第8話 奴隷
「…やってみなくちゃわからないだろ?」
「あははは、嘘だ!こっちが悪かった」
「は?」
「…あ?」
こいつは何を言ってるんだ?
「こうやって懐に入って」
咄嗟に剣の柄を使って腹当たりにいる相手の攻撃を逸らし、同じ目線まで屈むと柄で鼻を撃つ、顔を逸らしたら首を斬るために横凪、だが相手がそのまま縦に1回転したのでこちらは横にそのまま1回転をし、追撃すると相手の腹を斬る。
「ご、ゴブッ」
「…苦しめ」
「ぐ、ぐぞがぁ!」
こちらに向かってきたので一振りで頭を落とす。
収納に入れると今度は男達3人が出てきた。
「お、俺たちはやめろって言ったんだぜ?」
「そ、そうなんだよ!あいつが勝手に」
「そ、そう言うことだから、じゃ」
と3人は後ろを向いて逃げていく。
(仲間じゃなかったのか?)
と思うと1人戻って来て、
「そ、そいつの金袋を」
「…あ?」
「す、すいません」
とまた逃げていった。
(何が良くてさっきのあいつらはパーティーをくんでるんだ?)
去っていった3人と殺した1人は下手したら盗賊かになっていたかもしれない。
平和ボケした人間にはよくわからない。
「あいつら結局あれで逃げていったね」
「そうだな、おかげで寝不足だ」
「今日中に街に行こう!」
「そうだな」
道中昼間は眠気と闘いながら襲って来たモンスターを倒していく。
と言ってもウルフ系ばかりだ。
(あぁ、眠い、瞼が重いな)
「あっ!街が見えたよ」
夕暮れでオレンジ色に染まる石塀が見える。
「よし走るぞ」
「あ、待ってよ!」
(何としてもベッドで寝たい!)
そう考えると足も元気が出て来て走り出した。
「待てっつうの!私をおいてくなー!」
「…早く来い」
「わかったよ!」
門まで何とか辿り着くとギルドカードを見せて街の中に入る。ここも夕方なのにすごい賑わいだな。
(何か掘り出し物はあるか?)
街をぶらつく。
「あ」
鑑定を使いながら街をぶらついてると生活魔法の魔導書と言うのを見つけた。
「…親父、これはいくらだ?」
「あ?それは金貨「なら要らない」ま、待て銀貨30枚だ!」
「へぇ。珍しいもの売ってるね、でも高すぎなんじゃない?」
「やっぱりそう思うか?」
「じゃ、じゃあ銀貨10枚!」
「わかったよ、それで買う」
「えへ」
(ナイスだ。ルビー)
もう店じまいするところが多くなって来たので宿に向かう。
「悪いね」
「…まぁいいか」
「そ、そそうだね」
2人部屋しか空いてなかったのだ。だが眠いから関係ない。
下で夕食を食べて部屋に戻る。
剣の手入れをしてそれからさっき買った魔導書を捲るとパラパラと捲れていきパタンと閉まると魔導書はスゥっと消えてしまった。
「トーチ」
指の先に火が灯る。
「え?魔法?」
「そのようだな」
トーチ→種火をつける
ウォーター→水を出す
ブリーズ→風を送る
ホール→穴を掘る
ライト→光源をだす
クリーン→清潔にする
俺はこれだけの魔法をいっぺんに覚えられた。また掘り出し物がないか探してみよう。
「あ、あ、あの、お湯使いたいんだけど」
「…あぁ、あっち向いてればいいか?」
「う、うん」
俺はベッドに横になるとそのまま寝てしまったらしい。
「おはよう」
「おはよ!」
なぜか怒っているルビーに、
(あまり詮索しない方がいいかな?)
と思い、相方の機嫌が悪い時は気にしないことにした。
下に朝飯を食いにいく。
私怒ってますオーラを出してくるルビーはほっておいてゆっくりと朝食を食べる。
そして宿から出るともう一度同じような魔導書が無いか探してみるが見当たらない。代わりにルビーの機嫌取りに買った髪留めを渡すとルビーの機嫌は急上昇し、喋りが止まらない。
どうやら一緒の部屋で何もなかったことに腹を立てていたらしいが、
(そんなもの俺には度胸がないぞ?それにどう考えても年下だろ?俺みたいなおっさんは嫌だろ)
と言う結論だ。
そして冒険者ギルドに行き猩々と狒々を解体場で出す。
「お、おい兄ちゃんは収納持ちかよ!それにこの猩々なんかクビの傷だけじゃねえか!」
とビックリされると解体してもらい売ると言うと紙をもらった。そして受付に持っていくと金貨450枚で高く売れた。
狒々が一体金貨20枚、15体いたから金貨300枚、猩々が金貨150枚だった。
そしてランクもCに上がった。
割に合った金額だし大満足だ。
ルビーと折半しても金貨225枚だし、言うことなしだな。
それからも街ブラをして宿屋があったので空きがあるか聞くとあるそうなので二部屋取ってからまた街の中をうろつく。
肉串を食ったり武器屋に行ってもっといい武器に変えたルビーを褒めたりと、なかなか一日が楽しかった。
やはり休養は大事だと思った。
(俺はこれだけの困難があったから少し強くなれた気がするがどうなんだろうか?)
と変なことを考えだしたので気分を変えて違う道をいくと奴隷市場に着く。
さっさと出ようと早歩きで通り過ぎようとすると、
「助けて」
と声がしたような気がして振り返る。
そこには今にも死にそうになっているエルフ?の女が座り自分の命が終わるのを待っているように見えた。
「ダメだから!奴隷なんて買ってどうするのよ」
「…あぁ、そうだよな」
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