10. 世界のいま

最初にここに来た時にいた大柄の人たち。彼らはそれぞれ身体の一部が機械でできており、私は驚いた。




シンプルに身体のどこかが機械(正確には機巧パーツというらしい)として生まれてくる人々が機世界人。機世界はそういった人たちが暮らす世界ということになるらしい。




「私…いやオレも機世界人だ」


レイヴンさんが言う。




その話を聞いて納得した。


でも…私はちらりとシェフの顔を見た。




マスターは私のその疑問に答える。




「私とシェフは魔世界出身なんですけどね。」




「魔世界…?」




「カコさんは最初、シェフの姿をみてとってもおどろかれてましたよね?」


あ…スライム。




「シェフさんはスライムという種族の魔世界人なんです。ある程度の知性をもった色々な特徴のある生き物…という感じですかね。」




「機世界人たちからしたらまあバケモンみてぇに扱われることも多いぜ。本当に知性のない奴らは《魔獣》なんだけどな。」




「魔世界人は《人》。魔獣とはちがう…。マスターはバケモンなんかじゃない…」


レイヴンさんも説明に加わる。




「って、ある程度とはなんだよ!人の姿は知性の証なんだぜ!」


シェフはおくれたツッコミをマスターにいれた。




「まあ魔世界人のなかでも身体がでかくてで凶暴なヤツは多いよ。」




パッと考えてわかりやすいのは、やっぱりゲームや漫画のファンタジーな世界なのだろう。


私は恐ろしい一つ目の巨人やドラゴンなんかを思い浮かべてみた。




マスターさんも、もしかしてスライム?マスターをちらりと見てしまうと、マスターはその視線の意味に気付いていた。




「私はシェフみたいな魔獣の姿はないですね…実は自分が何の種族なのかもわかってなくてですね…」


マスターは微笑をたずさえて言う。




「そうそう、不思議だよな。そのくせ滅茶苦茶ツエーのなんのって。チートだぜ。」




レイヴンさんが言う。


「さっきもマスター…カッコよかったな。」




確かに、銃弾を手で受け止めるて、すごい速さで移動して、手で銃を捻じ曲げる、マスターは全く只者ではない。




「まあ、言いたかねぇがマスターは最強だな。オレが喧嘩してきたなかでもぶっちぎり。」




「それで、カコはただのヒトなのか?」


レイヴンさんがじっとこっちをみて尋ねた、




「はい、そういうことだと思います。」




「なるほどな~、ただのヒトってはじめてみたぜ~。それっぽいヤツは機世界にうじゃうじゃいるんだけどな、違いがわからねぇや」




「じゃあ、さっきの奴らも含めて《機世界》《魔世界》《ヒト世界》の三つがくっついちゃったってことなのか?」




「なんとも言えませんね、元々機世界と魔世界は250年前から一緒だったわけですし、世界も三つだけとは限らないですから…」




先ほど見上げた空の景色を思い出した。あの光輝いていた星々。あれら一つ一つが世界を形成しているのかもしれない…そんな想像をしてしまう。




「とにかく今はカオスが起きちゃって街もどうなっているか気になりますね」




「そこで、シェフとカコさんで街の様子を見に行ってきてほしいんです。」


「シェフがいれば安心です。カコさんもこの新しい世界に見慣れたほうがいいですから。あと、カコさんが食べれるような食材も街で色々見つかると思います。カコさんが直接確認したほうがいいでしょう」




「確かにな!ナイスアイディアだぜ」




「まあその前に、今日は休んだ方がいいかもしれないですね、こんな夜なので。」

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