第4話 孤独少女は結ばない

 結局のところ、私は何も変わらなかった。素晴らしい人と出会い再開し、そして良い人になろうとしたはずだった。けれど、私は何も変え変われなかった。私はいつまでも人ではない。生まれてもない。


 ずっと孤独な存在でしかない。きっと思い返してみれば、1人で会ったことが私のあらゆる根源の失敗の元なのだと思う。孤独故に愛も恋も知らないことが私がこうなってしまった。


 それが最大の原因なのだと思う。そう思えば、私と言う存在を見出したのは孤独であった家庭だと言うことになるのだけれどでもけれど、きっとあの家庭でもそれが私でなければもう少しうまくできてできただろう。


 もっとまともな人が生まれただろう。私だったから、こんな風になってしまったのだ。そんなことぐらいは考えなくてもわかる。


 きっと、社会のみんなには恋や愛があるのだ。そういうものを感じ、そして与える機能があるのだと思う。それが人であること、それが高潔の精神と言うものなのだろう。


 私にはないものだ。私にはどうすればそれが得られるのかわからない。私はただ愚かにも、いつまでもただ死んでいくだけの存在、それが私もう今日だけで12回は想像の中で首を切られた。首を切られても別に痛くはないが、ただ恐ろしいだけだ。


 この妄想はいつかきっと現実になる。いや、首を切られることが現実になると言っているわけではない。ただ私が近いのだ。純粋に死が近くてすぐ隣に死があるから、私は死んでしまうのではないかと思わずにはいられない。


 それぐらいのことをそれぐらいのことでしかないのだ。私にとっては、結局隣にあるものなんだ。私はまだ生まれてもない。生まれていないのだから、死も生も隣にあるのだと思う。


 どちらに転がるかと言うだけで、私は今たまたま何かの間違いで息をしているだけなのだ。明日になれば、きっと私は死んでいるだろう。そんなふうに思わずにはいられない。そして今日もまた暗い部屋の中にいる。


 ただ暗い部屋の中にいるだけだ。この恐ろしく残虐なこの部屋の中にいるだけいつまでそうしているだろうか私は何かを変えられるだろうか。いやきっと何も変わらない。


 あれだけの幸運があって、私は何も変えられなかった。きっと何があっても、私はそのチャンスを掴むことができないのだろう。多分そういう運命にあるのだ。そんな風なあきらめと共に私はいるけれど、いつまでたっても私の体は死ぬことを許さない。


 いつまでも間違えて手に入れた生にしがみつこうとしている。今すぐにでもこれを手放すことが世界のためだとはわかっている。これを手放すことが私が最もできる1番優しいことなのだと。


 それぐらいの事はわかっているけれど、でもいつまでたっても私は死ねない。なぜか死ぬことを拒んでしまう。隣に死があると言うのに、その姿私は見ることができない。どうすれば死ぬことができるのだろう。どうすれば私を手に入れるのだろう。そんなことばかり考えて日々を過ごす。


 話す相手もおらずどこにも居場所は無い。違う。居場所は全て私が壊してしまったのだ。だから居場所がなくなった。居場所がないのではない。


 ただ全て壊してしまったのだ。きっとその時一緒に居場所を壊された。誰かは私のことを恨んでいるだろう。だからきっと今ここで死ぬことが最も人に嫌われない道なのだ。


 もう何年もそうだ。

 ただ人に嫌われたくない人に嫌われるのは怖い人に嫌われるということは、また居場所を失うことだから居場所を壊してしまった証だから。

 だから私は人から嫌われたくない。でも、私は人から嫌われる。私は人では無いから、嫌われるしかないのだと思う。


 もしも嫌われるのが私の運命だと言うのなら、やはり私は死ぬしかないのだ。もうなぜ生きてるのかもわからない。


 みんなどんどん成長していく。多分みんなそうなのだ。友人たちも、きっと何も私が心底嫌いになったわけではないと信じたい。

 けれど、きっと、彼女たちは、ただ未来へ向かっていっただけなのだ。未来へ呼んでいっただけで壊れたのでは無いのかもしれない。

 そういう期待をしてしまう。なんとなくだけれど、もしかしたら。


 みんなが未来や進んでいった。多分不安があるのも私だけではなかったはずだ。それぞれの不安を抱えて、それぞれが悩んでいたはずなんだ。

 けれど、私はずっとこの過去に座り込んだまま、ただ死んでいくだけ。いや、過去にすら行くことができない。ただ私はこの場で座り込むだけ。


 そんな私を誰が助けることができると言うのだろう。そんな私を誰が救えると言うのだろう。私はきっとただ滅んでいくだけが最も正しい人なのだ。だからこうなる事は当然すぎる結果なのだ。


 きっと私が好きだった彼女たちは今は新たな居場所にいるはずだ。新たな幸せをつかんで、私のことを過去にしているはずだ。そう信じたい。


 そう。私はみんなのことが好きなんだ。そして大嫌いだ。私より幸せになっていく。

 私より幸せな彼女たちのことが嫌いで、そして私に優しくしてくれた彼女たちが好きだから、私は彼女たちが幸せになることを望んでいる


 そうは言っても今は連絡がないからどうなってるかわからない。もしかしたらまだミーナのこけた頬のままかもしれないけれど、彼女たちは優しい人だから幸があるだろう。


 そうでなくてはおかしい。いやそんなことがないのはわかっている。誰だって幸運や、不運によって幸福になり、不幸になるのだから。

 優しい人だからと言うのは何の効果もない事とわかっている。でもそうであって欲しい。優しい彼らだから幸せでいて欲しいと願うのは間違っていることだろうか。


 私が幸せな時期とはいつだったんだろう幸せの瞬間と言うのは、本当に限られた時期にほんの一瞬だけ見られはしなくもないけれど、幸せな時期と言うものはどこ探してもないものである。


 どの時期を見ても、何かしらの強烈な不安や苦しみや悲しみが私の中を渦巻いていたから、幸せな時期と言うものは、私の中には存在しないのだろうや。


 きっと私は幸せの形を知らないのだ。幸せな時期と言うものの形成方法や形を知らないから、もしもそれが幸せであったとしても、私はそれを見逃してしまう。


 だからこそ目の前の不幸ばかり私は目がついてしまう。だから、これからもきっと私は不幸に見舞われたままなのだ。


 幸せを見つけることができず、助けられる準備もできていない。つまり、不幸に酔っているのだ。

 私は私は不幸に酔っているから、きっと一生不幸なままなのだ。深い悲しみの中で私は生きるしかない。


 そんなことぐらいはそろそろ私にも気づいてきた。こんな私が変われるなら、もしも変われるならもう少し期待は持てたのかもしれないけれど、私はきっと急にこのままなのだ。


 そんなことぐらいはもう上がっているから早く死んだほうがいいと言う思いが切らない。いつまでたっても私は何もできないままだ。永久にこのままなのだろう。


 いくら魔法技術が発達したところで、私のこの悩みは消えてくれない。いや、この悩みが消えたら。それはもう私では無いのではないだろうか。そんなふうにすら思う。


 だから私はずっと首を切られる。想像の中で、息をするしかないのだ。小さく息を吐いてただ。時間を食い潰すしかないのだろう。誰かが行きたかった時間を私はただ死にたいと思いながら食いつぶすしかないのだと思う。


 私が最も苦手な事は幸せな人を見ることではない。幸せな人を壊してしまうことことだ。きっとみんな幸せになる資格を持っていて誰かがいるんだ。もしも不幸に見舞われたときに隣に誰かがいる。そんな人たちを私が壊してしまうのなら、そんな人生はほんとにどうしようもないけれど、それが私なんだ。そういう私だから私はとてつもなく私が嫌いだ。世界の中で1番嫌な人をあげると言われたら、私は私をあげるだろういつまでたっても私は弱い。私のままきっとみんな誰かがいるんだ。私と同じような人はどこにもいないのだろう。


 広域情報網では悲しい人をいっぱい見つける。私より暗いことを言う人もたくさん見つけるけど、そんな人たちにも誰かがいる同情してくれる。誰か話してくれる誰かそんな誰かたちに彼らはよりかかって生きているよりかかることができてよりかかることを許されている。


 私とは違う。

 私もきっと許されていたのだと思う。

 私にも私の人生の中で探せば、きっとそういう誰かがいたのだと思う。けれど、私はそういう誰かを裏切ってきた。そういう誰かを傷つけてきた。そういう誰かを壊してきた。だから、私の隣には誰もいない。私は永久に1人のままだ。孤独のままだ。


 私はずっと座り込んだまま、この深い沼の中に進んでいくだけ。


 深淵の闇は、とても深い。私の視界を濁す。

 私は本当に一体何なのだろう生きている意味があるのだろうか。存在している意味があるのだろうか。


 私はこれ以上、苦しみながら、息をする意味があるのだろうか。いや、きっとないもないのだ。私はもう死ぬ以外に意味を見出せない。


 いや、死ぬことすら叶わないのだろう。私は最も愚かな人なのだから、死ぬことすら叶わない。

 この現世と言う地獄にとらわれるしかないのだ何をしたって意味をない。


 きっと私は誰かを傷つけるだけの心から存在なのだ。この美しい世界に私と言う秀悪な存在や似合わない。どうして私のようなものが生まれてしまったのだろう。


 それこそ最も愚かしいことだと言うことに。いや違う。私はきっと世界を滅ぼす人なのだそういう愚かな存在なのだ。最も人を傷つけるいないほうがいい存在なのだ。


 この結論も何度目だろう。そんなわけはないとわかっているのに、わかっていても、私の思考は止まらない。


 私は首を切る。首を切りたい。

 そのナイフで、私の首をさばきたい。

 血がどくどく溢れて、暖かい血が私の手を包む次第に感覚が崩れて、私の意識はなくなっていく無常にも基底状態へと帰っていくのだ。それが最も世界のためになることだと私は信じているから、とても喜びながら、私は意識を手放す。赤い血が周囲と広がる。


 真っ赤な床に染みて、きっと清掃の人は苦労するだろう。首と脳が離れる事はついなかった。

 けれど、私の魔力は大気中へと霧散していく。私の命とともにもう息をすることもない。

 この生苦しい世界で息をすることは無い。それがどれだけ素晴らしいことか。


 私はそう信じていたのだけれど、ここに来ても、私はずっと怖いままなのだ。

 そう。ずっと私は死ぬことが怖い。怖い怖いだけで何も起こらない。この世界ではずっと怖いことばかりだった。この人生は怖いことしかない。恐ろしい世界だ。


 どんなに幸せになったって、その幸せが壊れることが恐ろしい。どんなに不幸になったって、それ以上に不幸になることが、恐ろしい。

 そんな世界なのだから、私は恐怖から逃れられない。唯一逃れる方法は、ただこれだけ首を切り知恵と近づけば。私は思考を失うのだから。


 だから私はこの想像のように首を切るしかないのだろう。首を切り、血を触れ出すことしかできないのだろう。周囲を赤で染めることしかできないのだ。


 ただ1人私はここで寂しく、孤独に冷たいままに熱を失うことしかできないのだ。だから、私はきっと生まれた時から、ずっといや生まれる。前も、死んだ後も、私は永遠に孤独なままなのだ。


 けれど、それでも願う事は幸せであることを願う。私のような愚かな人ではない。

 高潔の精神を持った彼女たちが幸せになれることを私はただ祈っている。ただ祈ることしかできないけれど、それぐらいの事は祈らせて欲しい。祈った。私なら誰かが手を差し伸べてくれるだろうか。そんなことを祈れる私にもしも慣れたら誰かが私を認めてくれるだろうかそう願いたい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

孤独少女の夢 のゆみ @noyumi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る