第4話釣りが好きです
俺の唯一の趣味はバス釣りだ。
誰も居ない山奥の小さな池の淵に座り
ルアーを落とす。
ポチャン
静かだ・・・
毎日毎日、様々な音で賑やかな生活をしてると、こういう無音の世界に心が穏やかに、リラックスできる。
俺のは優しい風のぬくもりを感じながら、バスがかかるのを待つ。
ピクッ
ピクピクッ
お、かかったな。
ゆっくりリールをまく。
1匹のブラックバスがかかっていた。
口に刺さった針を取りはずし、池に逃がす。
そしてまた待つ。
ザッ・・ザッ・・・
お、誰か来たな。
せっかくの1人の世界を邪魔されたく無かったが、仕方がない。ここは公共の場だ。
同じバス釣りを趣味とする者同士、ここは譲ろう。
少し離れたところに荷物を置くのを横目で見る。
あちらは2人連れだ。
どうやらカップルらしい。
羨ましくもあるが、ここは別にカップルで来たいとは思わない。1人の時間を楽しもう。
「あ、あんた!」
ん・・・?
なに?
「なんで、あんたがここに居んのよ。」
聞き覚えのある声。
品の無い喋り方。
「新庄さん。」
恐る恐る隣を見る。
間違いない・・・金髪長身塩顔イケメンと、相棒の不良女がいる。
なんでだよ、なんでこんなとこで会うんだよ。
ついてくんなよ。俺のテリトリーに!
「新庄さん、バス釣りやるんすか?すごいっすね、女の人で。」
「べつにすごくないじゃん。あたしだって来てるし。」
不良女は相変わらず俺を睨んでくるので、なるべく目を合わせないように前を見ていた。
「お前は俺について来ただけだろ。新庄さんは1人で来てるなんてスゲェな。」
そういいながらロッドを取り出す。
俺はまたもや驚いた!
ヤツが持ってるのは8〜10万はする高級ロッドだ。高校生が使うような物じゃない。
バイクといい、ロッドといい、コイツはかなり金持ちのお坊ちゃんなのか?
ス――――――ッ
思いっきり息を吸う。
「あの・・・桜沢さんは、素敵なロッドをお持ちですね・・・」
バクバクバクバク
言えた、言えた!勇気を振り絞って言ってみた!
「これですか?大した事ないです。使いますか?」
まじか!!
「いいんですか?ありがとうございます。」
こんな高級ロッド二度と持つ機会ないだろう。
ヤツの顔が近づく。
男からみてもキレイだな。
パシパシパシ
「いててて」
不良バカ女が自分のロッドで殴ってくる、
「
いって〜なぁ。バカ女め。
「2人は付き合ってるんですか?」
興味無いけど聞いてみた。
「違います。」
「え〜?いいじゃん付き合ったって〜」
「家が近いし、小中高と一緒の友達です。仲はいいですけど、付き合ってません。」
「そうですか。」
「・・・・新庄さんは?彼氏いますか?」
「はい?」
彼氏?んなもん、いるわけねぇ。彼女だって、できた事ないのに。
「いないですよ。」
金髪長身塩顔イケメンは嬉しそうに微笑んだ。
なんだ気持ちわりぃな。
「そうですか。」
「もう―――!!なんなのこれ!?つまんないっ!あたし帰る!!」
「おい、紋!」
バカ女がキレた。
「すいません、新庄さん。明日、バイトっすよねっ?明日あいましょう。紋!待てよ!」
はあ、疲れた。
くそっ、俺の癒やしの時間を邪魔しやがって。
帰る頃には月が出ていた。
満月か・・・
家に着き、シャワー荷物を片付けたらシャワーを浴びる。
ブラジャーの外し方も慣れたもんだ。
パンツも脱ぎすてる。
ん?
ない。
たわわな山2つ。
下を見てると、見覚えのあるモノが。
俺は慌てて鏡を見る。
戻ってる。
戻ってるぞ、俺。
「やった―――!!」
翌日の夜。
「店長―――!!!」
俺は店長に泣きながら抱きつく。
「戻った!!!戻りました俺!!!」
「和男ちゃんおかえり〜良かった、良かったなぁ。」
店長も泣きながら喜んでくれる。
「おはようございます。」
従業員出入り口から、金髪長身塩顔イケメンが入ってきた。
「あ、桜沢君、おはよう!!」
俺は嬉しさで元気に挨拶した。
「なんでテメ―がいんだよ!!!」
何故か、目一杯殴られ、俺はすっ飛んだ。
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