闇との戦い。仲間の動き。

第6話 仲間からのメッセージ

「おはようございます」


 何だろう。目があうと、すごく恥ずかしそうに、もじもじと挨拶をしてきた。

 かわいいぞ。


「ああ。おはよう」

「よく眠れました?」

「うん。まあ」


 力の使い方が分かったので、リンクしたら繋がりっぱなしになる現象は無くなった。気持ちが分からないというのも、付き合いとして重要なことだと分かった。


「朝ご飯。パンなんですが、食べます?」

「ああ。ありがとう」

 普段はあまり食べない朝食だが、貰うことになった。たまにコンビニで惣菜パンを買うくらい。


 昨夜失敗をしたが、責められもせず。良い子だ。


 コンビニで買った、お泊まりセットを持って、洗面所へ向かう。

 見たことないチューブや瓶などが、大量に並んでいる。


 家など歯ブラシと歯磨き粉。

 あと、ヘアセット用のジェルくらい。

 ブラシすらないな。今度買おうか。

 

 そう思って、ふと鏡を見ると、目の虹彩が金色だったんだが。彼女がさっき、こっちを見たときには、何も言っていなかったよな。


 何か言われたときには、体質だと言っておこう。

 説明書にも何もないな…… 記憶を探っていて、不意にトリセツという歌があったのを思いだした。つい笑ってしまう。


 するとだ、嬉しい気持ちが、波動となって広がっていったのが分かった。力が増しているな、気を付けよう。


 朝食を食べた後、彼女に何かしたいことが無いか聞く。


 言い辛そうだったが、彼女から出た言葉は、「ゆっくりしながら、お互いのことを話しませんか」と言うもの。

「お互いに、色々なことを、知りたくなりませんか?」

 と言う事らしい。


 なので、休日は家でゴロゴロして、ゲームとか、ネットで映画を見たりしていると説明をする。


 映画で分かったが、彼女もアニメが好きなようで、以外と話が合う。


 そんな事を話していると、立ち上がって戻るたび、彼女の距離が近くなってくる。


 そして、なぜか今、抱き合っている。

「頭をなでてください」

 真っ赤になって、彼女が言ってくる。


 そして彼女が言うように、色んな所に触れる。


 それからいちゃつき、流れで試したら出来た。

「やっぱり明るいのが正義か?」

 そう言ったら、「エッチですね」と返された。


 奇しくも、九月九日朝九時。

 獣の数字が六六六だから、何か意味があるのか?

 そう言えば昨夜の声。流暢過ぎて聞き取れなかったがヨハネと言ったような気がするな。

 もしかして、二千年前にも来て、名前を聞いたのか?


 そして、抱き合いながらテレビを付けると、ニュースが流れていた。

 ソースは、有名な宗教国家、ばちこい四国みたいな名前の所。


「この世界は今、悪魔達の侵略を受けています。この時代に使わされてきた使者は八十二名。その中で指導者となる十二名そしてトップはヨハネと聞きました。力得たものよ、名乗り出て、我らとともに地球を救いたまえ」

 怪しい集団が空に向かい十字架を差し出す。


 中央にいた奴から、浄化の光が半円形に広がり、集団を包んでいく。


「なんだか、すごいですね」

 そう彼女が言った瞬間、司祭か何か知らないが、幾人かパタパタと倒れる。


「ご覧ください。身近な所で魔法を使うものは、悪魔と手を結んだものです。気を付けてください」


 そこで、画面がスタジオに戻ってきた。


「いやバチカンでの発表。本当でしょうか?」

「いやあ。ですが、危険ですよ。中世の魔女狩り再びみたいになれば、今はネットがありますから、一瞬で話が広がります。国の指導者達がこの発表に引きずられれば、独裁政治が始まる可能性がありますね」

「オカルト関連コメンテータ。深淵さぐるさん。貴重なご意見ありがとうございました。では以上です」

 ニュースは良いが、さっきヨハネがトップと言っていたな。

 いやあさっき思いだしていたからだよな。きっと、気のせいだ。そうだよな。


「次に、ローカルニュースのお時間です。こちらでは勇者の会というものが結成されたようです」

 コスプレをした、うさんくさそうな連中が、集まっていた。

 段ボールで作った様な。ゴテゴテとした剣を持っている。


「全員、魔法が使えるようになった連中です。披露いたしましょう」

 そう言って、その男が、謎の呪文を唱え始める。


「世界を包む深淵よりいずる魔力を用いて、この世界の理を変化させ、すべてを焼き尽くす炎を顕現させたまえ」


 そんな事を言うと、掌の上に三十センチくらいの火の玉が出来た。

 それが、「行け」と言うかけ声とともに、飛んで行き。

 広場におかれた、ドラム缶へと着弾する。


 ドラム缶に変化はなく、炎はばふっという感じで消えた。


「どうです。すごいでしょう」

 代表らしき彼は、ひどく真面目そうな顔でしゃべっているが、鼻の穴がすごく広がっている。


 どうもニヒルっぽい顔は、ポーズで、本質はもっとお茶目っぽい。

 そして、後ろで次々に炎が飛ばされ始めたが、誰も詠唱をしていない。

 詠唱は彼の趣味らしい。


「すごい。火を出してる」

 彼女の目が釘付けになっている。


「それは良いけれど、ほんの数分まえに、魔法を使う人間は悪魔と手を結んだものだって言っていなかったか?」

 そう言うと、彼女はきょとんとして、本当だと言う顔になりうんうんと頷く。


「そう言えば。じゃあ、あの人達、悪魔なの?」

「彼らがどうかは知らないが、昨日暴れた奴はそれっぽかったけどな」

「そうね。怖かったわ…… あっお店、お金払った? 最後は食べられなかったけど、無銭飲食はまずくない?」

「まずいな」


 電話をしてみたが、誰も出ない。

「まだ無理よ。午後から…… また行ってみない?」

「そうだな、そんなに高くなかったし。流石に二日続けて、変なことは起こらないだろう」


 こういうものを、フラグという。

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