第21話2人のイケメン
「えみちゃん、なんか、あたしと智のせいで大変な目に合ったみたいで、ごめんね。」
事務所の休憩室で、同期の侑里が謝る。
いや、キミは何も悪くない。
「なんで侑里が謝るの?悪いのはストーカー女だし。それに、間違えた相手が悪かったっていうか・・・普通じゃない人を巻き込んだから全然大丈夫よ。」
まあ・・・素手で15階まで登って行くのは確かに一歩間違えたらかなり危険だったけど・・・。
「あたし、やっぱり直接謝りに伺おうかな。」
「そんなに気にするなら・・・話つけてみるけど。」
「ありがとう。えみちゃん。智にも伝えておくね。」
◇◇◇◇◇◇◇
「へえ。それでサワの家まで謝りに行く事になったんだ。」
麗は俺の部屋で肉じゃがを作ってくれた。
この肉じゃが、めちゃくちゃ美味い。
「うん。そう。麗はサワの家わかるだろ?」
俺は肉じゃががとビールを交互に口に含む。
「うん、何度か遊びに行った事あるけど、半端ないお金持ちだから、家もすごいよ。」
「へえ。そうなんだ。」
そう言いながら麗はカレンダーを見る。
「和男ちゃん、そろそろ元に戻るよね。」
「え?ああ、そうだな。」
麗はじっと俺を見る。
「なに。どうした?」
麗は顔を近づける。
「あたし達、いつヤルの?」
ブフッ!!!
ビールを吐き出してしまった。
「い、いつって。キミはまだ高校生だし・・・」
「だけど、あたし達付き合ってるでしょ?だったらシテもいいよね。」
「し、シテもいいけど・・・」
ついつい麗の胸や太ももに目がいってしまう。
俺だって、やっていいならヤリたいさ。
だけど、ホントにいいのか?
50過ぎのオッサンが高校生と・・・そんなご褒美あるのか?
「和男ちゃん・・・戻ったら・・・しよ?」
「え、ええ・・」
「なんなら、戻らなくても・・・」
麗は俺の手を握り、胸に当てる。
うわーー!!
初めて触ってしまった!!!
うららのオッパイ!!
超柔けえ!!
ああ、なんて幸せなんだあ。
俺は思わず指を動かしてみる。
お、なんか硬い部分に当たったぞ。
これはまさか!!!
「もう、和男ちゃんたら、今からだったら、和男ちゃん気持ちよくなれないでしょ。やっぱり我慢!!」
麗は手を離した。
ああ、硬いお豆の感触。
もっと感じたかった。
「あと数日我慢して。そしたら、あたし頑張って、和男ちゃんを気持ちよくさせてあげるから。」
ああ、早く元に戻らないものか。
こんなに願う事は今まで無かった。
それから、しばらくして、侑里と智がサワの家に謝罪に行く事になった。
俺も侑里の付き添いと、興味もあって一緒にサワの家に行く事になった。
「ここがサワの家よ。」
麗がバカでかい門の前に止まった。
大きな白い壁に囲まれて、中はまるで見えない。
麗はインターホンを押す。
「はい。」
「麗です。」
しばらくすると、門が開き、60代くらいの女性が出て来た。
「どうぞ、お入りくださいませ。」
中に案内されると、俺は自分の目を疑った。
家が、建物が無い!!
「こちらへどうぞ。」
60代の女性はスタスタと芝生の間に作られた石畳を歩いて行く。
辺り一面、ゴルフ場かと思うような芝生一面の中を、俺達は女性の後をついて歩いた。
麗は慣れてるのか平然としているが、侑里と智は緊張で顔が強張っていた。
700Mくらい歩くと、ようやく和風の老舗旅館のような建物が出てきた。
女性は玄関の引き戸をカラカラと開け、俺の達を中に案内した。
長い回廊を進む。
途中ガラス張りの窓の外には綺麗な中庭があり、和風の庭園が広がっていた。
旅館と錯覚してしまうような家だ。
女性は部屋の前に止まると、
「奥さま、圓おぼっちゃんのお友達の方がお見えになりました。」
「どうぞ。お入りください。」
女性が部屋の扉を開けると、中は30畳くらいありそうな洋風の広い客間だった。
大きなソファもある。
入り口付近のソファにはサワの母親と、サワが座っていた。
「奥はどうぞ。」
母親とサワは立ち上がり、奥へと案内してくれた。
「あの、この度は、僕達のせいで、圓くんに大変、ご迷惑をおかけしてしまい、本当に申し訳ありませんでした。」
藍沢智は、部屋に案内されると同時に頭を下げた。
侑里も同じく頭を下げる。
母親は少し驚いた様子だったが、すぐに笑顔で、ソファに座るように促した。
「本当に、圓とソックリなのね。」
母親は智をマジマジと見る。
「でも、あんなストーカーに狙われて、大変だったわね。アイドルって大変ね。」
「あ、はい・・・」
2人とも、かなり緊張した感じだ。
母親は続けた。
「かなり気にして頂いたようだけど、これは、あなた方はまるで悪くないわ。あなた方は被害者だし、何も謝る事なんてないわ。
幸い、圓は、少し変わってるというか、そんなに弱くない子だし。ホントに気にしないでくださいね。」
母親の神対応に、2人は安心した。
俺と麗も顔を見合わせた。
俺達は圓の家を出た。
「なんか、悪かったな。」
圓がふっきらぼうに智に声を掛ける。
「いえ、こちらこそ。ありがとうございました。」
圓は下を向きながら言う。
「まあさ、同じ顔の縁っていうか、こんな出会いもなかなか無いし、仲良くしてくれよ。」
智は微笑んだ。
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
同じ顔でも智の笑顔はホントに品があるなぁ。
やっぱりアイドルは違うなぁ。
帰り道、俺は麗と2人きりになった。
「和男ちゃん、今夜はガンバるよ!」
そう、今晩は満月。ようやく男に戻れる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます