4 訓練場

漆黒で曲線的な愛車のバイクでテナとタンデムし、ログハウスから一番近い訓練場にやってきた。


 訓練場に歩み、同行するメイド服姿のテナは、俺の少し右後ろを歩いている。


「とりあえずあいつを探さないとな」

 俺は部隊を複数持っておりその1つである陸地第1部隊にはここの訓練場を貸し与えてるはずだ。そんな事も束の間、一際大きな怒声が聞こえてくる。


「ゔぉい!もうへばったのか!そんなんじゃシュガーの親父に示しがつかねえぞ!」


 訓練場に荒々しい声を響かせているのは陸地第一部隊長のアークだ。アークは左目が刀傷で塞がっており、筋肉が隆々としている赤い鬼人である。"隻眼のアーク"の異名を持ち、背丈は2メートルにも及ぶ大男であるが、身体を含めその脳みそまでが筋肉な男である。


「...ボス、さすがに昼休憩にしましょうよ、ぶっ続けで5時間はきついですって……」

「あ? もう5時間も経ってるのか、まだ1時間だと……、ん? ……この雰囲気は……まさか……!」


「よう、アーク、相変わらず訓練に励んでんな」

「ゔおぉぉお!シュガーの親父!」


 アークの一言で隊員も気づき、颯爽と寄ってくる。


「親父!お勤めご苦労様です!」

「ご苦労様です!」

 アークの第一声で部員に労いの言葉をかけられ、中腰で挨拶される。


 どこのヤ○ザやねん。


「おうっ、ありがとう。俺が居ない間もしっかりやってたみたいだな」

「それはもう……ゔぉい !お前ら! 親父が久しく来てんだ! さっさと宴会の準備しろぉ!」

 そうしてアークとの再会後すぐに宴会が始まった。まだ昼なんだが……。


 訓練場にある、備え付き宿舎の大きな宴会場には俺を中心とし、右に部隊長アーク、左に部隊の中隊長3人、横に並べられた6つの長テーブルには1テーブル50人の料理や酒がずらりと並んでいた。隊員は総勢600人にも及ぶ。


「お、おれは……うぐっ……もう親父に会えないとばかりに……ひくっ……」

 そーいえばこいつ泣き上戸だったっけ。まあ離反とかの問題は無かったにしろ、心配はかけていたわけか。情が熱いやつだ。


「すまんな、少し仕事で帰って来られなかったんだ。」

「そんな、謝んねえでくだせぇ!俺達はただ帰ってきてくれたことが嬉しくて嬉しくて……、お前ら! 今日は飲むぞぉー!」


「おおー!」


 その宴会は朝方まで続いた。

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