ハーレム編
第4章開始の聖女はだらけている
今、私たちは今まで以上に厳重になった警備の中…聖女宮でだらけていた。
私は横にに座っているヴェルに膝枕をされつつソファーに寝転んでいる。
そして、足元には本を読んでいるレイが座ってるような状態だ。
リュカは向かいに新しく置いたソファーに座り膜の中にいる赤ちゃんを定期的に眺めては、何か異変はないかと確認してくれているし、ティルはベッドに寝転びすやすやと寝息を立てている。
ミミちゃんはあんなことがあったからお休みしていいと言ったけれど、私のそばから離れたくないとリュカの横のソファーに座り私たちを嬉しそうに眺めている。
本来ならばメイドは壁際に立っているなどと何かしら仕事をしなくてはいけないのだが、私が強制的に聖女の権力?みたいなものを使って無理やり座らせているのだ。
(権力とはこう言った時に使うべし~)
そんな事を考えつつ、私は城へと戻ってからの事を思い出していた。
私たちはあれから城へと帰り、そのまま
城の中にいた偽物達はレイから話を聞いた後すぐにおじさまが色々と対応してくれたようで、もう城の中にはいないらしい。
その時のおじさまの表情から私は『なんで?』『どうして?』などの問いはしない事にした。
必要ならば言ってくれるだろうし、なんならティルやレイが調べて言ってくるだろうと思ったからだ。
そして、今回の事でおじさまから…申し訳なるほど謝罪をされた。
正直、あの出来事は許せるか許せないかと言われれば許せない…でも、それをおじさまに全て背負わせるのはおかしいと私は思ってしまったのだ。
なので『この先一つだけ何でも出来る』権利をもらった。
まぁ、そう言っているがその権利を私がこの先使うかはわからないし『何か言ってくれ』っていう空気を読んだから表面上そうしたわけである。
そして、ティルも正式に夫になったことも伝えた。
生まれや育ちの関係があるので少し心配していたのだが、おじさまは予想に反して大喜び。
夫が増える事は子が増える事だ、だから嬉しい事だとブレないおじさまだった。
チラッと聞いてみると、おじさまの考えとしたら異世界から無理やり連れてきた聖女に対し、この国の王だというだけの理由でこの世界の常識を聖女に押し付けたりするべきでは無いと思っているらしい。
ただ、犯罪者だけは駄目だと念を押されたが、そこは私も嫌なので『わかった』と素直に頷いた。
王様なのにおじ様は心が広いなぁ、と思っていた私だが『前王の聖女に対する行いを見ていたからこその考えなのかもしれないわ』と後々リュカが呟いていたのを聞いて、案外そうなのかもしれないと思った。
平民.貴族など身分制のあるこの国で『王様は稀有な人だ』とレイは尊敬の眼差しでおじさまを見ていた。
そして今回利用された反聖女派のフード集団6人はなんと…聖女宮で働くことが決まった。
…これは私がおじさまにお願いしたからだったりする。
夫含め周りの人たちは猛烈に反対したのだが、この6人は厳重な城から私を連れ去ることができた手練れなのだ。
それに関しては潜伏していた黒幕の手下達も関係してるのだろうが、調べた結果1人1人の能力も恐ろしく高かったのだ。
『優里に対して負い目があるから裏切ることはもう無さそうだし、なんなら契約で縛ればいい』とティルも言ってくれたし…何よりも、私のせいでと言ったら語弊があるかもしれないが…私のせいで処刑とか寝覚が悪すぎる。
しかも、皆自分の意思であんなことをしたわけじゃない事は調べた結果明確になったのだ。
そして皆が皆、帰る家も場所も仕事ももうなくなったというのだ。
そして『そんなの私のそばで働いてくれれば全部解決するじゃないか!』と短絡的だが…思ったのだ。
ただ、長いローブや顔を隠すような格好はしないでくれと言ってある。
一応あれから数日経った今でも夜中に叫んで飛び起きたり、急に思い出して気分が悪くなったりもしてるのだ。
これは多分トラウマになっている気がする。
今までそんな事になった事がないからわからないけど、多分そんな感じだろう。
まぁ、それも夫達3人と我が子とリュカとミミちゃんによってだんだん良くはなってる気がする。
こればっかりは精神科など無いこの世界ではどうする事もできないので、皆に支えられながら乗り越えれればな…と、調子のいい時に私は思ってたりする。
あぁ、そういえば夫達も色々と変化したんだよね。
レイはあれから私のそばから離れなくなったので、何か調べることがあったりする場合は元フードの1人で元諜報員の『トリン』をこきつかってる。
なので、ずっと私のそばに居て本を読んだりトリンを使って調べたものをまとめたりと部屋の中で忙しく過ごしているのだ。
レイに何をしているのかは聞いても一切教えてくれない。
なので一度覗き見をしようとした事があるんだけど…物凄い笑顔で私を見てきた。
あの笑顔をイケメンがするとたじろいでしまうのは私だけじゃ無いだろう。
そして部屋の隅にレイ専用の机が置かれた日には笑ってしまった。
夜の遊びも慣れてきたのか最近は私に対しご奉仕をすることにハマっているらしい…そのせいで私は鳴かされっぱなしである。
ヴェルはレイと同じく私の側から全く離れてくれなくなった、唯一離れるのは私が他の夫と夜に遊んでる時だ。
その時には扉の外で警備の人たちと一緒に周囲を警戒してくれているらしい…レイも警備も居るし私からすれば『寝ても良いんじゃ…?』と思ってる。言わないけどね。
ヴェルはあれからセリナさんに関しメイド等を使って情報を集めていたらしいのだが、同じく情報を集めていたおじさまに『何かわかったら報告するから今は待っていて』と言われたようでモヤモヤしてるっぽい。
夜の方は子供が産まれた事により、次はレイかティルの子供が産まれるべきだと言ってイチャイチャはするが最後まではしないようになっていた。
私が一度誘った時はとても切なそうな表情をしながら『俺ばっかりになっちゃうといけないんで』と言っていた。
その表情が可愛過ぎて、更にいじめたくなった事は墓場まで持っていくべきだろうか?
ティルは今まで私と一緒にいることの方が少なかったのだが、今は1日の内13時間程一緒にいるようになった。
夜の遊びを私が他の夫としてる時に散歩したりしてる様で、昼間にうたた寝してる事が多くなった。
起きてる時はそばに座って私の髪の毛で遊んでみたり、ヴェルに素振りを教えてもらったり、レイと何かこそこそ話してたりかなり自由に過ごしている。
以前とは違ってトゲトゲしい言葉をあまり使わなくなったティルだが、照れたりすると反射的にトゲトゲするのでそこがもう可愛い。
夫同士の仲も良いみたいで、ティルがいる事によりバランスが取れている様に感じる。
リュカはそんな私達と居る事に違和感を感じないのか、仕事をキチンとこなしつつ上手く私達に混じって毎日を過ごしている。
リュカは産後魔力を使いまくった私に凄く長いお説教後『でも、そんなあんたを私は素晴らしいと思うわ』とデレてくれた上に、定期的に私の魔力回路も確認してくれている。
リュカの定期的にくるデレは最高なのだ、やっぱり美人の照れ顔は最高に素敵だと思う。
ミミちゃんは基本的にソファーに座りニコニコと私達を眺めていたり、私のハンカチに刺繍をしてくれたりして過ごしている。
死にかける程の大怪我をしたのだ、仕事をする事を私が許すはずがない。
でも、何もする事がないと言われたので刺繍とか読書など動かないものならしても良いと言った。
ミミちゃんは酷く心配する私に対し、毎回優しい笑顔を向けてくれるのだ。
それだけでご飯4杯はいけると思う。たぶん。
まぁ、そんな感じで私は今、至福の時を過ごしている。
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