俺、優里様をぜってぇ守ります。



「お金!?いらないのよそんなものっ!」


私は勢いよく立ち上がり、ヴェルに向かってそう言った。


ヴェルはそんな私の反応にとてもびっくりした様で、目を白黒させ私を見上げていた。



力では絶対勝てない男の人が私をキョトンと見つめている。



なんとも言い表すことのできない出来事に対して私の心は燃えていた。いや、多分萌えていた。



私はヴェルに対してもう一度『私のことを妻にしてもいいと思う?』と、問いかけた。


この返答によっては私の心は暴走するだろうと予想しながら。





「そ…れは、嬉しい。だが、いや…はい。…俺はこんな見た目なんすよ。やっぱりなんで自分なんだろうって思うし、その理由が分かんないんで理解出来無いっつーか。」



私はそんな言葉を言うヴェルが可愛くて仕方なかった。




私の性格は歪んでいるのかもしれ無い。




だって『ヴェルがイケメンだと私だけが認識している』その状況が今の私にとっていいことでしかないからだった。





私はその言葉に対して返事はしなかった。


だって、前の世界で同じ状態になった私がイケメンに『顔が好きだからだよ』みたいなことを言われても、ただ悲しくなっただろう。


何が本当なんだろうと疑心暗鬼になってしまって自分は苦しんでいただろうなと想像したからだ。




だから私を見上げているヴェルに そっとキスを落とした。



眉を下げた表情で私を見上げていたヴェルの表情がゆっくりと驚愕に染まってゆく。




そんなヴェルを見て私の体はひどく疼いたのだった。






レイは空気を読んだのだろう、気づけばこの部屋にいなかった。






私はヴェルをソファーに押し倒して口づけを何度も落としてゆく。



私を見ているヴェルの瞳が小さく揺れている。



(多分、嬉しさとか驚きとか意味がわから無い状況に対して脳が追いついて無いんだろうな)



私はなんだか楽しくなってきてしまった。




言葉ではなく行動で表せ、前世で誰かにそんなことを言われた気がする。


(多分こう言った場合に使う言葉では絶対にないとは思うが)






状況が把握できてい無いだろうヴェルに対しゆっくり唇を舌でなぞる私。



その薄く開いたままの唇に私の舌を這わしてゆく。



ゆっくりと口内に侵入してゆく舌にヴェルが気づいた時、服の上からでもわかる程にヴェルの心臓が高鳴り出した。


「ハッ…はっぁ」


ヴェルの口から小さな吐息が漏れる。



きっと今やっと自分の置かれている状況を理解し出したのだろう。



その証拠に日に焼け褐色になってる肌が、とても赤くなっている。





そして、イケメンの切なそうな表情に私の心は鷲掴みされている。






私の右手が騎士服の中へと侵入してきていることにヴェルが気づいた時、突然ヴェルが勢いよく体を起こした。



ヴェルの体の上に馬乗りになっていた私は後ろへと倒れそうになったが、ヴェルが支えてくれたのでそのまま向き合う形になった。





「あのっ…俺、こーゆーこと初めてなんで。

多分このまましちゃったら貴方の事を忘れらんなくなるっつーか、いや、幸せな記憶として残るとは思うんすけど…飽きられた時にすげぇ悲しいっつーか、いや俺何言ってんだ?

あの、なんで、もし遊びで今回だけとかなら先に聞いときたいっつーか、はい…」




ヴェルの言葉が可愛すぎた。


(なんだこれは、可愛いの尊いの暴力なのか?もう私はKOしている。追撃してこないでください。)



私は、そんなヴェルに対して一言だけ伝えることにした。



「私は夫を生涯かけて愛すことを誓うとだけ言っとくね」



ちょっと臭いセリフだとは思ったけど、ヴェルにはその言葉がいいんじゃないかなとなんか思った。




それを聞いたヴェルは『俺、夫になりたいっす…いいんでしょうか?』と言ってきたので、『第二夫でもいいなら、大歓迎よ』と返事をした。





ヴェルは私の言葉を聞いた後に、とろける様な顔をしてこういった。



『俺、優里様をぜってぇ守ります。』



そんなヴェルの唇に私は優しく キスをした。





さぁ、美味しくいただきましょうか!

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