最初のクエスト4
田中さんは、抜いた刀を八相に構え、駆け寄ってくる熊に向かって、袈裟懸けに斬りつけた。
バシュッ!という音がしたかと思うと、熊の身体は、アッサリと2つに別れていた。
一瞬遅れて、血が噴き出した。
俺はあまりにも非現実的な光景が目の前で起きたので、呆然としているしかなかった。
それにしても、物凄い切れ味の刀だ。包丁でリンゴを切る時でも、ここまで鮮やかに切れないだろう。
昨日、説明されていたのだが、本当だったのだな。
「おーい、山田よ、大丈夫か?」
のんびりした声の田中さんが、刀に付いた血をタオルで拭き取りながら、近づいてきた。
「怪我は無いか?無さそうだな。それにしても、こんな近くでのクエストだったとはな」
そう言いながら田中さんは、刀を拭いたのと同じタオルで、殆ど浴びていない返り血を拭いている。
一通り拭き終わった後、俺の様子をジッと見ながら、「使うか?」と言って、熊の血だらけのタオルを投げて寄越した。
俺は、立てなかった。ビビりすぎて、失禁していたのだ。情けないことに、小だけでなく、大きい方も漏らしていた。田中さんには、バレていた。
「今の銃声、何??」
依頼主の新井さんも、やってきた。
ますます立ち上がりづらい
田中さんはと云うと、短刀を取り出して、熊の解体を始めている。熊の胆とか云う物を取り出すのだろうか。
この短刀も、やはり物凄い切れ味のようだった。
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