第29話:心配してたよ



え?〈そまり〉って…。



―――― SNS ――――

『ロキくん。おひさー』

―――― SNS ――――



は?なんで…こいつが。とりあえず返信しよう。



―――― SNS ――――

『いままで何してたんだよ』

―――― SNS ――――



ずっと音信不通だったのにどうして今更現れたんだ。

…返信、すぐはこないよな。

しばらくSNSのメッセージ画面を見ていたが既読マークはつかなかった。


「嬌太郎くーん、行くよー」

雪弥が前方から振り向き手を振る。


「あ、うん」

まあ講義中に返信来るだろ。


♦♢♦


講義中ちらちらとスマホを見ていたが通知は来なかった。

どうしてあいつの返信が来るのを気にしてるのだろうか。

なんの連絡もなく突然消えたやつなのに。


「今日って研究室行く日だよな?このまま行くか?それともなんか食ってから行く?」

瑛人がバッグに教科書を詰めながら言った。


「このまま行こうか、どっちにしろ地獄が待ってるわけだし」


「あ…あぁ、莉未さんと顔合せるのつらいよね」

雪弥が作り笑いであはは、と笑う。


「まあでも必修だから行かないわけにもいかないしな」

と言いつつも一向に立ち上がらないおれを二人は両腕を掴み連行した。


今回の抵抗も虚しくおれはあっさりと莉未の待つ研究室前に到着してしまった。


―――― ピピピ


…SNSの通知だ。


―――― SNS(mm) ――――

『…ロキ、今日録画とか関係なく一緒にモン〇ンで狩りに行かない?欲しい素材があるの。できれば通話しながら…』

―――― SNS(mm) ――――



通話しながら?まあいいけど…ッ!

バシ!


「おい!行くぞ嬌太郎!」

ドアの突っ立ていると瑛人に背中を叩かれた。


「いてぇよ!」


「早く行かないお前が悪い」


「…はいはい」

ガチャドアを開けるとすぐ目の前で莉未がスマホを見ていた。

待ちくたびれたってか?

みんなが集まったところで教授が軽くスケジュール等の確認をし、各々で課題を進めることになった。


莉未をペアで研究を進めているおれは先に机に移動し莉未がip〇dを持って来てくれるのを待つ。

少しかかりそうだからさっきのmmのメッセージに返事をすることにした。



―――― SNS(mm) ――――

『いいね、じゃあ通話しながら狩りに行こうか。時間はそっちに合せるよ』

―――― SNS(mm) ――――



たまには一緒に素材集めもいいかもな。

返信していると莉未がもう机に来ていた。


―――― ピピピ


莉未のスマホの通知音だ。

それに気づいた莉未はすぐ様スマホを取出しなにやら文字を打ち込んでいるようだ。


渡れたip〇dを開こうとすると今度はおれのスマホが鳴った。



―――― SNS(mm) ――――

『うれしい!じゃあいつも通り20時でいいかな?』

―――― SNS(mm) ――――


あー、20時か。

ちょうどいいかもな。

おっけーって返すか…。


「ねえ嬌太郎…」


はっ、と顔を上げると莉未がおれをジーっと見つめていた。


「え、なに?」


「あのさ、やる気ある?さっきからスマホいじってばっかでさ」


「なんだよそれ、莉未だってさっきニヤニヤしながらスマホ見てたじゃんよ。彼氏でもできたの?」


すると莉未はカーっと顔と耳を赤くし下を向いた。

「そ、そんな…ニヤニヤなんて!…か、彼氏って…うるさい嬌太郎!」


図星かよ。

ほんとに彼氏できてたのか……。



莉未は黒く長い髪をフワっと回し、後ろを向いた。


「……研究始めるぞ」

と声をかけると、莉未は背を向けたままコクリとうなずいた。



お互いのデータの突き合わせをする予定だったがギクシャクしまったせいで一向に捗ることなく時間だけが過ぎた。


19時になった時ベルが鳴り、それを聞いた莉未は急いで身の回りの物を片付け駆け足で出て行った。

急ぎのようでもあるのだろうか。

まあいい、おれもmmと約束があるし今日は帰ろう。

スマホを開きmmに20時で大丈夫だよ、と送ったあとにそまりに送ったメッセージに気づいた。

そういえばそまりから返事来てないな…。

なんだよ自分から送って来たくせに。



♦♦♦♦♦♦♦♦♦



ー♢ー♢ー♢ー通話中ー♢ー♢ー♢ー

『お疲れ様ロキ』

『おつかれさま、なんか息切れしてない?』

『え!?し、してないよ!』

『そう?なんか急かせちゃってごめんね』

『ううん、通話楽しみにしてた!』

『そっかそっか、じゃあさっそくやろうか。んじゃいつものパスで部屋作るね』

ー♢ー♢ー♢ー通話中ー♢ー♢ー♢ー



mm疲れてるのかな?無理させたかなあ。



ー♢ー♢ー♢ー通話中ー♢ー♢ー♢ー

『…ねえロキ』

『ん?なに?』

『あの…さ。好きなタイプとかある?』

『女の子のタイプってこと?』

『うん…、ほら髪型とか…』

『髪型?うーん』

ー♢ー♢ー♢ー通話中ー♢ー♢ー♢ー



好きな髪型か。

莉未の髪型が好きかな……っておれ相当気持ち悪いな。まあいいか。



ー♢ー♢ー♢ー通話中ー♢ー♢ー♢ー

『なんだろ、黒髪で少し長い髪型が好きかな…なんとなく』

『え!?私と一緒だ!なんか嬉しいな』

『嬉しいの?』

『え!あ…うん。だって…じゃなくて、なんとなく…』

『ん?どしたの?あ、次何狩りに行く?』

『ごめんね…、えーっとネル○ガンテいい?』

『いいよ、サクッと終わらせよっか』

『…うん』

ー♢ー♢ー♢ー通話中ー♢ー♢ー♢ー



この日は終始mmの様子がおかしく通話を切る間際も何か話しを持出し長引いた。

大学で忙しいのかな…というわけでもなさそうだったなあ…。

嬌太郎は鈍感すぎた。


―――― ピピピ、スマホが鳴った。

SNSを見て慌ててメッセージを開いた。

そまりからだ。



―――― SNS ――――

『返事おそいぞー、ウチ待ちくたびれたわー』

―――― SNS ――――



まあおれも返事遅れたけどあんたも大概だろう。



―――― SNS ――――

『そまりも遅いよ。てか今まで何してたんだよ』

『もー、せっかくの再会だっていうのにそんなに怒らなくていいじゃないかー』

―――― SNS ――――



おれ、怒ってるのか…?



―――― SNS ――――

『別に怒ってないよ、ただ心配はしてた』

『あはは、相変わらずキミは可愛いなあ。ウチのこと心配してたのかー』

―――― SNS ――――



だってお前3年も連絡とれなかったんだぞ…。



―――― SNS ――――

『だって唯一の友達だったんだよ』

『嬉しいこと言うじゃーん、ウチも大事な友達だと思ってたよー』

―――― SNS ――――



うわぁ、恥ずかしくなってきた…。



―――― SNS ――――

『じゃあなんで消えたんだよ』

『まあまあそれは置いておいて。ロキくんってまだ実況してる?』

『うん、やってるけど、そまりは辞めたの?』

『よかったよかった。ウチのことはいいのだよ』

―――― SNS ――――



何が言いたいんだ?なんか空回りしてるなあ…。



―――― SNS ――――

『またやったらいいのに。せっかく人気になってたのにさ』

『いい案があるんだよねー』

『いい案?』

『ねえロキくん。ウチとまたコラボしようよ』




―――― へ?コラボ?





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