第30話:ロキくんはウチと組むべきだよ






…そまりとコラボ?



―――― SNSメッセージ(そまり) ――――

『おーい、きいてんのかー』

『コラボって、そまり実況辞めたんじゃないのか?』

『チャンネルは閉鎖したよ』

『はあ?じゃあどうやってコラボするのさ』

『だーからさ。ウチがもう一回違うチャンネルを開設するんだよー』

『言ってることが分からないんだけど…』

―――― SNSメッセージ(そまり) ――――



前から自由なやつではあったけど…。



―――― SNSメッセージ(そまり) ――――

『ね!どうする!?』

『どうするって…おれ今コラボしてる人いるしさ』

『たのむ一生のお願いだー』

―――― SNSメッセージ(そまり) ――――



一生のお願いをこんなところで使うとは。



―――― SNSメッセージ(そまり) ――――

『嫌だね。都合が良すぎると思わないのか?』

『え~、あの時一緒にコラボしたじゃんー。そんでさ、今は逆の立場だよ、わかる?』

『まあ、あの時は確かにコラボ誘ってくれて嬉しかったけど…』

『じゃあ決まりだね!なんか考えといてねー。よろしくロキくん』

『おい、やるなんて言ってないぞ!』

―――― SNSメッセージ(そまり) ――――


どうしてこうなった。

mmとコラボしてるのに他の実況者とコラボなんて…。

でも色んな実況者とコラボしている実況者も結構いるよな?

アリなのか?いやいや、そもそも相手はそまりだ。

どう考えても怪しすぎる。

今からチャンネルを作るからコラボしろ、だと??

ありえない…。

ありえないけど昔の恩があるのは事実なんだよな…。


うーん、まあ単発ならいいかな。

いやあ…うーん。


嬌太郎はそまりとの久しぶりの再会に対する嬉しさとコラボを持ちかけられた驚き

そしてmmに対するなんとも言えない感情


mmにとってロキは意中の存在だがロキはその想いを全く感じていない。

一度整理しておくが、莉未(mm)と嬌太郎はお互いの正体にまだ辿り着いてはいない。


一応mmにも一言入れておかないとな。



―――― SNS(mm) ――――

『mmおつかれさま、話しあるんだけどいいかな?』

―――― SNS(mm) ――――



ロキに想いを寄せるmmの返信は早かった。



―――― SNS(mm) ――――

『おつかれさま!どうしたの』

―――― SNS(mm) ――――



返信はっや。ちょうどスマホ手にしてたのかな。



―――― SNS(mm) ――――

『前に仲良くしてた友達、ってか実況者から久しぶりに連絡来てさ、コラボしたいって言うんだけど。単発で何かやってみてもいいよね?』

『あ、うん…いいよ!私に断る必要なんてないのに』

―――― SNS(mm) ――――



あれ、なんだ案外サッパリしてるんだな。でも良かった拒まられなくて。



―――― SNS(mm) ――――

『ありがとね。あ、モン〇ン進めておくから近々撮ろうね』

『うん、よろしくね』

―――― SNS(mm) ――――



よーし、じゃあそまりとのコラボについて考えていくかー。

どうせあいつ何も考えてくれないだろうしな。



♢♢♢♢♢♢♢♢♢



メッセージを終えた莉未。


(…コラボ?でもロキって私と…。違う違う、ロキは誰のでもない。私はただのコラボさせてもらえてる実況者。ロキが他の誰とコラボしようと関係ないじゃん…)


ロキとコラボし始めてついこの前好きになってしまったロキを誰かに取られてしまうのではないかと不安になっていた。


(私…いやこれ以上考えるのはやめておこ。ただのメンヘラになっちゃう。普通に接しなくちゃ、私はただのコラボ相手…私はただのコラボ相手…)

何度も何度も言い聞かせ落ち着きを取り戻していった。



♦♦♦♦♦♦♦♦♦



―――― SNS(そまり) ――――

『ロキくーん。きまったかー?』

『あのさあ、自分は何も考えないわけ??』

『ウチは忙しいのだよ』

『ほんとかよ。いつもブラブラ遊び惚けてるんだろ?』

『あららー、ひどいこと言うねー。まあまあウチのことはいいからさ、何か考えたのかい?』

『えーっと、そまりってさマ〇オ系得意だったよね?』

『おー、よく覚えてるじゃないかー。それで?』

『マリ〇メーカーやってみない?おれが作ったやつをそまりがクリアするっていう企画』

『なにそれ!つまんなさそー!』

『はあ!!!??』

『だってさー、それって作った人がクリアできるコースをウチがクリアするんでしょー』

『そうだけど?』

『はあ…、あのねロキくん。ロキくんが作ったコースをさ、ウチがクリアできないとでも思うのー?』(…確かに。こいつめちゃくちゃゲームセンスあるんだよなあ)

『うるさー、じゃあもう少し案考えておくよ』

『いい案があるよ?』

『え?』


『モン〇ンなんてどうだい?』


『は?モン〇ン』

(モン〇ンはmmとやってるからだめだ)

『モン〇ンはもう…』

『もうmmちゃんとやってるからだめ?』

(こ、こいつおれがメッセージ送り終える前に…)

『そうだよ、mmさんとコラボ中なの』

『へー。んでもさ、ウチとはモ〇ハンライズやればいいじゃん?』

(そまりのやつからかってるな)

『あのさ、いい加減にしろよな』

『あははー、やっぱロキくんは可愛いなー』

『何がしたいんだよ』

『コラボ動画みたよー』

『そうなんだ、で、バカにしにきたのか?』


『mmちゃんよりウチ組んでた時の方がロキくんは楽しそうだったよ』


(な、なんだよ。今度は何が言いたいんだ)

『まあいいや、じゃゲーム考えておいてねー』

『おい!』

―――― SNS ――――



1時間ほど経っても返事が来ない為SNSを確認するのをやめた。



♦♦♦♦♦♦♦♦♦



はあ、変わらないなあ…そまりのやつ。

あの頃もさっきみたいに振り回されてたっけな。

でも初めての繋がり、初めて仲良くできた実況者がそまり。

自由奔放でひどい目に合ったこともあるけどあの頃は毎日が楽しかったな。

学校から帰ってすぐにそまりとゲームしたり通話してた。

そして誰よりもおれの悩みに正面から向き合ってくれたのもそまり。


……だからこそ、いきなり消えたのが許せない。

あんなに信頼してたのに。何があったんだよ…。


♦♢♦


「よー、人気ゲーム実況者さん」

廊下で俯いているところを瑛人に小突かれた。


「どうしたの?嬌太郎くん」

雪弥が瑛人の後ろから現れる。


「いや、別に」


「まーたなんか隠してる感じだな。ま、別にいいけどよ」


「なにかあった?」


「考えごとしてただけだよ」


「ふーん。何かあったら相談乗るからね」


ああ、と答え次の教室へ向かった。


教室に着くと窓辺の机で一人ふて寝している女子が居た。

いやよく知っている後ろ姿だ、でもどこか寂し気に感じるのは気のせいだろうか。

でもおれには関係の無いことだ。


この講義は席が決まっている。

運悪く莉未の横を通らざるを得なかった。

ことごとくついていないな。


彼女を起こさないようゆっくりと横を通る瞬間おれは耳を疑った。



「どうして違う人とコラボなんてするの……」




―――― いま…いまなんて言った?






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