Vol.4 魂の行方

僕の魂は

どこから来て どこへ還ってゆくのだろう

君に出会う前の 僕は

岬の上で 一人夏草の中に座り

海を見ていた

あの頃

風が上昇してきたら

僕の魂は

空に同化したいと

両手を広げて それを欲した


君の魂は

どこから来て 今僕の隣に居るのだろう

君に出会ってから 僕は

同じ岬に座って 風に吹かれても

君しか見えない

その時

指先を君に向けたら

僕の魂は

君に同化したいと

ひきつるほどに それを欲した


君を抱きしめ 重なり合えば

僕達は溶けあいたいと 願うだろう

そう想う 魂までも重ねていたい

いつまでも いつのときも そうしていたい


僕達が どこから来たかは知らないけれど

どこへ還るかは 君も僕も知っている

その日まで ころげあっていよう

その日まで 見つめあっていよう

その日が来たら

海を見下ろす大地の中で抱き合って

二人 ゆっくりと眠りにつこう


やがて僕等の魂は

雑草の根に吸われ

導管を上昇し 葉脈を伝い

大気に放出される


そうしたら

岬を渡る風になり

手をつないで 旅をしよう

両手を広げ 宇宙そらになろう

どこへだって 行ける

Jet stream


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