Dランク冒険者 田中さん 2
どうしようか。
聞こえなかったふりして、無視する?
いや、それはマズいな。仮にも冒険者の先輩なのだから、これから顔を合わせる事もあるだろう。
取り合えず
「はい...。
つい先ほど登録したばかりでして。
右も左も分からない、新人の冒険者なので、よろしくお願いします」
「そうか、そうかあ。ようこそギルドへ。頑張れよ、新人」
そう言うとオヤジは、掲示板に視線を戻した。
ふう。ひとまず解放されたか。
安心して、俺も再び掲示板を眺めた。
それも束の間、また声をかけられた。
「新人くんは、何て名前なの?」
「あ...。山田です」
俺は、掲示板から目を離さずに答えた。このオヤジ、ネチッこい性格なのか?もしかして俺、絡まれてる?
「そうかあ。俺は田中だ。一応、Dランクな。よろしく頼むわ」
掲示板を見たまま、はあ、と答えた。
「山田くんは、アプリ入れた?ギルドの冒険者アプリ」
「いえ、まだですが」
「入れた方がいいよ。依頼もスマホで受けられるしさ」
「そうらしいですね」
「だけどね、依頼はアプリで閲覧できるよりも先に、ここの掲示板で公開されるそうだから、ギルドにマメに通う事を勧めるね。何より、冒険者同士でコネが作れるからね」
おかげで、こうして粘着されてます。
俺は、人付き合いが苦手で、他人とあまり関わりたくない。会社勤めより冒険者を選んだのは、そういう理由もあるのだ。
「冒険者どうしで知り合うと言っても、今は他の冒険者の人達、全然来てないですよね。いつも、こうなんですか?それとも、たまたま?」
「まあ、今日は少ないな。ちょっと前までは、連日、たくさんの冒険者が来てたんだがな。群馬の方で発見された巨大なダンジョン攻略のために、群馬で活動できる期間限定許可証の発行手続きに大勢詰めかけてたんだけど」
群馬の巨大ダンジョン。そういえばニュースになってたな。国内最大級のダンジョンが、群馬の山の中で発見されたと。そうか、スズメバチやらタヌキやらの駆除よりも、よっぽど冒険者の仕事らしく思える。俺はFランクだから行けないが、昇進したら挑戦することを考えてみようかな。
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