第12話 簡単な霊術講座

 それから、祈による説教が入った。

 それはもう、勢いが強く、エヴァリアも思わず苦笑いするほどだった。


 尚、父親の方は面目ないと下を向いていたが。


「――というわけです! わかった?」

「あ、あぁ……とりあえず、祈が酷い目に遭ったわけじゃない、という事は理解した。それから……あー、エヴァリアさん、かな?」

「うむ」

「先ほどは失礼した。どうやら、勘違いであなたに襲いかかってしまったみたいだ。申し訳ない……」

「気にするでない。祈を心配してのこと。親が子を心配するのは当然じゃな。そちらの、母親もな」

「うふふ、そう言ってもらえると嬉しいわ~」

「そうか。ありがとう」


 祈の説教というなの、簡単な事情説明により、事情を理解した父親はすぐさまエヴァリアに謝罪した。

 特に気にした風でもなく、むしろ当然だから問題ない、と許し、最後にちらりと母親にも声をかけた。


「ところで…………これはものすごく疑問なんだけど……どうして、祈が女の子になっているんだい!?」

「そうねぇ、それは私も気になるわ~」


 などと、知らぬ間に祈が少女化していたことに、父親、出雲蓮太郎は驚き、母親、出雲雪葉は興味津々と言った様子で尋ねる。


「あ、えっとね、一昨日の夜、ぼく死にかけちゃって」

「「ちょっと待って!?」」

「どうしたの?」

「どうしたの? じゃないよ!? え、なに? 祈、死にかけたのかい!?」

「うん」

「なんでそんなに気にしてないんだい? 祈」

「ん~、生きてるから?」

「……その言い方、どう見ても、雪葉さん似だと思い知らされるね、これは」

「うふふ、いいことじゃない」


 蓮太郎に指摘された雪葉は、自分の頬に手を添えて嬉しそうに笑う。

 なんと言うか、ぽわぽわしている辺り、否が応でも祈の母親であることを認識させられる。


「それで、祈ちゃんはどうしてそうなったの~?」

「えっと……エヴァちゃん、なんだっけ?」

「うむ。祈は死にかけ、完治させるのが通常の治癒魔法では難しいと思ったのでな。そこで、代償は存在するものの、完璧に治せる魔法を使用した結果……祈はこうなった」

「なるほど……つまり、祈の怪我はそれほどまでに酷かった、そういうわけだね?」

「うむ。妾からすれば問題ない怪我に見えても、人間ではすぐに治療を始めなければ致命傷になるような物であった」

「そうか……本当に、ありがとう。祈の命を救ってくれて」

「いや、なに。妾にも思惑がなかったわけではないからな、礼など不要」

「思惑?」


 エヴァリアの思惑、という単語に、雪葉が不思議そうな顔で反応した。

 さすがに、両親相手に隠し事はするべきではない、そう思っていたので、エヴァリアは正直に話すことに。


「……少々言いづらくあるが……簡潔に言えば、妾は祈に一目惚れをしてしまってな」

「「……ん?」」

「もちろん、治療は本心からした。しかし……男だと知った瞬間、少々残念な気持ちになってしまってなぁ」

「「あー、なるほど。理解」」

「二人とも~?」


 エヴァリアのセリフに、二人は納得し、同調した。

 両親は、色々な人とかかわるのだが、その度に祈のことを娘さんと呼ばれ、訂正しているのだ。


 それを聞かされた者たちは、あわよくば自分の子供と親密な関係に、とか思うのだが、男だと知るとがっかりするのだ。

 だから、理解した。


「しかし、後遺症が残るような怪我であったため、それも完治させ、あわよくば……という想いでその魔法を使用した。本当に、すまなかった……」


 深々と頭を下げて、謝罪を口にした。

 それを受けた二人は、少し慌てる。


「あぁ、謝らないでいいから! エヴァリアさんがいなければ、息子……は今頃ここにいなかったんだから」


 まあ、息子はいなくなって、代わりに娘が存在してしまっているが。


「そうねぇ。感謝こそすれ、責めるなんてとんでもないわ~。それに……」

「わぷっ」

「私たちの祈ちゃんが、こ~んなに可愛くなったんだから~!」

「……そ、そうか。それなら、安心じゃな……」


 殴られる覚悟で話したが、案外あっさりと受け入れられ、なんだか拍子抜けした。

 とはいえ、穏便に済むなら、それはそれでよしと考えることに。


「あ、そうだわ。エヴァリアちゃんは、行く当てはないのよね~?」

「む? まあ、そうじゃな。しかし、祈が一緒に住もう、と言ってくれたぞ?」

「さっすが、俺たちの息子だね」

「そうね~。それなら、私たちからも改めて。エヴァリアちゃん、この家に住まない? もちろん、ずっとよ」

「それは……助かるが、よいのか? おぬしらは、異戦武家。妾がいた世界から来る存在を討伐するための存在じゃろ? 妾を住まわせると、何か問題が起こらぬか?」

「問題ないわ~。敵対するのなら、すでにこの街は落とされているはずだしね~」

「うんうん。何も気にせず、ここに住んで…………って、ん? ちょっと待ってくれないかい? エヴァリアさん、今、異戦武家と言ったかい?」


 何でもないように、自分たちの正体を言ったため、二人は自然に話していたが、次第にそれがおかしいと気づき始め、蓮太郎は顔を引き攣らせながら、そう尋ねる。


「うむ。……あぁ、もしや、祈に秘密にしていることを気にしているのか? しかし、それは無駄じゃぞ?」

「「え?」」

「なぁ、祈?」

「あ、うん。昨日色々あって、みんなに教えてもらったよ?」

「「…………ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」」


 何でもないように、祈が肯定したことによって、二人は素っ頓狂な声を上げた。




 秘密にしていたことが知られてしまった経緯を、祈は二人に話した。


 途中、やや曖昧な部分はエヴァリアが補完した。


「――というわけだよ~」

「はぁ……そうか。ついに、知られてしまったんだね……」

「できれば、祈ちゃんにはこちらの世界について、知ってほしくはなかったけど……事情が事情だし、仕方ないわね~」

「んと、ごめんね?」

「あー、いや、謝らないでいいよ、祈。いつか知られてしまうかもしれない話だったからね。……もっとも、そのきっかけが魔王とは思わなかったけど」


 あはは、と苦笑する蓮太郎に、エヴァリアもつられて苦笑した。

 もともと、祈が巻き込まれたのは、エヴァリアが闇討ちされたことによるものでもあったので、少なからず申し訳ない気持ちがあるのだ。


「しかし、そうか。それなら、祈はどこまで聞いたんだい? こちらの事情を知ったという事は、霊力や能力のことも聞いたのかな?」

「うん。えっと、ボクが聞いたのは……霊力と各家の能力、あとは魔物の等級? のことくらいかな?」

「それじゃあ、霊術や霊視、霊具、霊装に関しては知らないんだね?」

「えっと、霊術? 霊視? 霊具に……霊装?」


 突然聞き馴染みのない単語が一気に四つも出て来て、祈は頭にたくさんの疑問符を浮かべる。

 隣にいるエヴァリアの方も、興味津々だ。


「……そうだね。今日はもう、時間が微妙だし、何より俺と雪葉さんは遠方への出張で疲れているし……霊術についてだけ、軽く触れようか。とはいえ、霊力関連については、俺よりも雪葉さんの方が詳しいし、頼めるかい?」

「もちろん。じゃあ、いい? 祈ちゃん」

「うん。大丈夫」

「じゃあ、手身近に。霊術はね――」


 と、そう切り出し、雪葉は霊術に関しての説明を始めた。

 霊術とは、霊力を用いた術の総称だ。

 そして、その中にもいくつかの分類が存在する。


 火に関係する霊術は『火霊術』。

 水に関係する霊術は『水霊術』。

 風に関係する霊術は『風霊術』。

 土に関係する霊術は『土霊術』。

 雷に関係する霊術は『雷霊術』。


 といった具合に、属性系の霊術は全部で五つ存在する。


 しかし、属性系以外の霊術もある。


 体に直接働きかける『体霊術』。

 このどれにも属さない霊術を『無霊術』。


 このように、属性系以外の霊術が二つある。


 名前だけ聞くと、ファンタジー作品に登場する魔法のように、強力な存在に思えるかもしれないが、実際はそうではない。


 霊術はそこまで強力ではなく、戦闘面ではあまり役に立たない。

 才能があれば話は別だが、それはよっぽどの才能がある場合である。


 例を挙げると、『火霊術』は火を投げ飛ばしたり、形を変えて武器にしたりできるが、その場合は自身の体を『水霊術』や霊装などで保護しないと負傷する。

 才能がない場合は、野外の料理などに使われる。


『水霊術』は、水を圧縮して放つくらいしかできず、大体は飲み水の確保だ。


『土霊術』は、石の礫を飛ばしたり、ちょっとした壁を作ったりする程度。そんなに堅くない。

 大体は、石窯を作ったり、雨宿りのための物を作ったりする程度。


『雷霊術』は、才能がなくとも霊力さえ込めればダメージが見込めるが、金属類を着けているとほぼ確実に自分もダメージを受ける上に、そうでなくとも割と運ゲーなので、あまり使われない。

 充電などに活用される場合が多い。


『風霊術』が一番微妙な術であり、これに時間を割くくらいなら、能力の鍛錬に時間を割いた方が有意義、もしくは他の霊術を鍛えた方がまだマシ、と言われるほど。

 かなりの才能があれば、かまいたちとか竜巻も発生させられるが、そんなものは少数。


 霊術において、最も使用されるのは『体霊術』と『無霊術』の二つで、前者は体の身体能力を上げたり、自然治癒力を上げたりなどが可能。

 後者は結界術などが含まれており、霊術の用途的には、こっちの方が多分正解と言われているほどだ。


 総評すると、霊術はあくまでも戦闘の補助的側面が強い。

 特に異戦武家の面々は強力な能力を持っているので、ほとんど必要ない。


「――こんな感じね~」

「なるほど……じゃあ、霊術って、あまり使われないんだね?」

「そうね~。あ、でも、私のように、異戦補佐の家系は霊術を鍛えてるわ」

「異戦補佐?」

「あら? そっちは柊華ちゃんたちに教えてもらわなかったのかしら~?」

「うん」

「なるほど……じゃあ、簡単にね。異戦補佐というのはね、簡単に言うと、異戦武家の補助をする家系なの。戦闘のサポートをしたりとか、被害が出ないように街を管理したりとか、そういうのね」

「なるほど。……あれ? それじゃあ、お母さんは異戦武家の生まれじゃないの?」

「そうよ? 私はね、異戦補佐の生まれ。だから、祈ちゃんの叔母さん、私の妹の鏡子ちゃんもそうなのよ?」

「へぇ~、そうだったんだ」


 祈にしては珍しく、目を丸くして驚いていた。

 声を上げるほどではないが、祈が驚くのは割とよほどである。


「でも、霊術は戦闘面で使える人はほとんどいないから、異戦補佐の人たちは……よくて二級までの相手しか戦えないのよ~」

「あ、それ以上を異戦武家が倒してる、のかな?」

「そうね~。四級~三級は、異戦武家も戦うけれど、大体は補佐がメイン。二級以上となると、異戦武家がメイン、といった感じよ~」

「なるほど~。それでも、すごいんだね、補佐の人たちも。じゃあ、お母さんもそうなんだね~」

「うふふ」


 にこにこと、尊敬するなぁ、と言わんばかりの表情で話すが、蓮太郎が苦笑いをしながら口を開く。


「あー、祈? 先に言っておくけどね? 雪葉さんは例外だからね?」

「例外?」

「あぁ。雪葉さん、霊術が異常に強くてね、一級の魔物を一人で討伐したこともあるくらいなんだ……」

「そうなの?」

「若気の至りね~」

「……若気の至りな人は、霊術と体術だけで一級以上の魔族をタコ殴りにしないし、何より無傷で倒せないよ」

「あら、そうだったかしら~?」


 うふふ、とほんわかとした笑みを漏らすが、蓮太郎は苦笑し冷や汗をかいた。

 と同時に、エヴァリアの方もまさかの話に、驚きを隠しきれないでいた。


「……ふむ、それは強いな。こちらの世界の一級が、妾のいた世界において、どの階級なのかは不明じゃが……少なからず、向こうの世界でも十分通用する強さじゃな。何より、先は妾の反撃を防いでもいた。手加減こそしていたが、並大抵の者では防げぬもの。……向こうの世界にいたと思えば、末恐ろしいな」

「あらあら、今の私は、夫を支え、子供を育てるただの主婦よ~」

「……今でも、下手な異戦武家の人よりも強いけど、ね」


 あはは……と自嘲気味の笑いを零し、明後日の方を見る蓮太郎。

 なんだか、哀愁が漂っていた。


 ……まあ、実際の話、蓮太郎よりも雪葉の方が強かったりするので。

 しかし、出雲家の能力自体、直接戦闘向き、というわけではないので、気にすることでもないが……。


「あ、ねぇ、お父さん」

「ん、なんだい?」

「えっと、ぼくに能力の使い方を教えてほしいの」

「能力? と言うと、浄化かな? 一体なぜ?」

「ぼくも、みんなと一緒のことをしたいと思って」

「……な、なんだって!?」

「祈ちゃん、それは……」

「うん、危険なのはわかってるよ。でもね、みんなが頑張ってるのに、ぼく一人だけ普通に生活するのは、心苦しくて……」

「い、いやー、だ、だけどね? 君はその、荒事に剥かないし、さ? ね?」


 祈が異戦武家としての役目をやりたい、そう言っていることに、二人は一気に心配になった。

 何せ、祈は超が付くほどのお人好しで、同時に争いを好まず、そして知らない心優しい少年……少女? だ。


 故に、危険な仕事などさせたくない、そう思っていたが……。


「安心せよ。妾も一緒に行く故」

「エヴァリアさんも?」

「うむ。まあ、護衛じゃな。ほれ、妾は現在の魔王。それに、自惚れでもないが、歴代最強でもある。そんな妾が一緒に行くのじゃ。祈に傷一つたりとて、負わせはせんよ」

「……ちなみに、エヴァリアさんはどれくらい強いんだい?」

「ふむ……柊華たちにも話したが、こちらの世界に現れた魔王たちよりも、遥かに強い」

「なるほど……具体例を挙げると?」

「具体例? そうじゃな……ほんの百分の一程度の力で、街一つ消せるくらいじゃな」

「それは……凄まじいね」

「そうね~。エヴァリアちゃんの言う事は本当でしょうし……そうなると、異戦武家だけでなく、補佐も含めて総出で挑んでも、勝てないでしょうね~……」


 百分の一で街を滅ぼせるのなら、本気の場合は一体どれほどの強さなのか、全く想像できないほどの強さを聞き、二人は冷や汗を流しながら戦慄した。


 しかし、と考える。

 祈同様、この二人も人の善悪を見抜く力があり、二人から見たエヴァリアは善性に向いていた。


 しかも……


「祈よ、この紅茶、やはり美味じゃな」

「ふふ、ありがとう。クッキー食べる?」

「うむ、貰おう」


 目の前では、仲が良さそうに話す二人の姿が。


 先ほどの一目惚れ発言で、少なからず行為を抱いていることはわかっている。

 というか、どう見てもそうだ。


「……む。祈、こちらを向け」

「どうしたの?」

「……ふふ、クッキーの欠片が付いておるぞ。はむ」

「えへへ、ありがとう」

「……尊い」

「雪葉さん?」


 二人が仲良くしている光景を見て、雪葉は素晴らしくいい笑顔で尊いと呟き、それに対し、蓮太郎が『どうしたんだ?』みたいな、顔で声をかける。


「あ、いえ、何でもないわ~。……それにしても、二人とも、仲がいいのね~」

「そうかな? でも……そうだね。ぼくとしては、エヴァちゃんは一緒にいて落ち着くのかも?」

「はは、照れるではないか」


 出会ったばかりだと言うのに、すでに仲がいい二人に、蓮太郎と雪葉は少し驚く。

 何せ、相手は魔王。

 なのに、祈は何でもないように接しているのだから。


「まぁ、仲がいいのは、いいことだよ。これなら、エヴァリアさんに、祈を任せられそうだ。大丈夫かい?」

「当然。妾がいるのだから、問題はない。……もっとも、出雲の能力を聞く限り、そして、柊華たちの話を聞く限りでは、祈はそうそう死ぬことはなさそうでもあるがな」

「あー……祈は、出雲家始まって以来の超お人好し、と言われているからね」

「あれ? ぼく、そう言われたの?」

「そうだよ。何せ、俺の学生時代よりも、人を助けているんだから。幼稚園の時でさえ、誰かを助けていたしね」

「それほどとは……祈は、本当にお人好しなのじゃな」

「そうかなぁ?」


 祈はきょとんとした様子でそう返すだけだった。

 まあ、祈としては、生まれてからずっとこの調子なので、仕方ないとも言える。


「ともあれ、エヴァリアさんが守ってくれるという事なら、問題はなさそうだね。祈」

「なぁに?」

「今、君は家にいることになっている、のかな? その体だから」

「うん。柊華お姉ちゃんたちが、しばらくは学園を休むようにって」

「なるほど……それなら、時間はあるね。それなら、どうだろう? この休みの間、俺が浄化の力を。雪葉さんが霊術を。それぞれ教えると言うのは」

「いいの!?」

「あぁ。今回の件、一度祈が知ってしまった以上、君の性格的に首を突っ込みそうでね。それなら、自分の身を護れる程度に力を扱えるようにしておいた方がいい。雪葉さん、大丈夫かい?」

「えぇ。私としても、死にかけてしまった以上は心配だもの。それに……」


 そう言いながら、祈に手を伸ばすと、祈を抱き寄せた。


「お、お母さん?」

「こーーーーんなに可愛いんですもの! 変な男が寄ってきたら大問題! 祈ちゃんは、昔から無意識に浄化の力を使っていたけど、それだけで済まない人にも会うかもしれないから、憶えておいて損はないわ~」

「……なるほど。一理あるね。今の祈は、とても可愛らしい。贔屓目を抜きにしても、とても、ね。これほど可愛いと、悪い虫が付くかもしれないね」


 などなど、二人はにこやか~に言っているが、割と本気である。

 もともと、祈は男でも可愛かった。

 それが、今では立派な美少女。

 いくら美少女になったとはいえ、紛れもない自分たちの子供。


 しかも、圧倒的に可愛い。そこらのアイドルなんかよりも可愛い。

 これほどであれば、間違いなく邪な感情を抱いた者たちが襲うかもしれない、そう考えると二人はまだ起きてもいないことで、少しイラっとした。


 故に、二人は決めた。

 こちらの世界を知らない人相手には絶対負けないようにしよう、と。


「よし、じゃあ早速、明日から教えよう。祈、それでいいかい?」

「うん! お願いします!」


 大輪の花のごとき笑顔を浮かべて、ぺこりと頭を下げる祈に、二人は思わずにへら、と頬を緩ませた。

 うんと可愛くなった娘を前に、二人はデレデレであった。


 何はともあれ、こうして祈は能力と霊術を学ぶことが決まった。

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