2-1 テナの憂い

「あの方はいつお戻りになられるのかしら」


 テナは祈り、待ち続けた。2年前にいきなり自分の前から消えた主。死ぬまで忠誠を誓った人の事を。

 そんな憂いのある日、巷で噂になっている人探しの泉に向かった。最初は眉唾物だと信じられなかったが、軽い気持ちで山奥にあるという噂の泉に行き、声をかけた。


「どうか、ご主人様を、シュガー様をお探し下さい。私、待っていますから、いつまでも。」


 その翌日、朝の日課である花壇の水やりのため庭に出た。この花は主に頂いた大切な物であり、明るくてどこか儚げなところが私に似ていると言ってくれた。当時は一輪の花ではあったが、今では沢山の花を咲かせている。


 そんな庭先に今朝は人が倒れている。テナはその人の雰囲気に慌てて駆け寄り、顔を見て驚愕する。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る