第52話:既視感
ー♢ー♢ー♢ー通話中ー♢ー♢ー♢ー
『ロキ!いろいろ考えてきたよ!』
『意外と早かったね』
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その日の22時頃、mmが通話でコラボのゲームを話したいというので話すことになった。
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『どんなゲーム?まさかモン〇ンライズじゃないよね?』
『違うよ、RA〇Tってゲームはどうかなって!』
ー♢ー♢ー♢ー通話中ー♢ー♢ー♢ー
え、RA〇Tってついさっき莉未と話してたゲームだよな…。
うーん…え?……もしかしてmmって………ほんと
…おれと気が合うなあ!
嬌太郎の鈍感さには誰もついていけないものだった。
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『RA〇Tいいじゃん、おれやったことあるし人のも見たことあるよ。物資を集めて筏をどんどん機能的にさせていくやつでしょ?』
『う、うん。なんかそうみたい』
『そうみたい…?』
『…実は教えてもらったゲームなんだよね、面白いよ、って。なんかごめんね…』
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教えてもらった…?
ん?おれもついさっき莉未に教えたよな…でも莉未に教えたゲームは他にもあったから…うーん…まあ偶然か。
ー♢ー♢ー♢ー通話中ー♢ー♢ー♢ー
『だめかな…?』
『…え?あ、いいよ。やろうよRA○T』
『ありがと!企画とかいろいろ考えてみたんだけど特に縛りとかなく普通にプレイするだけじゃだめかな?』
『いいと思うよ』
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どんな縛りを考えていたかは気になるところだけど…。
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『じゃあこれから都合の合う日は一緒に動画撮っていこうか』
『あ!ごめん、私まだそのゲームダウンロードできてないんだ…。明後日バイト代入るからそれ以降でもいい?』
『いいよ、急かしちゃったみたいでごめんね。コンビニだっけ?バイト』
『うん、たぶん卒業まで続けるかなあ』
『偉いね、おれは面倒くさがりだからバイトはたまにしかしてないよ』
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まあ一応収益化してるからなあ。
てかmmも収益化してるんじゃないのか?
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『じゃあ買ったら教えてよ』
『うん、今日はいろいろありがとね!』
『いろいろ?えーっと…おれなんかしたっけ?』
『え、だってほら……あ!勘違いだ。ごめんごめん』
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勘違い…。
違う誰かにも世話になったとか?
…ネットじゃなくてリアルの人かな。
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『またね!ロキ』
『おやすみー』
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あー、なんかモヤモヤするなあ。
冷蔵庫で冷やしていたビールを取出しソファに身体を沈めた。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢
通話を終えたmm(莉未)
(私……なんて言った?いろいろありがとうってどういうこと…?)
さっきの通話でロキはmmに感謝されるようなことは特段なかったがmm(莉未)の口からは『いろいろありがとう』という言葉が出ていた。
(ロキに対して?いや…何か違うことに対して出た言葉なのかな…)
この時、莉未はロキと”何か”が重なったような感覚に陥った。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢
―――― SNS【mm】――――
『ゲームダウンロードしたよ!でも今日バイトだから撮るの明日でもいい?』
『いいよ、バイト頑張ってね』
―――― SNS【mm】――――
mmってほんと真面目だなあ。
まあ、おれが不真面目なだけかもしれないけど。
「おーい、研究室行くぞー」
「へいへい」
瑛人に肩を組まれ莉未の待つ研究室に連行された。
「おつかれ」
「おつかれ、ほら早くやるよ」
莉未はいつになくバタバタとしていた。
「…なに急いでんの?」
「今日バイトなの、人足りないって言われたから早めに行かないといけないんだよね」
片側の髪を耳にかけip〇dで資料をまとめ始めた。
「今日はもうバイトに行ってもいいよ?研究は明日やればいいじゃん」
明日はmmと動画を撮る予定だけどアパート近いから余裕だしな。
「明日はだめ!」
そう言うと莉未は物凄いスピードで手を進めた。
「そ、そうなんだ…。じゃあ今日急いでやろうか」
何焦ってるんだよ…変なの。
「うん、ごめんね」
急いでやろうか、とは言ったものの、おれは終始莉未のスピードについていくことはできなかった。
♦♢♦
今日は久々に瑛人のアパートで雪弥と3人で飲むことになったが、飲み始める前におれと瑛人は飲み過ぎは絶対に禁止!と雪弥に釘を刺された。
以前おれ達が泥酔したことをまだ根に持っているようだ。
「研究だるいわー、おれのペアの子がすげースパルタできついんだよなあ」
瑛人が部屋着に着替えながら愚痴を吐く。
「そう?あの子優しいと思うけどなあ」
雪弥の研究室の莉未以外の女の子は雪弥目当てで入ってるようなもんなんだよ。
「雪弥はさ、瑠美ちゃんのことどう思ってるの?」
っと、なんか勢いで聞いちゃったけどまあいいか。
「瑠美さんのこと?どうって何が?」
「あ、いや…なんていうか…」
聞いておいて何も返せないのはださいな。
「瑠美ちゃんって可愛いよな、って話しだよ。だろ?嬌太郎」
「あ、そ、そうそう」
サンキュー瑛人。
「可愛いよ瑠美さん。この前もゲームしててすごく楽しかった。あんな風に隣で一緒にゲームしてくれる女の人いなかったから嬉しかったよ」
聞かせたい…!瑠美ちゃんにこの雪弥の言葉を聞かせたい…!
「好きなの?瑠美ちゃんのこと」
瑛人がついにぶっちゃけた。
「え!?ど、どうしてそうなるの!?」
「いやそんな顔してからさ」
雪弥の顔をジーっと見た。
「…分からない」
雪弥が顔を逸らす。
「でもさ、一緒に居て楽しかったんだろ?一緒にゲームしてて楽しかったんだろ?」
「う、うん…」
小さく頷いた。
「じゃあそういうことだ!でも雪弥、瑠美ちゃんはまだ未成年だからな?」
瑛人は、ハハハ、と笑った。
「わ、分かってるよ!何変なこと言ってるの!」
へえ、雪弥も知らずのうちに瑠美ちゃんのことを意識してたのか。
―――― 一緒に居る…、一緒にゲームをする…、か。おれ、やっぱりあの人のことを好きなのかな。
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