第15話 親玉


(ここの親玉か!討てれば勝ち確だな)

「へぇ、魔法だけじゃないようだな!」

“キン”

“グサッ”

「な、おま、どこに」

 俺は片手剣を弾かせる為にそこに置いて弾かせ、収納から片手剣をもう一本出して突き刺しただけだ。

“グリッ”

「…さあな」

「クソ…こ、こまで…」

「大将は討ち取ったぞ!」

「「「ウオォ!」」」

 あとの有象無象は任せていたぶられていた騎士達の治療をして行く。

 すぐに戦線復帰する者たちばかりだ。


「なんだ、バインがやられたのか?」

「おいおい嘘だろ?」

 2人のでかい男が上から降りてくる。酔っているようだが目が座っている。青龍刀のような剣を持って斬りかかっている。

「グアッ!」

「…ちっ!しょうがない!」

 走り出してサンダースピアを放つ!

「グァァアァア!」

「兄者!」

 その声の主の首を背後から斬る!

「あ…」

「ジャニ!テメェガハッ!!」

 手に電気を集めてサンダーショックを胸に放つ。

(これでラスト!)

 兄と呼ばれた者も首を落とした。

 三人を収納する。

 そして上に行くと手足をもがれた者や、頭をかち割られた奴など死んでいるのがわかる奴らは放っておいて上にいた奴らも斬って行く。すると鉄格子が見えたのでそこで止まる!

(何か来る)

“ヒュヒュン”

 打ち落とすとナイフだ。

「く、くそっ!なんだってこんなとこまで!」

「…お前が最後かな」

「う、うそだろ!親父やジャニ達は?」

「死んだに決まってるだろ?」

「うっ!く、クソガァァ」

「…サンダーランス」

 雷がそのまま横に走ったように“バリバリ”と音を立ててそいつを襲い喰らう。

「ゔ…」

 首を落としてそいつを収納すると鍵が出てきたのでそれを使って鉄格子の中にいた奴らを出してやる。


 そうして、このアジトは壊滅した。全てを持ち運べたわけじゃないが金貨やマジックバッグは収納の中だ。

 最後まで死体を運んでいた騎士達はなんとか火の手から逃れて出てきた。あとは燃え尽きてからだな。

(いやできることがあるか)

「ウォーターレイン」

“シュオオオォォ”

 と火の手が弱まりまた騎士達は濡れた体で盗賊の遺体と同じ騎士達の遺体を建物から外に出す。

「ありがとう」

「すまない!全てが君の手柄だ」

「…別にいいけど」

「いや、そんな不義理はしない!よかったら俺たちも一緒に王都に行ってもいいだろうか?」

「…それは構わないが」

 鎧を着ている6人とほとんど半裸の生き残り。

 アジトはもうほとんど焼け落ちている。

「私が第三師団長のアシュレイだ。すまない!冒険者の君にほとんど助けてもらって」

「…いいさ、気にするな」

「恩に着る」

 俺は収納の中を探ると、

「…これの中に多分全て入っている」

「これはマジックバッグか!すまない」

 騎士達は自分の鎧を身に纏い死んでしまったものの遺品や遺体を中に詰めて行く。

「じゃあ俺が盗賊達を収納していくぞ?」

「頼む!本当にすまない」

 

 全て終わる頃には朝日が顔を出していた。


「なんでも拾ってくるなって言ってるでしょ!」

 流石のルビーも小声だ。

「…悪い」

「しかもなによこれ?こんな厳重な警備頼んでないわよ?」

 馬車を囲むようにして騎士達は隊列を組んでいる。

 勿論アジトのすぐ隣に馬車はあったので持ってきたが先頭を走る馬車に団長が乗って先導しているのだ。


「あんたも!相当お人好しよね!」

「…はぁ、すまないな」

「もう…起きたらあんただけいなくなっててビックリしたわよ!帰ってきたら大人数で帰ってきて2度びっくりよ!」


 100人ほどでことにあたって生き残りは40人ほどだ。

 盗賊がかなり強かったのがわかると思う。


 次の街で食料を買い、馬車も二つ買うとなんとか全員乗れたので先を急ぐ。

(急ぐ旅じゃなかったのにな)

 その頃にはみんな落ち着いてルビーなんかもアシュレイと仲良く話ができるくらいになった。


 そうして一週間ほどでようやく見えてきたのは立派な石壁の塀で覆われた王都、ガーデンだった。


 手痛い凱旋となった第三師団はそれでも胸を張り行進していく。俺たちも最後尾から追いかけていく形だ。


「悪いがここで待っていてくれ」

 とアシュレイが言うので待っていると、入ってくれとのことだった。

 厩に馬車を預けて俺だけが呼ばれるのでほかのみんなは待機だ。


「ここに盗賊の遺体を出してくれるか?」

「分かった」

ずらりと並んだ盗賊の遺体は俺が切った者以外はすでに原型を留めていないものまである。だがバインやジャニ兄弟に牢屋番は綺麗なままだ。

 

「さ、さすがに収納持ちだな」

「…まだ入るぞ」

「あはは、お前は面白いな?どうだ?騎士にならないか?」

「…断る」

「そうか、残念だ。このあと王との謁見があるのでそこで報奨金も出てくるだろう」

 肩を落とすアシュレイだが俺は誰の下にも居たくないのだからしょうがない。

「あぁ、あまり貴族とかにもなりたくないので報奨金だけでいいからな」

「…ふぅ、しょうがない、王にはちゃんと伝えておこう」


 さてこの国の王は善か悪か…

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