第20話 地龍
「やぁやぁ、我こそは黄金の騎士なり」
「…何やってんだキン爺?」
「いや。これで出てくるかなぁと思ってな」
「…近所迷惑だろ?」
宿屋の前でやられたら出ていくしかないだろ?
「あーキン爺」
「キン爺ぃー」
「おぉ、ネアとノア、元気でやっとったかのぉ。ほれ、飴ちゃん買ってきたから食べるといい」
「「やったぁ」」
と言ってキン爺の周りを走り回る。
「で?何か用があったんじゃないのか?」
「まぁそれはおいおい、ほれ、甘いぞー」
「あーん、甘い!」
「あーん、あまぁ」
ニヘラニヘラと笑うキン爺は好々爺としているが、なにか悪い知らせを持ってきたのだろう。
「さてと、本題に入ろうかの」
「…寝るまで遊ばなくてもよかったんじゃないか?」
「これは可愛いからしょうがないじゃろ?」
「まぁな」
(分からんでもない)
丸くなって二人して寝ている。
「…場所を移そう」
「そうじゃの」
2人でキン爺行きつけのバーに行くと、店内に人が数人いるが、昼間だからかガラガラだ。
カウンターに2人で座ると、
「ケントは自分がなんと言われとるか知っとるか?」
「…人斬り」
「らしいなぁ、いいことをしてその名がつくとはな」
「…で?話ってなんだ?」
「儂ら第二騎士団でドラゴンの討伐を受けた。できればケントにもきて欲しい」
「…ドラゴンなんて相手できるのか?」
「まぁ。地龍じゃからなんとかなっておる」
「なんとかなってるなら俺がいなくても」
「これは経験じゃ」
「経験?」
「とてつもなく大きな地龍じゃ、これからの旅で出会うかもしれぬ。その時のための経験ということじゃ」
「…それだけか?いいように使おうと考えてないか?」
「ま、まぁ、それなりに戦力としてみてはおる」
「…はぁ、いいよ、いつだ?」
「明日から五日間の予定じゃ」
「分かった」
それをルビーに話すと、
「あのキン爺め!今度あったら許さないから!」
「それは私達はどうするの?」
「…俺一人だ」
「えぇ?わ、私達はどうすれば」
「ここで待ってるしかないでしょ?」
「…まぁ、経験らしいから行ってくるよ」
「いいように使われるんじゃないよ?」
「分かってるさ」
「それにしても地龍かい、でかいドラゴンとやり合うんだねぇ」
「そんなに大きいの?」
「そりゃ、山が動いてるようなものさ」
(考えたらゾッとするな)
「死んだら許さないからね?」
「あぁ、分かった」
こんな日は早く飲んで寝るだけだな。
「んじゃ行ってくる」
「はい、お帰りをお待ちしています!」
「あんたもちゃんと帰ってきてよ!」
「行かないで」
「ああーん」
泣く2人を抱きしめて頭を撫でてやると泣き止む。
「じゃあ行ってくる」
「頑張れ!命の方が大事じゃからの!帰ってこい」
「あぁ」
門のところで第二師団と合流すると、
「あれ?アシュレイ?」
「いや、それは私の弟だ。弟が世話になった。兄のライルだ」
「これは失礼した。ケントだ」
「アシュレイから聞いているし、キン爺からも聞いている」
「カーハッハッハッ!ケントが来たから今回は勝ちじゃな!」
「ひとを化け物みたいにいうな」
「これでも副団長だが、あまり気にするな」
「な、ライル殿!それは酷いですぞ」
「ハハッ!まぁ、地龍討伐は4回目だ。3回は討伐はできなかったが退けることはできた。今回こそは倒したい」
「まぁ、力になれるかわかりませんが頑張りますよ」
全員で馬車に乗って進んでいく。
馬車は山道を進み一泊する。
「なぜ地龍の討伐を?」
「それがなぜか王都に向かって来るのだよ」
「何か秘密でもあるのでしょうか?」
「それがわかればすぐにでもどうにかするのじゃがな」
「そうですか」
雑魚寝で横になるだが
(馬車で2日の位置って相当近くないか?)
山ほどでかいと言われたので一歩がでかいと思うのだがな?
まぁ、遠くに行くよりはまだいいか!
2日目はようやく相手が見えてきたが歴戦の傷を負っている地龍が顔をのぞかせていた。
「デカいな」
「あいつの足元まで進軍するが、馬はそろそろ繋いでおかねばなるまいな」
そうか、馬は危ないな。
さあて、もっと前に出ないとな。
近くまでまで進軍すると陣形を整える。
「魔法隊前へ!撃て!!」
首や胸あたりに着弾するがあまり効いていないようだ。
一歩歩くごとに振動で動きを止められる。
「はぁ、これじゃ埒があかないじゃないか!」
「何か手はあるか?」
「やってみないとわかりません!」
「じゃあやってみてくれ!」
「了解!」
俺は体にウェイトライトを付与し、アクセルで地龍の足を駆け上り胸あたりにサンダーショックを連発してみる。
すると地龍は嫌がるようにサンダーショックを使われることに腹を立て暴れている。もう一度だ。今度は闇魔法ブラックホール!
胸部の肉をブラックホールが抉り取る。
心臓まで達したのか地龍は動きを止めるとゆっくりと横に倒れていく。アクセルを使って「さっさと逃げろ」
「分かってるさ!」
倒れる反対側を目指して突っ走る。
「やったー!倒したぞ」
と歓声が反対側から聞こえて来る。
収納に入れると彼等がびっくりしたようだが、そんなことどうでもいいようにみんな騒いで合流すると、
「やりおったワイ!流石ケント!」
「ケント殿は魔法も一流ですね!」
「…ボン婆のおかげだ」
「よし!今日は飲むぞー!」
「「「「「おおおおおおおお」」」」」」
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