ドローン試合

 ====== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 物部満百合(まゆり)・・・物部一朗太と栞(しおり)の娘。

 久保田健太郎・・・久保田誠とあつこの息子。

 大文字おさむ・・・大文字伝子と学の息子。

 福本めぐみ・・・福本英二と祥子の娘。

 依田悦子・・・依田俊介と慶子の娘。

 服部千香乃(ちかの)・・・服部源一郎とコウの娘。

 南原未玖(みく)・・・南原龍之介と文子(ふみこ)の娘。

 山城みどり・・・山城順と蘭の娘。

 愛宕悦司・・・愛宕寛治とみちるの息子。


 大文字伝子・・・おさむの母。

 久保田あつこ・・・警視庁警視正。健太郎の母。元EITO副隊長。


 草薙あきら・・・元EITO出向の警視庁事務官。

 中条秀吉・・・ドローン大会中学の部チャンピオン。


 ==============================

 ==ミラクル9とは、大文字伝子達の子供達が作った、サークルのことである。==

 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==


 午前10時。草薙発明研究所。

 草薙あきらは、元EITO出向の警視庁事務官だった。ホワイトハッカーの腕を買われての採用だった。今は、発明家として独立・・・というのは表向きの顔で、実際は、EITOの外部諜報官だった。

 その草薙の元に健太郎と、おさむがやってきて、相談をした。

「選挙妨害?ドローンで?どこから、その話を?」「犯人の1人から。」

 草薙は、健太郎の話に笑い始めた。「健太郎君は、悪い奴の一味と関わりを持ったのかい?」

「健太郎。焦りすぎ。僕が説明するよ。健太郎は、葡萄館近くの、ドローン大会の小学生の部のチャンピオンなんだ。」「ああ。あれ、まだ続いてたんだね。毎年やるって言っちゃったからなあ。三都市迎撃作戦の時、敵を攪乱させる為に開いたのが始まりだ。そうかあ。チャンピオンねえ。」

 草薙に、おさむは説明を続けた。

「健太郎の家の近くに、中条さんっていう、中学生のチャンピオンが住んでいるんだ。で、その中条さんが、『選挙妨害のチーム』に入れられちゃったんだ。チャンピオンだから。お父さんの知り合いが、今回選挙妨害の為の政治団体『つばくろ党』に入っていて、お父さんを通じて中条さんに、ドローンを使った選挙妨害活動をさせようとしているんだ。」

「ちょっと待った!それって、10数年前の、新党の候補者を潰すために作った、『使い捨て政治団体』の事件に似てるな。選挙妨害法って法律があって、逮捕されたけどね、代表達は。その時は、エキストラを雇ってまで選挙カーを追い回したり、選挙事務所行ったりして『大声で』ヤジ跳ばして妨害したんだ。追い詰められた新党の候補者は、候補を取り下げたよ。その時は、スピーカーを使ってヘイトスピーチして有罪になった凡例があったから、生声なら構わないだろう、って、そういう暴挙に出たんだけどね。詰まり、今度はその発展形で、ドローンを近くに飛ばすという計画か。」

 暫く考えていた草薙は、「おさむ君のアイディア?妨害活動の妨害しようってのは。」と尋ねた。

 おさむは、コクリと頷いた。

「分かった。僕の、初期のドローン数機を改造して、貸そう。但し、2人とも親の許可を取って。」

 おさむと、健太郎は、スマホを取りだして、スピーカーをオンにして、親に電話をした。

「私は分かったわ。後は、おねえさまの許可を取って頂戴。」と、あつこが言い、「面白い。おさむ、健太郎。ミラクル9に選挙妨害活動阻止を命じる。ミラクル9。出動せよ!」と、伝子が言った。

 暫く、草薙は笑っていた。

 午後3時。西新宿の駅前通り。

 新党春のあけぼの党の候補の荒田晋太郎が演説を始めようとすると、赤いドローンが数機飛んで来て、選挙カーの周辺を、まるで蠅のようにぶんぶんと飛び出した。

 そこへ、青のドローンが『2機』飛んで来た。

 青いドローンが近づくと、赤いドローンはどれも、コントロールを失い、地上に落下した。群衆は、何が起ったのか、ただ見ているだけだった。選挙カーの20メートル離れた所に対立候補の、『つばくろ党』の選挙カーがいたが、その様子を見て、反転、進行方向と逆に進み出した。

 そして、パトカーに道を塞がれ、パトカーから愛宕が降りて来た。

 午後5時。草薙発明研究所。

 健太郎と、おさむ、そしてミラクル9のメンバー、更に中条秀吉が揃った。

「お疲れさま。ドローンを格納ケースに入れたら、ジュース飲んでいいよ。」

「ありがとうございます。」全員で返事をし、笑い声が家の中で木霊した。

 ―完―


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