第8話 どうなってんだ?

 作戦会議の次の日。作戦を再開するため皆配置についていた。

 国枝の出した案を実行するため、原島と尾上はVRMMOで真壁と接触、俺と国枝は真壁クリーナーの社長室でモニターを見るのだが……


〝おいおいおい、ゲームってこんな鬼畜なんか!?。逃げろビューティー、アイラ、ハラシー、ガミー!〟


 柏木と国枝が画面越しに見た光景は一言で言えば『混沌カオス』。

 モンスター討伐クエストであるのに、画面の向こうではプレイヤー同士の争いが繰り広げられていた。


「討伐クエストってみんなでやるもんじゃないんですか?」


「俺に聞くなよ。ビューティー、アイラ、とにかく今は逃げるぞー!!!」


「アイラたん、俺から離れないで!」


「真壁さん怖いわ、これ!」


 クエスト依頼場でビューティーとアイラに接触し、パーティーを申し込んだハラシー(原島のキャラ)とガミー(尾上のキャラ)。パーティーを組むのに成功したまでは良かったのだが、いざクエスト依頼場を出て、モンスターのいるであろうフィールドに出た途端、他のプレイヤーたちに襲われてしまったのだった。


 ビューティーたちのパーティーは四人。それに対して相手の人数は大多数。


〝20、30、40……ダメだ数えられない。多分5、60はいるぞ〟


 国枝は念の為と相手の戦略を確認しようとしたが、流石の国枝でも画面に映らないほど多数のプレイヤーを数えるのは無理と断念。


 その50を超えるプレイヤーは遠くから魔法を放ちビューティーたちを攻撃してくるのであった。

 そして勝てないと見込んだビューティーたちは即時撤退しようとするが、魔法の砲撃を避けきれず、


「真壁さん、こわ、きゃーーーー」


 魔法使いアイラが敵の魔法をもろに喰らい、散り散りになって消えていくのだあった。


「あ、アイラたん、アイラた〜ん!!」


「止まらな、とにかく走れ!。今はそれしかねーだろ!!」


 アイラが消えていくのを助けに向かおうとするビューティーだが、ハラシーはすぐにビューティーの腕を引っ張り、即座に魔法の爆心地からのエスケープを試みるのであった。



 ◇



 相手が崖の上から攻撃していたこともあってか、アイラを除く三人は無事プレイヤーキルされるのを避けることができたのであった。


「なんだったんだ、あの集団は!?。俺らがプレイヤーキル可能エリアに出た途端襲って来たぞ!!」


 ハラシーは追ってがいないのを確認し、何故こんなことになっているかを話合うことにする。


「モンスター討伐報酬を自分たちのものにしたいからとかですか?」


「いや、モンスターの討伐報酬は参加した者に同じだけ入るから、独り占めとかしてもあまり意味が無いと思うぞ!」


 ガミーの疑問にビューティーが答える。


 エターナルナイトの緊急クエストは全員参加可能なクエストで、モンスターも世界に一体しかいないとかでは無く、1人一体は倒せる仕組みになっているのである。


 それなのにあんな大人数でプレイヤーキルをしてくると言うのはどういうことだろうか?


〝なぁ、国枝〟


〝なんだよ〟


〝あいつらビューティーだけめっちゃ狙って無かった?〟


〝そう見えたか?〟


〝そう見えた。だってガミーとハラシーって余裕で逃げてたろ?。アイラやられたのってただビューティーの近くにいたからなんじゃ……〟


〝……そう見えたか〟


 俺の質問に対してなんだか歯切れの悪い国枝。珍しく俺の考察が国枝を上回ってるのだろうか?。俺の言ったことになるほどなと言いながら国枝は頷くだけ。

 でもどう見てもあの集団はビューティーだけを狙い撃ちにしていた。アイラがやられたのはただの巻き込み事故みたいなもの。

 何が目的なんだろう?。あの変な旗を掲げた集団は?。


 柏木は相手の掲げていた『(T日T)』の旗についても謎に思っていた。


 あれはチーム名か何かか?。

 ただの顔文字にしか見えないが……。

 ゲーム詳しい奴とかなら分かる記号とかなんか?。


〝国枝、あれはなんだと思う………てかなんか笑ってる?〟


 国枝に相手さんのことを聞こうと顔を見てみると、何故か笑いを堪えているのだった。


 国枝は実は知っていて、柏木が知らないこと。この顔文字と言われてる集団は柏木と深く関わりのあるプレイヤーなのである。


 そうとも知らずに柏木ははてなを浮かべながらビューティー、ハラシー、ガミーがその集団の追撃を受けているのをまじまじとみるのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る