2 転移
頬に冷たく当たる優しい風と草木の揺れた心地いい音。ずっとこのまま寝ていたくなる。
「あれ、ここどこだ……? まぶしっ」
日の光は随分久しぶりだ。えーっと、たしか、最後の記憶は……机の引き出しを開けた後……、吸い込まれた……? ドラ◯もんかよ。
「……ご主人様っ‼︎ シュガー様‼︎ お変わりの無いお姿を拝見できる事を心待ちにしておりました‼︎」
片膝をつき涙を浮かべながら声をかける女。
すげー綺麗な人、容姿端麗過ぎだろ! にしても、ご主人様?。
「えーっと、君は……誰?」
「私はテナと申します。ずっと貴方をお待ちしておりました!」
そう答えたのは夢の中で聞き覚えのある声だった。
……テナ……どっかで聞いたような、ずっと身近で……。
俺はそんな事を考え、外では悪いと勧められ、庭の横にあるログハウスの中にいる。
「えーっと、テナ……ここはどこ?」
「はい! ここはゼクスの街外れにあるシュガー様の別荘地でございます!」
「ゼクス……、それにシュガーか……、よく見ればこのログハウスも……」
辺りを見渡しながら昔やり込んだゲーム、ZEXUS online《ゼグアスオンライン》について考える。
これはあれだよな、ZEXUSだよな、シュガーって呼ばれてるし、絶対そうだよなぁ。
「ステータスオープン」
確認するようにステータスを見る。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【名前】 シュガー Lv100(MAX)
【職業】 冒険者・剣士・魔術師・商人・テイマー
【称号】 オールマイスター・最高位冒険者・剣極者・魔極者・大商人・神獣テイマー
【所属ギルド】 無
etc…… ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「……はぁ、俺……流石だな」
リアルでぼっちな俺はゲームしかする事がなく、当時世界で数億人がプレイするZEXUSの中でトップに上り詰めていた。
「とりあえず今後どうするかだが……」
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