第10話 澤田 瞬---side5

「なぁ、大島、お前の彼女って国文学科だったよな?」

「何? ダブルデートしようって?」

「嫌味かよ。オレ彼女いないし」


言ってから大島を見ると、怪訝そうな顔をしていた。


「何?」

「いや、お前って、国文学科の伊藤と付き合ってんじゃないの?」

「何それ? 違うし」

「あ、そうなんだ」

「なんでそうなる?」

「2人で遊びに行ってるの見たやつ結構いるし、学部もサークルも一緒ってわけじゃないのに仲良いっていうか……だからそうなんじゃないかって」

「あいつとは小3から学校がずっと一緒だから仲良いだけで、ただの幼馴染」

「でも、そういうのって、よくくっついたりするじゃん」

「それ、マンガの読み過ぎ。それにそういうの、幼馴染が超かわいいやつじゃん」

「伊藤かわいいと思うけど」

「じゃあ、お前が付き合えば?」

「俺、彼女いるし」


やっぱり、月島もそう思ってるんだろうか?

だからって、いきなり『伊藤とは付き合ってないから』とか言うのも変だよな……


「風早って知ってる?」

「ああ。編入してきたやつだろ? 何回か一緒に飯食った。彼女と、彼女の友達と」

「どんなやつ?」

「え? 普通」


普通ってなんだよ……

ん?

風早がご飯食べに行った? 4人で?


「彼女の友達って?」

「澤田知ってるかなぁ? 月島さんって子」

「大島の彼女、月島さんと友達?」

「1年の時から仲良いよ」

「月島さんって、風早と付き合ってる?」

「付き合ってないよ。俺もそうかと思って愛梨に聞いたら、『付き合ってない』ってはっきり言ってた」

「だったら紹介して! あ、『紹介』っぽいんじゃなくて、さりげなく、一緒に飲みに行こうとか! 前期終わる打ち上げ的な」

「聞いてみるよ」

「頼む!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る