第38話 風早 司---side4

「こんばんわ」

「時忠、こいつ司。風早流の」

「顔見たことあります。雑誌に出てましたよね。青柳時忠です」

「どうも」

「アレ、書いてあること嘘なんでしょ?」

「よく、知ってるじゃん」

「時忠何飲む?」

「ジンジャエール」

「酒は?」

「僕、まだ19なんで」

「時忠はまじめだなぁ」

「違います。しょうもないことで騒ぎのネタになるのが嫌なだけです」

「ホント、お前かわいくない」

「じゃあ何で呼び出したんですか?」

「司に会わせたくて。お前ら似た者同志だよ」


話してみると、時忠は確かにオレと境遇も考え方も似ているところがあった。でも、どちらかというと、兄貴に似ている。


「なぁ、時忠、この子どう思う?」


正宗が面白がってオレのコスプレ画像を時忠に見せた。


「美人……どういう知り合いなんですか?」

「これ? どうしよっかなぁ……聞きたい?」

「はい」

「いや、でもなぁ……」

「教えてください。あ、もしかして司さんの妹さん? どこか雰囲気似てますよね?」

「見る目あるじゃん」

「やっぱり妹さん」

「オレ」

「嘘だ」

「オレって」

「そういう趣味ですか。でも今の時代、服装も性別も自由ですから」

「正宗と同じこと言うんだ」

「学祭でやったコスプレだってさ! 俺も見た時惚れそうになった!」

「他にはないんですか?」

「あるよ。見る?」


時忠に言われて、学祭で撮った他の写真を見せた。

時忠はスワイプしながらいろんな写真を見ていて、ある画像で指を止めた。しばらくそれを見ていたけれど、それについて特に何か言うわけではなかった。


「どの角度から見ても美人ですね」

「まぁね」

「なぁ、せっかく3流派揃ってるんだから、何かやれないかな?」

「また正宗さんはすぐ適当なことを言う」

「流派を超えた展示会みたいなやつ? でもそれじゃあ普通だよな。それにあれはやるまでがめんどう」

「言わなければわからないんじゃないですか?」

「どういう意味?」

「3人とも学生だから。サークルの活動ということで」

「でも、司は雑誌のせいで顔もだけど、名前バレもしてるけど」

「表向きは遊びのイベントサークルの名前を借りて、名前なんか出さなきゃいいんですよ。流派の中にいたらできないことするっていうのはどうですか?」

「俺の仲いいのがイベントサークル運営してるからそいつの名前借りよう」

「いいですね。司さんはどうですか?」

「いいじゃん。普段使わない花とかがんがん使ってやりたい」



そうして、サークルの活動として、カフェに併設したイベントスペースで小さないけばな展をやることになった。

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