第4話 仲間


「あ、あぁ、ああああ」

 飯を頬張り食べ進めていると、後ろから袋に入った金が俺に渡される。

「…なんだ?」

「あぁ、賭けてすまなかったなルビー、あと兄ちゃんにはルビーを治してもらった礼だ」

「…そう言うことなら受け取るよ」

「あ、あたしを治してくれてありがと…ございます」

「…別に、美味い飯が食いたかっただけだ」

 赤いウェーブのかかった長い髪に赤い瞳でよく見るとまだ幼く感じる。


「あんたやるじゃないか!男だね!あんたらも見習いな!」

「「「ウオオォォ!!」」」

 後ろから喝采を浴びることになるなんてな。

「…飯食ってんだ、静かにしろよ?」

「「「ウェーイ」」」

(これで何で盛り上がるんだよ)

「これでもあんたに感謝してんのさ!」

(賭けの対象にしたのに…手のひら返しがひどいな)


「ご馳走様」

「待って!貴方名前は?」

「…ケントだ」

「ケント、ケントケント、覚えたわ。私ルビーだから!」

「あぁ、ルビー、またな」

「うん!ありがとう!」

 階段を登り部屋に入ると満腹感でベッドに倒れ込むように仰向けになる。

(まぁ、これで悪夢も半減してくれればいいがな)

 そのまま眠りにつく。


“コンコン”

「…ん」

 ノックの音で起きた。いや二度寝したようだ。最初はでかい鐘の音で起きたんだった。とベッドから起きてドアを開ける。

「あ、おはよう、ケント!朝ごはんだよ」

 思ったより背の低いルビーに少しビックリして、

「…あぁ、すぐ行く」

 とそのまま扉から出て、ルビーと一緒に下に降りていく。

「昨日も言ったけどありがとう」

「…分かった。気持ちだけ受け取る」

 女将が持って来たのはベーコンエッグにパンにサラダにエールだ。真水が貴重な時もあったと何かで読んだ覚えがあるが、朝からエールを飲む気にはなれないな。


 軽い朝飯を食べると今日は防具屋に行くつもりだ。

(盗賊の持ってた鎧なんか着たくないしあっていなかったからな)


「今日はどうするの?」

「…防具屋にに行く」

「なら案内するよ!」

「…あ?あぁ、助かる」



 正直、気はすすまないが一緒に防具屋に行くが歩きづらい、腕を組まれて歩くが身長差があるのでとても歩きづらい。

「…歩きづらい」

「だーめ!我慢して」


 防具屋に着くとおばちゃんが対応してくれる。

「あいよ何をお探しで?」

「動きやすい防具はないか?」

「なら胸当てだね」

「合うサイズがあるか?」

「じゃあこれなんてどうだい?黒狼の胸当てだよ、魔法が付与されてるから『フィット』と唱えると体に合わせて縮む、外す時は『パージ』だよ」

「ならそれと、おすすめはあるか?」

「そうだね?片手剣なら小盾はどうだい?あとグリーブ、脛当てだね?」

「それを貰おう」

「毎度!金貨2枚だ」

「はい」

 俺は防具を身につけていく。なかなか様になっているのではないだろうか。

「あとそのブーツはもうそろそろ寿命だから買い換えたほうがいいよ?」

「あぁ、正直合ってないから買い換えるつもりだ」

「なら向かいの靴屋だね」


 と言われてブーツを買いに行く。

「毎度、えー、黒狼のブーツでいいかい?」

「なんでだ?」

「いや、装備に合わせるならそこら辺かな?と」

「そうだな、ものを見せてくれ」

 黒いブーツだ。編み上げ式のかっこいいブーツだな。

「じゃあそれもお願いするよ」

 この靴屋は足のサイズを測ると作ってくれるみたいだ。

「明日取りに来なよ、金貨1枚だよ」

 代金を払って宿屋へ、と思ったらルビーに引っ張られる。

「…なんだ?」

「せっかくだしもうちょっと散歩しようよ」

「?構わないが」

「よし!んじゃ甘いもの好き?」

「…まぁ、好きだな」

「やった!じゃあとっておきのところに行こう」

 と連れてこられたのは喫茶店。

「パフェ二つね」

「かしこまりました」

 パフェが来るまでルビーの相手だ。

 ルビーの質問攻めに答えていく感じだがな。

「じゃあ旅をするの?」

「ん?まぁな、で落ち着ける場所があれば落ち着く感じだな」

「あ、あの、あたいもついてっちゃダメかい?」

「…好きにしろ」

「よし!好きにするよ!ちなみにあたいは斥候が得意なんだ!あの状態はドジ踏んで毒を右半身に受けた」

「そうか…つらかったか?」

「そりゃあんな化け物みたいになってりゃ辛いさ。それを助けてくれたんだ!仲間になりたいんだ!」

「…そうか」

(多分ダメと言ってもついて来そうだしな)

「元の仲間がいるんじゃないのか?」

「あはは、気味悪がられてからは会ってないよ」

 と気丈に振る舞ってはいるが辛かっただろうな。

「明日ここを出ようと思うが必要なものはあるか?」

「食料は買ったかい?あと水筒なんかは?」

「買ってなかったな」

「んじゃ買いに行こう!明日だね、急がないと」

「あぁ」

 ルビーはテキパキと行動して、あれやこれやと買っていく。俺が収納持ちってのも話してからは遠慮なく買っていく。

「大体2人分はこれで揃ったよ」

「あぁ、ありがとう」


「こ、これくらいお安い御用さ!」

 顔を赤くしているルビーははにかむと、それじゃあ宿に戻ろうと言って一緒に戻ると女将に報告しているようなので部屋に戻る。

(こっちでも何とかなりそうだな)

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