第11話 ネアとノア


 次の街に着いた。

 門兵は中を確認してルビーがカードを見せ3人は奴隷だと言うとすんなり通れた。

「じゃあ2人の服を買ってくるから宿に先に行っといて!」

「…分かった、気をつけろよ」

「はーい!ちゃんとした宿にしてね」

「分かった、この通り沿いな!」

「オッケー」

 と言ってルビーと別れ、俺たちは馬車を置ける宿屋を探す。

「ケント様あそこはどうでしょう?」

「おお、いいんじゃないかな」

 とりあえず馬車を止め中に入ると女将が出てくる。

「4人部屋と1人部屋は空いてるか?」

「あいよ!1人部屋が銀貨3枚と4人部屋が10枚だね」

「じゃあとりあえず2泊。あ、馬車も今後ろに置きに行ったんだが」

「それじゃあ2泊分銀貨2枚だ」

 銀貨30枚渡して、

「馬の世話も頼む」

「任せな!馬番も喜ぶよ」

 ネアとノアはまだ貫頭衣だから部屋に残してオレとリシェルでルビーの帰りを待つ。


「買ってきたわよ!あぁ、疲れた!」

 と俺に荷物を預けて上に登って行く。

「303だ!」

「了解」

「よし行こうか」

「はい!」

 と4人部屋に入るとネアとノアは寝ていて、ルビーもベッドに横になっている。

(お疲れ様、ルビー)

「ありがとうな」

「別に!必要だから買ってきただけだし」

「リシェル。着替えさせてくれるか?」

「はい!」

 リシェルに任せて外で待つ。

(はぁ、父親ってこんな気分なのかな?)


 出てきた2人は可愛い服に着替えていて、

「「ありがとございます」」

「…いいさ、それより2人は?」

「よいしょ!さて、今度は普通に買い物に行くわよ?ケントは逸れないように2人と手を繋いでね」

「流石に両手が塞がるのはまずいからリシェル、1人頼むな」

「はい!」

 これでとりあえず5人で買い物にでかける。

 肉串にぐー、っと腹を鳴らすので途中で買い食いし、服屋で服を選んだりして俺が荷物持ちだ。と言うか収納に入れているだけだがな。

(そうだ、ルビーに渡しておこう)

「ルビー、これをあげるよ」

「ん?何このバッグ…え?マジで?」

 マジックバックだ。収納に入れたままだったので渡す。

「あぁ、俺が持っててもしょうがないからな」

「あ、ありがとう!」

 久しぶりに嬉しそうにしているルビーを見て俺も嬉しいよ!

 買い物もある程度終わったら2人に得意な武器とかある聞いて見ると、2人とも魔法が使えるようだった。

 防具の他に杖と言うかタクトと言ったほうがいいな、それを武器屋で自分の好きなを選んでもらって買う。

(そうか。2人は魔法か)


 ネアが氷魔法が得意でノアは雷魔法が得意らしい。どっちも魔法は羨ましい限りだ。


 後衛が3人に前衛1人斥候が1人か。

もう1人くらい前衛が欲しいところだな。

 まぁ。俺が頑張ればいいのだがな。


 夜になり夕食はテーブル席を陣取って5人で夕食だ。アグアグと食べる2人の口を拭いてやったりしながら楽しく夕食を食べていると。

「あぁ、奴隷の匂いがするぜ!臭えなぁ!」

 とロン毛の男が言うので無視していたら、

「おい!おめぇノォォォォォ!」

 俺の頭に触れようとした手にはナイフが貫通している。

「勝手に触るんじゃねえぞ?」

「な、何しやがる!」

「お前こそなんだ?…あぁ、馬鹿なのか」

「テメェ!死んだぞコラ!」

「外に出ろ…キッチリ殺してやる」

「な、な、別にここで」

「聞こえなかったか?外に出ろ」

「わ、悪かったよ、これでいいだろ?」

 怯えているがそんなことじゃ俺の気持ちは収まりがつかなくなっている。

「はぁ、お前は俺を怒らせたんだ、死ぬんだろ?」

「ケント?最近殺しすぎてるんだからちょっとは自粛して」

「…あ?…はぁ、もういい行け!」

「あ、ありがテェ!すまねぇ!」

 男2人は逃げていった。

「はぁ、ダメだな」

「そうよ?別に殺す必要ないでしょ?」

「…そうだな。みんな悪かったな」

「大丈夫です!」

「「大丈夫!」」

 また、みんなで楽しく飯を食い始める。

(それにしても何で奴隷だと分かったんだ?)

「不思議そうな顔してるわね?」

「…そうか?何で奴隷だと分かったのかが不思議でな」

「どーせ会話を盗み聞きしてたんでしょ?それに希少な子が2人もいるからね」

「…それでかよ」


「また来るかもね?」

「まぁ、返り討ちにしてやるよ」


 その日は普通に宿で体を拭いてベッドに潜り込むとすぐ寝てしまった。


 次の日は快晴だ。

 1人で少し考えてみる。

 そういえば人を殺すことに何の意味も持たずに殺していたような気もするがやはり悪は裁かれるべきだと思う。

 俺が殺したのは盗賊だ、それは間違いないのだから。

 俺はこれで良いと思うがあんな風にいわれたんだ少しだけ自重しよう。



 下に降りてみんなで朝飯を食べる。

やはりまだまだ子供のネアとノアは食べ方がぎこちないのですぐ口元を汚す。

 しょうがないので拭いてやると喜んでいるので可愛いと思えるし守ってやらなきゃならない。

 買い物に今日も行こうということになったので外に出ると、見知らぬ男達に囲まれる。

「…なんだ?」

「へへ、昨日とは違うぞ?その奴隷をこっちによこしな!」

「断る!そして奴隷として扱っていないだろ?」

「なら奴隷にして売っぱらうまでだ!」

「…はぁ」

「やっちゃいなさい!今なら良いわ!」

 とルビーが声に出す。

「…覚悟しろよ?」

 剣を抜くと男達は少し動揺するが、

「こっちの方が多いんだ!構わねえやっちまえ!」

「…」

「イデェ!」

 1人、2人と手を使えないようにして行く。

「ぁあぁぁぁ!」

「な、何事だ!」

「こいつらが囲んで俺の家族を奴隷にしようとしただけだ」

「なに!こいつら!ってお前が全員やったのか?」

「あぁ、生きてるだろ?」

「ま、まあな!だがこれでは鉱山送りもできないな」

「…はあ」

 俺は男たちの両腕を回復魔法でつけて行く。

「あ、う、動く動くぞ!」

「お前たちは拉致容疑で鉱山送りだ!」

「ふ、ふざけんな!」

「なに、二、三年だ!しっかり働け」

「ただこいつの奴隷に!」

「テメェガンザ!ふざけんなよ!お前のせいだからな!」

「俺は絶対許さねえぞ!」

「お、おい待てよ!お、俺じゃないだろ?」

「いや、お前が欲をかくからだ!」

「ふざけんな!俺のせいじゃねえぞ」

「うるさい!!お前らは平等に判決されるから待ってろ!行くぞ!」

 縄をつけられて連れて行かれる男達はガンザという男以外は悪かったな、と口を揃えていうので兵士にそのことを話す。

「恩赦がでた、刑はお前だけだな」

「は?嘘だろ!おい!お前ら!」

「うるさい!お前はこっちだ!」

 と引きずられていった。

 他の男達はこちらに礼を言ってもうしないと誓うと去っていった。

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