょ!」
「なんですか!一番奴隷の私がずっとおそばにいるんです!」
「ふん!私はそれより長く一緒にいるけどね?」
「時間は関係ないです!どれだけ心の支えになれるかですもの!」
「じゃあ私の勝ちね!キスもしたし!」
「うるさいですよ?私だって!」
「…前見てな?」
「はい!」
「やーい!」
「…ルビーも後ろに戻ってなさい」
「ぶーー!!」
ようやく静かになったか。
「ケントー」
「チェントー」
「ん?どうした?」
とネアとノアの頭を触る。
「えへへー」
「あははぁ」
ゴロゴロと喉を鳴らす。
この馬車も二台目を買った。
流石に1台目はもうガタがきていたからちゃんとした馬車だ。荷馬車はやめた。
(乗り心地も格段に良くなったな)
「まぁ、その分狙われる率も高くなったか」
盗賊が出てきて手招きしている。
「グヘヘ、こっちまでこいよ!」
はぁ、
「…サンダーウェーブ」
「「「「アババババ」」」」
「やばい!魔法使いだ!逃げろ!」
(逃すわけないだろ?)
「ウォーターボール」
ただの水ではなく当たると皮くらい剥ける。
「ぐあっ!」
「がぁっ!」
「…多いな」
「そうですね!」
「はぁ、めんどくさいわね」
縄で縛って馬車に結びつける。走ってもらうつもりだ。
「ひゃはは、あたしゃ達を狙うからじゃ」
「…さて、いつも通りアジトに乗り込むか」
「か、勘弁してくれよ?」
「…それで?勘弁したことはあったのか?」
「…」
「…救えないな」
「…ではいくかな!」
「お供します!」
アジトに着くとまた似たような饐えた匂いだなぁ。
ドアを蹴破り中に入って行く。
「だ、誰だテメェ!」
「…」
「クックソ!」
斬って倒して行く。
全部で5人だ。
簡単に制圧して物色からして金貨や袋に入ったものを収納する。そして中に囚われた人を檻から出してやる。
「さっ、さっきのはなんだ!物色してから助けやがって!俺のものを返せ!」
「…命がある方が大事だろ?」
「クッ!」
腹のでたおっさんだ。よほど大事なものがあったのか、それかがめついかだ。
「クソッ!お前らあいつを襲え!」
「…お前の奴隷は所有者が変わったことがわかってるようだな」
どうやら後者らしい。
奴隷契約書は俺が持っている。
「て、テメェ!わしが直々に!グエ!」
矢が飛んできた。
「すいません、手が滑って」
「…はぁ、あまり簡単に人を殺すなよ?」
「はい!」
捕まってたのは4人、いや3人に減ったな。
獣人の男1人と人間の女2人だ。
奴隷商を収納すると獣人の男に手伝わせて盗賊を馬車まで運んで治療する。
「なぜ治療するのですか?」
「…あぁ、この方が死んで終わりより苦しいだろ?」
「怖いですね」
獣人の男が言う。
「…」
「いや、別に盗賊なんでいいんです!はい」
「…気にするな、それより走るのは得意か?」
「任せてください」
「じゃあ、女2人は馬車に乗れ、俺とお前は走るぞ?」
「はい!」
そうして次の街までランニングだ。
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