6.鉛玉

「じ、地震…!!?」




「う…!」




「きゃぁッ!」




「うおおおぉぉっ!」ガッシャ―ン!!「オレのつくった料理ーィッッ!??」




料理店のさまざまなところから声が上がる。




私たちが感じた揺れは激しく、平衡感覚がなくなり無重力状態になるほどだ。




それだけでない。




視界に移るものすべてがブレて。




頭の中に見たこともない景色、映像、世界が次々と流れ込んでくる。頭を抱える。




「なに…これ…」






どれくらい続いたのかわからない。






「うぁあぁっ!」




男の悲鳴で頭がハッとする。




揺れと変な感覚は収まっていた。




いつの間にか、料理店の中に数人の黒づくめの軍隊のような恰好をした人たちが表れていた。


彼らは機械の人たちと向かい合っている。




黒い恰好の面々は手に銃器を持ち、彼らに突き付けているのだ。


「た、隊長!」


「こいつら、いきなり…!」


「頭が、機械…!?」




相対している機械の人たちも戸惑っているが、狼狽はしていない。




そのなかでも落ち着き払った機械の人がヌッと前にでた。


「おい、落ち着けよ。そんなもん怖くもなんともねぇが、ここではやめろ。」




機械の大きな手を一番先頭の男に伸ばす。




「ち、近づくな!!」


銃を強く構える。




その様子に隊長と呼ばれていた男は大きな声をだす。


「おい、やめろ!!」




引き金に指がかかっていた。




先頭の男の動揺は激しい。




そして…




ダダダダダダッッ




銃声が鳴り響く。




その弾丸は機械の男の手にいくつかあたり、彼の着ていた衣服は弾けた。火花が散った。




金属音が鳴り響く。弾丸は機械手に弾かれ、店内のあちこちに跳んでいく。




一瞬のこと。




呆気にとられていた私は気付く。




跳弾がこちらのほうに…




スローモーションに。






「あ…。」






そのとき、すごい速さでカウンターを飛び越え、白い手袋をつけた手が私の顔の前に出される。




その掌は銃の弾丸を受け止め、握りしめる。


飛び出してきたのは、マスターだった。




そしてマスターはそのまま強く床をけり、男たちの前に飛び出た。




銃身を手でつかむ。


グニィ、とそのまま銃身を上の方に捻じ曲げる。




もう一つの手からは弾丸をパラパラと落とす。




「…ここは料理店ですので、やめてください。」


言葉遣いは穏やかだが、すごい圧で言葉を発する

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