3.機械とスライムと…
扉を開けた先には薄いカーテンがかけられていて、そのカーテンをくぐる。
薄く煙が漂っていて、煙のなかにオレンジ色の光が拡散していた。
全体的に暗く落ち着いた雰囲気。
正面右手には向かい合うソファのボックス席。その席をいっぱいいっぱいにガタイの良い人影たちが腰を据えている。
「おう?」
人影のひとつがこちらに反応する。
次第にはっきりとしたその人と目を合わせて私は驚愕した。
ギョロギョロと動くその眼は、人間の眼ではなかった。
赤く発光した、そう、SFアニメやドラマでみる、ロボットの光る眼だ。
「おっ、やっと目ぇ覚めたのか?お腹空いたか?」
ポカーンとしていると左手側からも声がかかる。
息つくひまもなくその目に飛び込んできたのは、
ス、スライム・・・?
「よっ!」
私は目をまん丸にすることしかできない。ファンタジーな、あの青色のスライムだ。
ただ、コック帽のようなものをつけている。
そして、その後ろから、カウンターの裏のからそっとカーテンを開けて出てきたのは。
背の高いエプロンをつけた青年。
「おはようございます。ようこそ、私たちの
ニコリと青年が穏やかに笑った。彼が先ほど私の様子を見に来てくれていた人物だ。
(ふつうの人…)
「ヘイラッシャイ!!お客さん!」
スライム?もおそらくニコニコ顔で声をかけてくる。
口の部分は一見ないので、どこからでてるのかわからないけど…
「私はこの料理店のマスターで」
「おれはシェフ!」
ぴょんと飛び跳ねる。
「まだまだお前は見習いキャディだろ!」
ボックス席に座っていた大柄な客たちがワハハと笑って彼をからかった。
「うるせぇな!」
そのやり取りに私は笑みがこぼれた。
サイボーグ?スライム?
実は私はこの手のことに慣れていると思っていたのだけど…
なんかとても大変なことに巻き込まれているのかもしれない。
でも、私は久しぶりに希望的な予感を感じることができた。
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