第22話 真理と探究

「そうなのか。昔誰かが覗いて、巨石文明を造った。あの上位エネルギーを求めて」

 世界各国にある謎の柱や遺跡。


 力を求める。きっとそれは正しい。

 

 ふと思い立ち、粘土を探すが当然ない。

 マジパンでも。

 アーモンドの粉、砂糖、卵などを混ぜ合わせばいいが、材料がない。

 マジパンとは、ケーキの上などに乗っている造形物。人形とか。


「確か小麦粉があった」


 後で証拠隠滅しやすいように、塩水でこねて、うどん玉を作る。

 小分をしながら、円柱を配置していく。円柱も太さと幅、そして長さその比によって、現実への干渉がその働きを変える。


 さっきまでは、以外と精神的にダメージがあり、闇堕ち寸前だったのかもしれない。

 自らの手で、人類を殲滅をするのは流石に寝覚めが悪い。

 鎖に縛られ、燃え上がる巨人ねえ。

 そんな記述を何かで見た気がする。聖書だったか。

 少し勉強しよう。


 そんなことを考えながら組むと、うまくいったようだ。

 柱の中心から、こんこんと透明な何かが湧いてくる。


 お盆に溜まってくると、止まってしまった。


 そう、柱にしている、小麦粉が溶けた。


 まあ良い。

 それを、すくって飲む。

 すると、何かが浮かぶ。

 この水は高位のエネルギー。

 魔を近づけないらしい。


 ほうこれは良い。

 どこか人目に付かないところに泉を作って、そこを拠点にしても良いな。


 救いを求めてくる人間は、以外と増えるかもしれないし……

 いや、安易に救いを求めるのはろくでもないやつで、本当に困っている人は、声や手を上げられない。そんな、我慢強い人が、最悪な状況まで行ってしまうのか。



 神殿と、周りに流れを作り、沐浴。

 考えを、ざっとデザインをする。


 さっきの神殿は、朝食代わりのうどんになった。


 妙に深みのある出汁が出来た。


 横からそっと手が伸びる。

 むろん小雪だ。

「おはよう」

 そう言いながら、勝手にうどんをすする。


「あっ。何これ?」

「うどん」

「それは分かっているけれど、体が壊れる」

 いきなり体を抱えて、しゃがみ込む。


 俺は平気だけれど、普通の人間にはキツいようだ。

 抱きしめ、癒やしを与える。


「薬のはずだが、多いと駄目そうだな」

 さっき、小雪の瞳が、金色になっていた。


「今は力がみなぎる感じだけど、さっきはバラバラになるかと思った。本当に一体何を食べているの?」

「神の食事」

「どうして平気なの?」

「どうしてだろうな?」

 そう言って、朝っぱらから対面状態で抱っこをする。


 多少、癒やしを与えて、落ち着かせる。


 するとまあ、瑠璃が起きてきて、やめれば良いのにうどんを盗む。

「ひゃあ。ぐっこわれる……」

「あーもう。小雪退いて」

 小雪を膝からどけて瑠璃を抱っこし、癒やす。

 

「負けるものか」

 二人は、そんなこと言いながら、ドンドンとうどんは食われていく。

 落ち着いてきたところで、十六夜参戦。


「これは、キツいですね」

 そう言いながら、残り少ない出汁まで食いつくされてしまった。


 まあ鍋には出汁が残っているし、雑炊でも作ろう。


 朝からスキンシップをしたせいか、機嫌が良い??

 さっき、十六夜も普通に抱きついてきたよな。

 良いのか?


 まあ卵を、割り入れ、蒸し焼きに……


「あっ私片面、半熟」

「私は両面で」

「すみません。私は片面で堅焼きにします」


 そうして、朝食を作る羽目になった。


 基本はご飯と味噌汁。

 サラダと、干物だったりソーセージと、目玉焼きだったり、スクランブルだったり、まあ好き好き。


 そして俺の雑炊は、目を離した隙に汁気を全部吸って、大きな焼きおにぎりのようになった。


 飯を食いながら、さっきのうどんのことが話題になる。

「上位世界のエネルギーのようだ、魔除けにもなる」

「へー、魔法も使え…… 使えた」

 小雪が踊りそうになるから止める。


「踊るなら食ってからにしろ」

「はーい」

「魔法使いって、あの一時期話題になった、勇者の集まりとかってどうなったのかしら?」

「もう魔に食われるには、いい頃だよな。まずいかな。少し調べるか」



 そう、調べると、暴れて捕まったが、無手で魔法を使い。警察も対応に苦労していたようだ。

 上位者になると、鉄格子や手錠まで溶かす。


 公にはなっていないが、麻酔で眠らそうとしたり、教会の助けを借りて聖水のプールに浸けてみたり色々しているらしいが、全員逃げたそうだ。


「困っているようですよ。助けます?」

「いや言ってこないのに手を出したら、また何か因縁をつけてこられそうだし。頼られっぱなしになるというのもな。そこでだ、悪魔コロリ。とか、悪魔にはこれ一本。上位のエネルギーだ。中の人に教えてもらってな。少量で良いからお得だぞ。飲ませて良し振りかけても良し」

 どう見ても無味無臭。神崎さんはオッこれ良いですね。と感じるくらいに効いたようだ。


「うーん。教会を通じて、販売をしますか?」

「その方が安全か」

「そうですね。新聖水とか?」

 さらっと、名前を否定された。


「小雪とかの写真をラベルに付けて、私たちが作りましたとかどうだ?」

「本気でしょうか? 捕まりますよ」

 睨まれた。


「じゃあ仕方ない、超聖水でも奇蹟の水でも何でも良いけど頼む。後は祭壇を組むところだな」

「プールでもあればよかったのですが、一般向けですし。お風呂場に棚を付けます?」

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