第13話 ボン婆


 ネアとノアはまだ寝ているが、門が開く時間だな。と、馬を繋いで馬車はゆっくりと走り出す。

(婆さんに言われた通りのイメージだと分かりづらいから俺の解釈でやってみるか)

 火の玉をイメージしてみた。よくあるアニメなんかでのファイヤーボールだな。

 すると手のひらの上に火の玉が出てきた危ないのでそのまま上に飛んでいくように飛ばす。

“ボン”

 と言って上空で弾けた。

「ほぉ、凄いね!アンタ才能があるよ!」

「ど、どうやったのよ!教えてよ!」

「…まぁ、イメージだったな」

「それがわかれば苦労しないわよ!」

 と間から顔を覗かせるボン婆とルビー。


 街が近くなりボン婆達はどうしようかなと思うとギルドカードは商人に取られたと言うので探すと2人分あった。これで街に入れるな。

 2人とも奴隷になる前で良かったよ。

 女冒険と冒険者の死体と商人の死体を出すとギョッとする門兵。

 事情を話し引き渡す。取り調べをするから明日またきてくれと言われた。


 馬車が泊まれる宿屋に行き、4人部屋と2人部屋と1人部屋にして借りる。ちゃんと馬の方も世話してくれるように多めに払う。

 とりあえず2泊分払って俺やルビーなどは寝ずの番をしていたので少し寝ると言うとシンがお婆の服を買いたいた言ってきたので金貨を一枚渡して買ってきてもらう。残りで食い物を人数分お願いしておいた。


「…うん」

 いつのまにかネアとノアが俺に引っ付いて寝ていた。

「…起きろ」

「う、うん」

「はぁい」

 と2人にクリーンをかけてやり4人部屋に向かうとリシェルは起きていてルビーは寝ていた。

「ルビー、そろそろ起きとけよ?」

「う…ん、もうそんな時間?」

「…ちょっと寝過ぎたくらいだな」

「そう、はあ、、あぁ、ん?2人は?」

「今から起こしに行く」

「そんじゃみんなで行こうか」

“コンコン”

「はいはいはい」

 とボン婆さんが出てくるとシンが起きたようだった。

「…おはよう」

「はい、おはようさん」


 外で待ってると、着替えたシンとボン婆が出てくるが、ボン婆さんは派手だな。

「…これは?」

「ボン婆はこう言うのが好きなんだよ」

「そう、派手じゃろ?」

「…くっ、ハハッ!いいんじゃないか、似合ってるよ」

「そうじゃろ!」

「ボン婆派手」

「派手好き」

 とネアとノアが言う。

「飯は買ってきたか?」

「あぁ、適当に買ってきた、釣りが」

「釣りはいい、持っておけ」

「分かった」

 下で女将に言ってテーブルを貸してもらい飯を食べる。

 昼を少し過ぎたくらいだからな。

「このあと買い物でも行くか?」

「いいねぇ!わたしも買い物したかったとこだよ!」

「あはは!じゃあ買い物ね」

 と計に7人で買い物に行くことになった。

 この街は露店がたくさんあるので買い物には困らないだろう。

 ボン婆は足腰がしっかりしてるようでどんどん先に進んでは露店でアクセサリーを買ったり服を買ったりしている。念の為大人組には金貨1枚ずつ渡してある。

「うひゃひゃ、こんな買い物ができるなんて久しぶりだよ」

「…それは良かったな」

「アンタもいい男なんだから、ほら、これなんか似合うんじゃないかい?」

「あ、似合うかも!」

「…俺は普通のでいいよ」

「「ダメー!これ買いね!」」

 ボン婆とルビーがタッグを組むと怖いものなしだな。

 クンクンと袖を引っ張るネアは髪飾りが欲しいようなのでノアにも買ってやると選ばせる。

 リシェルとシンは我関せずで必要なものだけ買う感じだな。


 防具屋によるとシンは前衛のようで胸当てとグリーブなんかを買っていてボン婆は派手な外套を買っていた。


 武器屋でもやはりシンは片手剣と小盾を買い、ボン婆は杖を買っていた。

 まぁ、これで買い物は終わりかと思ったらまた帰り道も露天を回りながら買い物をして行くルビーとボン婆さん。

 

 宿に帰り着いたのは結構遅めだ七時くらいか?晩飯どきなのでテーブル席に腰掛け、料理を頼むとエールを頼むのは俺とルビーだけだったのにボン婆さんも酒飲みらしい。

「アーハッハッハッ!今日からまた美味い酒が飲めるわい」

 と上機嫌のボン婆さんに絡まれまくるので一緒になって飲むと嬉しそうに飲む。


 一夜明け、朝の鐘が鳴る。

 昨日は少し飲み過ぎたな、自分にヒールをかける。外に出るとちょうどボン婆とシンが出てきたので、挨拶すると、

「イタタタ、頭が痛い」

「…飲み過ぎだろ?ヒール」

「お!回復魔法は使えるのかい?」

「まぁな」

「そりゃいいや、今日も飲む!明日も飲む!」

 と妙な踊りを踊って下に降りて行く。

 シンと俺は互いに苦笑いをしてから下に降りて行く。そのあと4人が降りてくる。

 ルビーはあまり二日酔いをしないイメージだ。普通に朝飯を食べている。

 美味い朝食を食べ今日からまた馬車の旅だ。

 今度こそ何も起きないでほしいもんだな。


 門兵に昨日来いと言われたと言って中に入ると相当扱かれたらしい女がいた。

「こいつは犯罪奴隷に落とされる。これが代金だ」

 と渡されるのでもらっておく。

 それと商人の馬車はと聞かれたので外に出て収納から出す。

「こりゃすげえな収納持ちかよ」

 中を調べて隠し奴隷商だったこともあり積荷も俺のものになった。

 

 門を出て王都に向かう。

コボルトなんかのモンスターが多いな、

まぁ、弱いのでそのままリシェルが弓で射るか、俺が魔法で倒している。

 御者は俺だ。

 空を見ると大きな鳥のような物が飛んでいるのでファイヤーボールの練習がてら撃ち落とすとワイバーンだったので収納しておく。

 傷は小さかったがバランスを崩して落下したのだろう。


 ファイヤーボールは使い勝手がいいな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る